魔法使いの悪友

shishamo346

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嘘つき

約束とご褒美

 俺はマクルスの一物を口で咥え込んで喜んでいた。
「やめなさい!!」
「あっ」
 マクルスは容赦なく、俺の頭をつかんで、離させた。せっかくマクルスの一物を味わっていたというのに。
「帰る準備をしなさい!!」
「夜でいいじゃん。ほら、昨日は俺、体調崩してたから、出来てないし。体も疼く」
 腹の辺りを撫でていうと、マクルスは生唾を飲み込んで、俺を見る。俺は男でありたいが、マクルスの前では女だな。その事実に、内心、イヤで仕方がない。
 体が疼くなんて、言い訳だ。努力すれば、耐えられる。そう言ってやれば、マクルスは簡単に俺を抱く。そうして、俺は貧民であることを自覚する。
 だけど、その日は違った。マクルスはベッドから離れ、俺からも距離をとった。
「今日は、そういう気分じゃない。帰ると言ったのはルキエルだ。さっさと帰る支度をしなさい」
「俺はそういう気分だ」
 どうにか、俺はマクルスを誘惑してやろうと、服を脱いで、自慰するみたいに、俺の蕾に指を入れる姿を見せてやる。
「ほら、いつでもあんたのが入れられる」
「知ってる。どうせ、今日は父親とやるんだろう。待ってるぞ」
「っ!?」
 それには俺は怒りでしかない。手近にあった枕をマクルスに投げてぶつけてやる。
「親父のことは言うな!!」
 親父の存在には、憎悪しかない。俺を娼夫に堕としたのは親父だ。だけど、体は親父によってすっかり調教されている。どんなに心は憎悪しても、体は親父に触れられるだけで喜んでいる。
 マクルスはわざと、俺を怒らせた。そうすることで、俺が離れることをよくわかっている。実際、そうなんだ。
 仕方なく、俺は諦めて、服を着た。俺はそういう気分でも、マクルスが違うのだから、諦めるしかない。
 俺が大人しく服を整えれば、マクルスは俺の頭を撫でてくれる。その行為に、内心、嬉しくなる。
 ガキの頃は、これが欲しかった。誰も俺を誉めても、こうやって、頭を撫でてもくれなかった。まして、抱き上げてくれることなんて、記憶の中にはない。
「父親には、こちらの事情は伝えてあるから、今日は何もされない。安心しなさい」
 まだ、俺の体調が万全ではないと思っているマクルスは、わざわざ俺を抱き上げ、歩き出す。
「ガキじゃないんだから!」
「帰りたいと言ったのはルキエルだ。本当なら、もう一泊するべきなんだ。帰るなら、大人しくしなさい」
「また、オクトに妙なことされると、困るもんな。大事な跡取りだもんな」
「もう、疑ったりしない。怒ることもない。信じてる」
「っ!?」
 大人の余裕の笑顔だ。俺を腕に抱きながらも、平然とした顔で話すマクルスに腹が立つ。
「嘘ばっかり」
 負け惜しみだ。もう、マクルスのことは疑っていない。信じている。
 もう二度と、マクルスは俺とオクトのことを疑わないだろう。嫉妬はするかもしれないが、それは、仕方のないことだ。マクルスは、俺を女のように愛している。
 俺のことを俺以上に扱い上手なマクルス。喜ばせるのも、怒らせるのも、全て、マクルスの手のひらの上だ。マクルスが冷静になれば、俺なんて、弄ばれるばっかりだ。
 俺は仕方なく、マクルスの腕の中で大人しくなる。マクルスは俺のバカみたいな自尊心を理解している。俺がマクルスの腕に抱き上げられて移動しているというのに、使用人も、家臣も、オクトすら出会わない。オクトは覚悟していたが、どこかに出かけているか、あえて、部屋に閉じこもっているのだろう。
 本当に、いい馬車に乗せられた。この馬車に乗る時は、だいたい、マクルスと一緒の時だ。俺一人の時は、乗り心地が普通の馬車だ。
 こういう馬車だから、マクルスも一緒に乗る。今日も普通にマクルスが同乗してきた。
「親父に挨拶してくのか?」
「ルキエルの体調を悪くさせたからな。謝らないといけない」
「貧民相手に、謝罪はやめろ。あんたは、貴族様なんだから」
「お互い、利害関係で繋がっている。お前の父親とは、仲良くしていたいんだ。大事な息子の体調を崩すようなことをしたんだ。父親だったら、怒ることだ」
「俺は男だから、いいんだよ!!」
「私がイヤなんだ。ルキエルだけは特別だ」
「………」
 女だったら、顔を真っ赤になってしまいそうなことを平然というマクルス。こうやって、女を口説いたんだな。確かに、人妻だって、浮気するよ!!
