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妖精殺し
失格紋の移し替え
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だいたい、戦争前の会談で、不可侵条約の契約破棄を行うと、即戦争になる。そういう前例をたくさん、書物や報告書で読んだわたくしは、会談だって断固拒否である。
「お前を一人にすると、大変なことになるんだよ!!」
「皇帝印を渡しましたから、ナインが心配することはありません。それに、テンペストが喜んで、代理で行ってくれます」
「代理って、テンペストは王国側の人間だろう!! 会談で、皇族の代理にすら出来ないぞ」
「どうせ、敵国側は、誰が皇族だなんて知りませんから、バレませんよ。それに、王国側が協力するのは、帝国民にとっても、悪い話ではないでしょう。いつも、魔法使いを帝国側が派遣して、王国側は何もしない、なんて言われてますし」
「それでいいんだよ!! 帝国が強国、王国は属国みたいな関係で!!! どうせ、勝手に生きてる帝国の盾なんだからな」
「ひっどーい!! 唯一の同盟国に、なんてこというのですか!!!」
「非公式だからいいんだよ!!」
筆頭魔法使いナインは、どうにか、わたくしを戦場に連れて行こうとしていますが、わたくしは断固拒否します。会談の場に立ったら最後、出征したようなものです。
筆頭魔法使いナインは、皇帝印によって、強制的に会談に立たなければいけません。
皇帝印、こっそりと使えばいいじゃないか、と言われそうですが、そこはやっぱり魔道具で、制約があります。あれを使う時は、筆頭魔法使いが見ている前で、となっています。一歩、間違えると、皇帝が暴君となっちゃうから。そういうところは、やっぱり、筆頭魔法使いが制御役になるのよね。
「心配するな。私は出来る王族だ」
非公式だけど、王弟テンペストはわたくしにべったりくっついているのよね。王国のことを悪く扱っていることを帝国側が言ったというのに、テンペストは笑顔である。
「貴様、俺様の皇帝にくっつくな!!」
しかも、テンペストったら、わたくしの後ろから抱きついてくるの。うーん、テンペストも鍛えていますね。胸板がすごい。
「私のヘイズが側にいないんだ。寂しい」
「だったら、あの、王国に移住した男にくっつけばいいだろう!!」
「男より女がいい」
「その気持ち、わかります。わたくしも、女のほうがいいです」
「男と女が、こんなに違うとはな」
「女の子って、華奢で、柔らかいですよね」
「黙ってろ」
わたくしがテンペストの味方をするから、ナインはわたくしの頭を力いっぱい掴んでくれる。むちゃくちゃ痛いのよ、それ!!
結局、王弟テンペストは、ナインの手だけでなく、魔法によって、わたくしから剥がされた。
本来、戦争が差し迫っているので、王国側の使節団は、帝国側から魔法使いを借りて、帰国するものだ。しかし、王弟テンペストはちょっとやり過ぎてしまったので、戦争が終わるまで、帝国に残ることとなった。でも、テンペストは、大人しくしてくれないので、妖精憑きのお気に入りであるわたくしの従兄ヘイズの叔父を帝国に残すことにしたのだ。
でも、蓋をあけてみれば、テンペストは、ヘイズと同じ血筋であるわたくしにべったりだ。わたくしとヘイズの叔父は、血のつながりがない。どうやら、わたくし側の血筋に、テンペストは何かを感じているようだ。
と思っていたのだけど、性別かー。ちょっと、むさいおじさんよりは、若い女の子が良かっただけなのね。やっぱり、テンペストの一番は、ヘイズだ。
「勝手に匂い付けしようとするな!!」
次に、わたくしを抱きしめるのは筆頭魔法使いナインだ。わたくしは、大人しく、ナインに従う。ほら、皇帝のお仕事って、筆頭魔法使いのご機嫌とりだから。ナインも、やっぱり鍛えてるわー。
ナインはしばらく、わたくしの体を抱きしめて、頬ずりして、だけど、胸とかには一切触れないで、満足するまで、何かやってから離れた。ここには、妖精憑きしかいないからいいけど、ただの人から見れば、ナインは変態みたいなことをたくしにしているように見えただろう。