 俺はマクルスの向かいに大人しく座る。この馬車に乗ると、また、妙なことをしたくなるが、我慢した。これから家に帰るのだ。マクルスとの事後で、俺はまともな顔が出来るはずがない。
 気まずい沈黙が続く中、やっと御者が座り、馬車は走り出した。
 しばらく馬車の外を眺めていた。もう、見慣れてしまった光景だ。俺は今、家とマクルスの屋敷を往復するだけで、貧民街にも、平民地区にも、足を運んでいない。もう、そういう許可が降りない。俺の外出は、マクルスの屋敷だけだ。
 家に帰れば、親父の娼夫となるか、帝国中からかき集められた壊れた道具の修理をするか、どちらかだ。外出なんて、家の外をちょっと歩くぐらいだ。誰よりも不自由な生活をしている。だけど、仕方がない。一度、死にかけたんだ。次、外に自由に行く時は、復讐だろう。
 途中、俺は皇帝が暮らす城を眺めることとなる。いつ、あの城から外に出るのかわからない皇帝ラインハルト。皇族もそうだが、皇帝なんて、簡単に城の外に出ることはない。公の場で出たといっても、城の中だ。
 だけど、いつかは皇帝ラインハルトも外に出る。出ないといけなくなる事があるはずだ。それを俺は待っている。俺をこんな風にした元凶は皇帝ラインハルトだ。絶対に許さない。
 俺に固定されたマクルスの視線に、さすがにうんざりして、俺はマクルスを見た。
 マクルスは、愛情を持って俺を見ていた。俺が見返しても、視線を反らしたりしない。もう、俺から目を離さないつもりなんだな。
 この男は、ともかく何もかも遅いんだ。わかる。気づいた時は手遅れだ。お袋を失った時も、全て後手に回っていることをオクトから話で聞いた。
 仕方がない。マクルスが一番大事なのは、家門だ。
 マクルスもまた、優秀な為政者だ。優先順位を守っているだけだ。それのせいで、物凄く後悔することとなっても、家門としては正しいことなんだ。
 なのに、俺の復讐には最後まで付いて来ようとしている。
 あれだ、もうすぐ、寿命だからだろう。力がそれなりにある妖精憑きならば、マクルスの寿命は見える。いつ死んでもおかしくないんだ。それほど、マクルスは寿命を削って、妖精を殺す体を保っている。
 あのタバコは、やめるわけにはいかないのだ。やめたって、あの体が戻ることはないし、妖精を退ける効力だって落ちる。実際、一日二日やめていた時、マクルスの体はその効力をぐんと落としたのがわかった。
 命か、家門の存続か、と選択を迫れば、マクルスは家門をとるだろう。俺はやっぱり、選ばれないんだよな。
 俺は苦笑するしかない。
「どうした?」
「俺たち、どうしようもないな」
「そうだな」
 わかってないよな。俺は永遠に、マクルスの執着から逃れられない。そこは、妖精憑きとしての本能だ。どうしようもないと、もう諦めている。
 マクルスのそれは、ただ、俺の妖精憑きとしてのわけのわからないものに、魅了されているだけだ。きっかけは、お袋だ。そこから、見た目から、体から、マクルスは篭絡されたに過ぎない。
 本当は、こんなもの、望んでいなかったのにな。
 本音なんて、一生、さらけ出してやるものか。約束のことは、一生、教えてやらない。どうせ、マクルスは死んだ後も、思い出さない、そんなくだらない話なんだ。






 夢を見る。俺はガキになっていた。お袋は家にいて、相変わらず、親父に囲われている。外にも出られないというのに、お袋はそれを喜んでいる。
「あ、マクルスが来た!!」
 お袋は赤ん坊のレーリエットで手がいっぱいだから、俺が部屋から飛び出しても止められない。俺が飛び出すと、弟ロイドも一緒になって飛び出してしまう。
 屋敷の外に出れば、ちょうど、馬車から降りるマクルスを見つける。俺は止める手も潜り抜けて、マクルスの足にしがみついた。
「こら、離れなさい!!」
 マクルスの家臣が俺を叱った。
「子どもがやることだ。許してやれ」
 マクルスは苦笑して、俺を抱き上げた。俺を軽々と片腕で持ち上げる。それに俺は喜んだ。
「マクルス、約束したよな。次来た時も遊んでくれるって」
「呼び捨てはやめろ!!」
「子どもなんだ、許してやりなさい」
 家臣がまた俺を叱るも、マクルスは笑って許してくれる。
 そう、俺は子どもだから、貧民の子どもといえども、全て、許してもらえたのだ。そのことをわかっていて、俺はマクルスにこれでもかと甘える。
「あっちに行きたい!!」
 俺は普段、絶対に行けない平民地区を指さす。
 赤ん坊であるレーリエットを連れて屋敷を出てきたお袋が、空いた片手で俺の頭を鷲掴みする。
「お前は、マクルス様に向かって、なんてことを言うのですか!? 大変、失礼しました」
「子どもがやることだ、許してやりなさい。大きくなれば、この子どものわかるようになる」
「そうやって、甘やかして!! マクルス様、ルキエルを甘やかしてはいけません。この子は、物凄く賢い子なんです」
 お袋は俺が妖精憑きだと知っている。だから、俺のことを危ぶんでいた。
 だけど、俺が妖精憑きだなんて知っているのは、お袋だけだ。妖精殺しの伯爵と呼ばれるマクルスですら、俺をただの子どもと見ている。それを俺はあえて利用して、怒るお袋に舌を出してやる。
「ルキエル!!」
「約束したんだから、仕方がない。しかし、お前の遊びは、こうやって、抱っこして歩くだけか。他にもあるだろう。教えてくれ」
「これがいい!!」
 俺はマクルスにしがみついた。こうしているだけで満足だ。
「これは、遊びじゃない」
「ガキ同士の遊びは、ロイドといっぱいしてる。俺は、抱っこがいい!!」
「簡単な遊びだな。いいだろう、買い物に行こう」
「マクルス様、いけません!!」
「母親の体にいいものを一緒に選ぼう」
「うん!!」
 理由を作っては、俺を抱っこして、マクルスは家臣を引き連れて、平民地区を歩いた。
「にいちゃっ!!」
 ロイドは俺がマクルスに連れて行かれるから、泣きながら追いかけてくる。
「お前はこっちだ!!」
 それを兄ライホーンが止めてくれた。
「ルキエル、アタシのも買ってくるのよ!!」
 どさくさで、姉リンネットが、俺に妙なお願いを叫んできた。気を付けて、お土産を選ばないと、リンネットに殴られるんだよな。俺はマクルスの胸に顔を埋めて、ちょっと震える。
「心配ない。私が選んでやる。こう見えても、女の相手も馴れている」
「姉貴、怒ると怖いんだ。引っかかれるんだよ」
「子どもでも、女か」
 俺が姉リンネットのことを伝えると、マクルスは苦笑する。馴れているのだろう。
 俺はマクルスの腕の中で、ちらりと家臣を見た。家臣は忌々しいとばかりに俺を睨んでくる。それに俺は舌を出してやる。だから、俺は家臣に嫌われていた。
 平民地区への買い物なんてどうだっていい。こうやって、時間を稼いで、マクルスに俺の寿命を移してるんだ。こうやって、時間をかけて密着しないと、俺の寿命をマクルスに与えられない。