わたくしは、もう、見慣れたけど。先帝シオンが生きている頃、よく、わたくしの目の前で、ナインがシオンに同じようなことをしていました。ナインにとって、シオンはお気に入りですから、仕方のないことです。ついでに、わたくしにまでしようとして、シオンに殴られてましたけど。
よくよく思い出すと、妖精憑きって、節操がありませんね。ナインは、テンペストのこと悪く言えない。
わたくしとナインの意見は平行線のままだ。ナインは、何が何でも、わたくしを戦場に連れて行きたい。それは、皇帝の側を離れたくないという、筆頭魔法使いの我儘だ。
わたくしは、いつか女帝を辞めたいので、絶対に戦場になんか行かない。戦場に行ったら、女帝を辞めるのが、難しくなる。
こうなると、第二の手段を出すしかない。わたくしは、こんなおかしな光景となる前に、使用人に指示書を渡して、一度、退出させた。もうそろそろ、指示書に書かれた人物を連れて、やってくるはずだ。はやく来てー。
その間に、妖精憑き同士で、お話合いしていたりする。
「ナインが言いたいこともわかる。私だって、ヘイズから離れるのは辛い。だが、それは、ほんのひと時だ。戦争さえ終われば、また、会える」
「貴様のヘイズと俺様の皇帝を同格と見るな。貴様のヘイズは、王族が囲っているから、逃げる心配はない。シーアは、ちょっと目を離すと、逃げるからな」
「シーアはナインのお気に入りなのか?」
「そうじゃないけど」
「それじゃあ、逃げられても仕方がない。お前は、私よりも強く、うんと年上の妖精憑きだと聞いている。もっと分別を付けるべきだ」
「………」
うーわー、ナインが言い負かされた!! 王弟テンペストって、実は、しっかり者なのを隠しているのかしら。わたくしの従兄ヘイズと一緒の時は、子どもみたいな態度をしているが、それは、作っているのかもしれない。
そうして、わたくしの考えを読み取ったテンペストが時間稼ぎをしてくれたお陰で、わたくしが筆頭魔法使いナインに内緒で呼び寄せた人たちが部屋にやってきた。
「お久しぶりです、女帝陛下」
「シーア、今更、どうして」
「シーア、なんで、メフノフをここに呼んだんだ!!」
もういつお迎えが来てもおかしくないおじいちゃん皇族エッセンはともかく、わたくしの元婚約者メフノフを呼んだことは、筆頭魔法使いナインを立腹させた。
「エッセン、お元気そうで良かったです」
「おい、きちんと説明しろ」
「もう、現役を引退したワシを呼び出したのは、不肖の孫の不始末をどうにかするためでしょう」
「そうです」
「………」
黙り込む筆頭魔法使いナイン。皇族エッセンは、わたくしが女帝となってから、ある事をずっと訴えていたのだ。
「さあ、座ってください。テンペストは、まあ、適当にしていていいですよ。ナイン、お客様です」
「俺様は、反対だ」
「ナイン、礼儀を重んじなさい。エッセンは、シオンが存在しなければ、皇帝にもなれた実力と血筋です。シオン亡き後の皇族間の混乱を収めてくれたのは、エッセンの一助あってのことですよ」
先帝シオン亡き後、わたくしが女帝としての権力を簡単にふるえたわけではない。シオンを除けば、最強の血筋である皇族エッセンがわたくしの味方についたからだ。
だから、皇族を簡単に処刑出来たのだ。
今にも神からのお迎えが来てしまいそうなほど年老いているエッセンだが、彼が持つ勢力は皇族の命を奪えてしまうほど、隠されている。昨日まで家族同士のお付き合いをしていた皇族が、翌日にはエッセンが放った敵勢力になっている、ということが起こるのだ。実際、わたくしが女帝となって、エッセンは、不穏分子を家族ごと始末したのだ。
エッセンの孫である皇族メフノフは、エッセンの手をとって、椅子へと導いた。エッセンはどこか危なそうだけど、メフノフが支えて、無事、椅子に座った。
「メフノフも座ってください」
「いや、今日の僕は、お祖父様の補助役だから」
「わかりました」
まるで、わたくしと筆頭魔法使いナインのような立ち位置だ。
ナインは給仕を終えると、いつもの通り、わたくしの傍らに立つ。ついでに、王弟テンペストまで、わたくしの傍らに立った。それには、エッセンとメフノフは表情を険しくする。