 妖精がいうには、マクルスは今にも死んでしまいそうなんだって。死んでしまったら、こうやって、マクルスに抱っこしてもらえなくなる。
 家族で、俺の頭を撫でたり、抱っこしてくれる奴はいない。お袋はか弱いから無理だ。親父は、そんなことしてくれない。兄ライホーンはまだまだ力がない。姉リンネットは論外だ。
 だから、マクルスには一杯、抱っこしてもらうんだ。
 ふと見上げると、マクルスは俺なんか見てない。マクルスは店に並び商品を熱心に見ていた。
 さすがの俺も、気づく。俺はマクルスのことを名指しで呼ぶが、マクルスは俺を名指しで呼ばない。お前呼びだ。
「マクルス、俺はルキエルっていうんだ」
「知ってる」
「そうか!!」
 知らないと思っていた。あえて教えれば、マクルスは苦笑した。知らないから呼んでもらえないわけではない。
 俺は一杯、呼んでほしい。
「なあ、俺のこと、名前で呼んでよ」
 だから、子どもだからとお願いした。お袋の子どもの一人でいたくなかった。
「生意気を言うな」
 だけど、マクルスは俺の額を指で弾いて、軽く叱った。
「呼んでほしい!!」
「お前なんて、まだまだガキだ。名前を呼ばれるようになりたいなら、弟と妹の面倒をみて、立派な兄になれ」
「立派な兄って、ロイドとレーリエットの面倒をみれば、なれるものなのか?」
「そうだ」
「俺は、兄貴にも、姉貴にも、面倒みてもらった覚えがない」
「お前は、口だけは達者だな。お前はお前だ。兄と姉は関係じゃい。お前が立派な兄になるんだ」
「じゃあ、また、こうやって、抱っこしてよ」
「次来た時、してやる。だから、立派な兄になって、母親を楽にさせてやれ」
「わかった!!」
 単純だ。立派な兄になれば、マクルスは誉めてくれる。そう考えれば、俺はその通りに動く。実際、マクルスに抱っこしてもらいたくて、ずっと、マクルスの言いなりだ。






 随分と寝てたんだな。久しぶりに起きた感じだ。妖精憑きだから、一年、二年、三年と眠っていても、体は健康だ。
 ただ、許容量を越えた妖精を盗ったために、俺の体は常に睡眠を求めている。妖精たちは、どうにか、俺を長く眠らせようと、俺自身が幸福だった頃の光景を夢で見せるのだ。そうして、俺を起こさないようにしていた。
 俺の幸福は、ガキの頃だ。お袋も生きて、屋敷に囲われていた頃こそ、俺の幸福だ。あの頃、俺は妖精憑きであることを隠して、ただのガキとして、親の保護を受けていた。弟ロイドと妹レーリエットの面倒をみてはいたが、大したことではない。レーリエットは赤ん坊だったから、お袋の手が多く必要だった。ロイドは、同じガキだったから、同じように遊んでやっただけだ。ただ、負けず嫌いなガキだから、俺は手加減をしていた。
 妖精たちは、俺が眠ると、ガキの頃の夢ばかり見せるのだ。もう、飽きた。だから、俺は目を覚まして、帝国中から集められた道具の修理をする。
 ベッドの脇には、綺麗に重ねられた紙の束が置かれていた。それは、俺のせいで破滅した伯爵マクルスの遺書の束だ。
 俺は、マクルスの遺書を養子オクトから受け取ると、すぐに読んだ。いつ、読めなくなるか、わからないからだ。
 俺はずっと、マクルスに寿命を捧げ続けていた。最初は五百年もあった寿命も、どんどんとマクルスのために削り、帝国に捕縛された頃にはただの人並となっていた。ただの人は、せいぜい生きても百年だ。俺は、それよりも少なくなるほど、マクルスに寿命を捧げた。