わたくしが見目麗しい男二人に囲まれているので、皇族エッセンから苦言が呈された。
「女帝となってから、随分と男を侍らせておるな」
「ナインは、まあ、仕方がありません。テンペストは、力の強い妖精憑きで、その、お気に入りが、わたくしの生き別れの従兄なんです」
「生きていたのか!?」
黙っていられない皇族メフノフは声をあげた。エッセンは、一線を退いたとはいえ、まだまだ、耳がいいので、悠然と座っている。
「巡り合わせというか、本当に、驚きました。従兄は、王国へ移住はしましたが、妖精憑きであり、王弟であるテンペストに見染められ、そのまま、城で囲われていました。今も、従兄は、城の奥深くで保護されています」
「それは、良かった」
「そういうわけで、仕方なく、わたくしは妖精憑きのご機嫌をとっているわけです」
「そうでしたな」
わかっていて、わざと、この場で言ったのだ。エッセン、まだまだ現役でやっていけるだろう。
「この場にエッセンとメフノフを呼んだのは、以前から、エッセンからお願いされたことを叶えるためです」
「俺様はやらない」
「そんなこと言っていいのですか? それなりの実力のあるテンペストがいるのですよ。帝国の魔法使いや妖精憑きは帝国の支配下にありますが、テンペストは王国の妖精憑きですから、そういうのは関係ないですよ」
「お前、まさか、それで、テンペストを好きにさせてたのか!?」
「役得ではありましたけど」
二心はありました。こーんな見目麗しい男性が、ただ、お気に入りの従妹というだけで尽くしてくれるのです。楽しかったです。
王弟テンペストは、利用されるという扱いでも、笑顔である。世間知らずの王族だから、純粋無垢な印象が強い。
テンペストはお気に入りである従兄ヘイズの幸福のために動く。そこに、善悪はない。悪事であっても、テンペストは喜んで行使するだろう。だから、扱いを気をつけないといけない。
僅かな期間で、わたくしは王弟テンペストを篭絡した。妖精憑きとのお付き合いは、筆頭魔法使いナインを相手にして、お手の物である。
ナインはギリギリと歯がみして悔しがる。まさか、テンペストを利用するとは、ナインも予想していなかったのだ。ナインは、皇族の底辺でのらりくらりと生きていたわたくしのことを理解出来ていませんね。
皇族メフノフは、祖父である皇族エッセンが、どのような願いをわたくしと筆頭魔法使いナインに訴えていたのか知らない。だから、戸惑っていた。
皇族エッセンは、ついつい、前のめりに姿勢を崩した。
「シーア、今度こそ、ワシの願いを聞き入れてくれるのか!?」
「語弊があります。わたくしは聞き入れているのですが、ナインが拒否していただけですよ。わたくしは悪くない」
「す、すまん!!」
「メフノフが受けた失格紋をエッセンに移し替えましょう。ですが、条件をつけます」
「わかった、ワシがシーアの代理として、戦場に出よう」
「お祖父様!!」
「黙ってろ」
「シーア、やるな!!」
まさか、わたくしとエッセンの間で、そんな話になっているなんて知らなかった皇族メフノフは叫んだ。
実は、焼き鏝でつけられた失格紋は、消せないが、移し替えることが出来るのだ。もちろん、それなりの力の強い妖精憑きでないと出来ない。
はるかはるか大昔、筆頭魔法使いの背中につけられた契約紋の焼き鏝は、皇帝が代わる度に作り直されていた。新しい皇帝となると、筆頭魔法使いは、先代に絶対服従の契約紋を奴隷の背中に移し替え、新しい契約紋を施したのだ。
契約紋で可能であれば、皇族の背中に施された失格紋も移し替えが可能なのだ。
ただし、これには、移し替え先の人も同じでなければならないという制限があった。筆頭魔法使いの契約紋の移し替えは、奴隷といえども、妖精憑きに行った。つまり、皇族の失格紋の移し替え先は、皇族でなければならない。
皇族メフノフは、エッセンの前に跪いた。
「お祖父様は老い先短いんだ。こんな苦行、受けさせるわけにはいかない」
「ワシがやらなくても、お前の両親がやると言ってる。ならば、老い先短いワシが受けるべきじゃ」
「だからこそ、受けられない。ティッシーが………」
メフノフの妻となった皇族ティッシーの失格紋の移し替え先がないのだ。
メフノフの身内内では、メフノフを抜きにして、話を進めていた。それに対して、ティッシーの身内内では、ティッシーからお願いしたのだ。
だが、ティッシーの両親も祖父母も、ティッシーが受けた失格紋の移し替えを拒否した。それどころか、縁を切ったのだ。
それを目の前でされたから、メフノフは、ティッシーのために、失格紋の移し替えの願いを祖父母が両親にしなかったのだ。
わたくしは、ちらっと筆頭魔法使いナインを見る。ナインは、この要求を頑なに拒否していた。しかし、メフノフの拒否加減に、ナインは苦い顔となる。
「シーア、条件を言え」
筆頭魔法使いナインは、覚悟を決めた。
「エッセンだけでなく、メフノフも、戦地に行ってください。二人で、終戦後まで、話をまとめてください」
「僕は戦争に行かなくていいと言ったじゃないか!!」
「失格紋をエッセンに移し替えてからです」
「だったら、お祖父様を戦地に行かせるわけにはいかないだろう!!」
失格紋を持つということは、筆頭魔法使いの妖精の加護を失うのだ。帝国最強の守りのない皇族は、戦地ではただの人と同じく、簡単に死んでしまう。
「わかった、引き受けよう」
皇族エッセンは死地だとわかっていても、簡単に了承する。
「お祖父様!!」
「どうせ、いつかは死ぬんじゃ。死ぬならば、男らしく、戦って死にたいものじゃ」
「そ、そんな」
「話はつきましたね。では、二人とも、ナインに許可を。魔法を使うには、皇族は許可を出さないと出来ませんよ」
「断る!!」
最後の最後で、皇族メフノフは拒否する。これでは、メフノフの失格紋を皇族エッセンへ移し替えることが出来ない。
「メフノフ、許可を出してください。失格紋の移し替えの技術を王国へ流出させるわけにはいきませんよ」
「嘘だと知ってる。ティッシーから聞いた。筆頭魔法使い程の力でないと出来ないと」
「帝国が技術を隠匿しているから、そう言っているだけです。実際は、それなりの力を持っていれば出来ることなんです。ナインに魔法行使の許可を出さないのであれば、テンペストにやらせます。テンペストは王国の妖精憑きで、制約がありません」
「っ!?」
だから、この場に王弟テンペストを同席させたのだ。万が一、筆頭魔法使いナインが拒否した時は、テンペストに技術を漏らして、やらせるつもりだった。
筆頭魔法使いナインは、苦い表情で黙り込んだ。もう、わたくしを止められないと悟ったのだ。
「さて、帝国の技術を王国に持ち帰ってやろうか。その技術があれば、筆頭魔法使いの契約紋だって取り除ける。お前たち皇族を守るための番犬がいなくなるぞ」
「………わ、わかった。許可、する」
悔しそうに顔を歪めながら、皇族メフノフは筆頭魔法使いナインに魔法行使の許可を下ろした。
許可が降りれば、一瞬だ。見た目は変わらない。だけど、皇族メフノフと皇族エッセンの表情は違った。
「これは、また、すごいものじゃな」
「どんな感じですか?」
「何か、背中を通して、支配されているような感じじゃ」
「では、脱いでください」
「………は?」
わたくしが笑顔で要求すると、皇族エッセンと皇族メフノフは、呆然となる。なんと、筆頭魔法使いナインと王弟テンペストまで、呆然となってる。
わたくしは、最大の障害だと思われたナインとテンペストが呆然と活動停止している隙に、立ち尽くしたままのメフノフの元へ行き、服を引っ張った。
「きちんと、失格紋が移し替えられたか、確認しましょう。ナインがやってないかもしれませんから」
「ちょ、ちょっと待て!! そ、その確認は、ナインにさせればいいことだろう」
「ナインは嘘つきますから」
「しかし、ワシ、一人で服脱ぐのはのぉ」
「お手伝いします」
「シーアーーーーーーー!!!!」
動き出した筆頭魔法使いナインは、容赦なくわたくしの頭を殴った。
「いったーいー!!」
「年頃の娘が何やってるんだ!!」
「だってぇ、ナイン、平気で嘘つくからぁ」
「わかったから、離れろ。俺様がやる」
「ナインがやると、いかがわしい感じになりますね」
「黙ってろ!!」