 マクルスの遺書を読んでみれば、ところどころ、滲んでいた。俺がマクルスに寿命を捧げていた事実を、筆頭魔法使いハガルはマクルスに暴露したのだ。
 それだけではない。俺がガキの頃にした守られていない約束まで、ハガルは暴露しやがった。後悔の文章ばっかりだ。別に、気にしなくていいのに。
 今ならわかる。力のある妖精憑きは、どんな願いも叶えられる。だから、執着も激しい。
 俺は、ガキの頃に受けた、お袋への下心いっぱいのマクルスの行為に執着した。ガキだから、わからなかった。利用されていても、そんなこと、言われてもわからない。だって、行為を受けているのは俺自身だ。その理由とか、意味とか、どうだっていい。
 だけど、それなりの年齢になり、学習して、世の中を知っていけば、マクルスから受けた行為は全て、空しいものだと気づく。
 だから、俺はどうしてもマクルスを許せなかった。約束破りやがって、と俺は怒りに震えていたのだ。
 バカバカしい。ガキだから、マクルスは許してくれたのだ。何より、あれは、約束じゃない。ガキの頃の話は、ご褒美だ。
 マクルスは、約束を破ってなんかいない。俺がそう思い込んでいたにすぎない。
 俺のことなんて、貧民として蔑んでいれば良かったんだ。俺があんまりにもお袋に似てたから、マクルスも勘違いしたんだ。
 なのに、遺書には言い訳ばっかりだ。マクルスも、男のくせに、妙な所で女々しいよな。俺のことを女々しい、なんてバカに出来ないよ、あいつ。
 俺は死んだ後も、マクルスのことは許せない。俺はあんなに名前を呼んでほしい、とお願いしたのに、ガキの頃は呼んでくれなかった。なのに、俺が貴族の娼夫になると、マクルスは俺のこと、普通に名前で呼ぶんだ。
 立派な兄になっていない。俺は、娼夫に落ちただけだ。
 名前を呼ばれる度に、屈辱を感じていた。貧民だから、とか、そんなの関係ない。こんなご褒美、いらない。だから、マクルスのことは、生きている間、名前で呼んでやらなかった。呼んでいい、なんて許可を出してくれたが、呼ばなかった。あんた、で十分だ。
 そうしないと、いざという時、マクルスが大事にしている家門が大変なこととなってしまう。
 俺の復讐が失敗した時、俺がマクルスの名前を口走ってしまったら、大変なこととなる。本当に、マクルス、わかってないよな。妙な所で、甘っちょろいよ。
 結局、今、外がどうなっているか、俺は知らない。知ろうとも思わない。
 俺の幸福は遠い昔に終わった。俺の子どもには、閉じられた部屋にいることを幸福だ、とか言ったが、嘘だ。
 俺は魔法で、外に放置された道具を引き寄せる。
「もう、俺もお役御免か」
 すっかり、壊れた道具も少なくなった。こんなの、半日もかからない。
 壊れた道具の中に、いつもの通り、手紙が紛れ込んでいた。本当に、無駄なことを。
 俺からは生涯、返事なんかしない。だけど、俺はその手紙を大事に扱った。
「俺も、マクルスのこと、悪く言えないな。もっと、素直になれば良かった」
 綺麗な字だ。さすが、元は貴族だ。そこはきちんと教育されたのだろう。俺は求めていないというのに、眠っている間に起こった出来事を事細かに書かれていた。
「さて、やるか」
 俺は手紙を燃やして、道具に向かった。

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