えー、こんな綺麗なナインが同性の服を脱がせるのですよ。そういうふうに見えてしまうのは、仕方がない。そういう妄想、貴族の学校でもありましたよ。
「シーアは黙ってろ」
結局、もう一人の妖精憑きである王弟テンペストがわたくしの口を塞いだ。さすがに、テンペストも空気を読んだか。
こうして、無事、皇族メフノフが受けた失格紋は、皇族エッセンへと移し替えられたことを確認した。
「お前を一人にすると、大変なことになるんだよ!!」
「皇帝印を渡しましたから、ナインが心配することはありません。それに、テンペストが喜んで、代理で行ってくれます」
「代理って、テンペストは王国側の人間だろう!! 会談で、皇族の代理にすら出来ないぞ」
「どうせ、敵国側は、誰が皇族だなんて知りませんから、バレませんよ。それに、王国側が協力するのは、帝国民にとっても、悪い話ではないでしょう。いつも、魔法使いを帝国側が派遣して、王国側は何もしない、なんて言われてますし」
「それでいいんだよ!! 帝国が強国、王国は属国みたいな関係で!!! どうせ、勝手に生きてる帝国の盾なんだからな」
「ひっどーい!! 唯一の同盟国に、なんてこというのですか!!!」
「非公式だからいいんだよ!!」
筆頭魔法使いナインは、どうにか、わたくしを戦場に連れて行こうとしていますが、わたくしは断固拒否します。会談の場に立ったら最後、出征したようなものです。
筆頭魔法使いナインは、皇帝印によって、強制的に会談に立たなければいけません。
皇帝印、こっそりと使えばいいじゃないか、と言われそうですが、そこはやっぱり魔道具で、制約があります。あれを使う時は、筆頭魔法使いが見ている前で、となっています。一歩、間違えると、皇帝が暴君となっちゃうから。そういうところは、やっぱり、筆頭魔法使いが制御役になるのよね。
「心配するな。私は出来る王族だ」
非公式だけど、王弟テンペストはわたくしにべったりくっついているのよね。王国のことを悪く扱っていることを帝国側が言ったというのに、テンペストは笑顔である。
「貴様、俺様の皇帝にくっつくな!!」
しかも、テンペストったら、わたくしの後ろから抱きついてくるの。うーん、テンペストも鍛えていますね。胸板がすごい。
「私のヘイズが側にいないんだ。寂しい」
「だったら、あの、王国に移住した男にくっつけばいいだろう!!」
「男より女がいい」
「その気持ち、わかります。わたくしも、女のほうがいいです」
「男と女が、こんなに違うとはな」
「女の子って、華奢で、柔らかいですよね」
「黙ってろ」
わたくしがテンペストの味方をするから、ナインはわたくしの頭を力いっぱい掴んでくれる。むちゃくちゃ痛いのよ、それ!!
結局、王弟テンペストは、ナインの手だけでなく、魔法によって、わたくしから剥がされた。
本来、戦争が差し迫っているので、王国側の使節団は、帝国側から魔法使いを借りて、帰国するものだ。しかし、王弟テンペストはちょっとやり過ぎてしまったので、戦争が終わるまで、帝国に残ることとなった。でも、テンペストは、大人しくしてくれないので、妖精憑きのお気に入りであるわたくしの従兄ヘイズの叔父を帝国に残すことにしたのだ。
でも、蓋をあけてみれば、テンペストは、ヘイズと同じ血筋であるわたくしにべったりだ。わたくしとヘイズの叔父は、血のつながりがない。どうやら、わたくし側の血筋に、テンペストは何かを感じているようだ。
と思っていたのだけど、性別かー。ちょっと、むさいおじさんよりは、若い女の子が良かっただけなのね。やっぱり、テンペストの一番は、ヘイズだ。
「勝手に匂い付けしようとするな!!」
次に、わたくしを抱きしめるのは筆頭魔法使いナインだ。わたくしは、大人しく、ナインに従う。ほら、皇帝のお仕事って、筆頭魔法使いのご機嫌とりだから。ナインも、やっぱり鍛えてるわー。
ナインはしばらく、わたくしの体を抱きしめて、頬ずりして、だけど、胸とかには一切触れないで、満足するまで、何かやってから離れた。ここには、妖精憑きしかいないからいいけど、ただの人から見れば、ナインは変態みたいなことをたくしにしているように見えただろう。
わたくしは、もう、見慣れたけど。先帝シオンが生きている頃、よく、わたくしの目の前で、ナインがシオンに同じようなことをしていました。ナインにとって、シオンはお気に入りですから、仕方のないことです。ついでに、わたくしにまでしようとして、シオンに殴られてましたけど。
よくよく思い出すと、妖精憑きって、節操がありませんね。ナインは、テンペストのこと悪く言えない。
わたくしとナインの意見は平行線のままだ。ナインは、何が何でも、わたくしを戦場に連れて行きたい。それは、皇帝の側を離れたくないという、筆頭魔法使いの我儘だ。
わたくしは、いつか女帝を辞めたいので、絶対に戦場になんか行かない。戦場に行ったら、女帝を辞めるのが、難しくなる。
こうなると、第二の手段を出すしかない。わたくしは、こんなおかしな光景となる前に、使用人に指示書を渡して、一度、退出させた。もうそろそろ、指示書に書かれた人物を連れて、やってくるはずだ。はやく来てー。
その間に、妖精憑き同士で、お話合いしていたりする。
「ナインが言いたいこともわかる。私だって、ヘイズから離れるのは辛い。だが、それは、ほんのひと時だ。戦争さえ終われば、また、会える」
「貴様のヘイズと俺様の皇帝を同格と見るな。貴様のヘイズは、王族が囲っているから、逃げる心配はない。シーアは、ちょっと目を離すと、逃げるからな」
「シーアはナインのお気に入りなのか?」
「そうじゃないけど」
「それじゃあ、逃げられても仕方がない。お前は、私よりも強く、うんと年上の妖精憑きだと聞いている。もっと分別を付けるべきだ」
「………」
うーわー、ナインが言い負かされた!! 王弟テンペストって、実は、しっかり者なのを隠しているのかしら。わたくしの従兄ヘイズと一緒の時は、子どもみたいな態度をしているが、それは、作っているのかもしれない。
そうして、わたくしの考えを読み取ったテンペストが時間稼ぎをしてくれたお陰で、わたくしが筆頭魔法使いナインに内緒で呼び寄せた人たちが部屋にやってきた。
「お久しぶりです、女帝陛下」
「シーア、今更、どうして」
「シーア、なんで、メフノフをここに呼んだんだ!!」
もういつお迎えが来てもおかしくないおじいちゃん皇族エッセンはともかく、わたくしの元婚約者メフノフを呼んだことは、筆頭魔法使いナインを立腹させた。
「エッセン、お元気そうで良かったです」
「おい、きちんと説明しろ」
「もう、現役を引退したワシを呼び出したのは、不肖の孫の不始末をどうにかするためでしょう」
「そうです」
「………」
黙り込む筆頭魔法使いナイン。皇族エッセンは、わたくしが女帝となってから、ある事をずっと訴えていたのだ。
「さあ、座ってください。テンペストは、まあ、適当にしていていいですよ。ナイン、お客様です」
「俺様は、反対だ」
「ナイン、礼儀を重んじなさい。エッセンは、シオンが存在しなければ、皇帝にもなれた実力と血筋です。シオン亡き後の皇族間の混乱を収めてくれたのは、エッセンの一助あってのことですよ」
先帝シオン亡き後、わたくしが女帝としての権力を簡単にふるえたわけではない。シオンを除けば、最強の血筋である皇族エッセンがわたくしの味方についたからだ。
だから、皇族を簡単に処刑出来たのだ。
今にも神からのお迎えが来てしまいそうなほど年老いているエッセンだが、彼が持つ勢力は皇族の命を奪えてしまうほど、隠されている。昨日まで家族同士のお付き合いをしていた皇族が、翌日にはエッセンが放った敵勢力になっている、ということが起こるのだ。実際、わたくしが女帝となって、エッセンは、不穏分子を家族ごと始末したのだ。
エッセンの孫である皇族メフノフは、エッセンの手をとって、椅子へと導いた。エッセンはどこか危なそうだけど、メフノフが支えて、無事、椅子に座った。
「メフノフも座ってください」
「いや、今日の僕は、お祖父様の補助役だから」
「わかりました」
まるで、わたくしと筆頭魔法使いナインのような立ち位置だ。
ナインは給仕を終えると、いつもの通り、わたくしの傍らに立つ。ついでに、王弟テンペストまで、わたくしの傍らに立った。それには、エッセンとメフノフは表情を険しくする。
わたくしが見目麗しい男二人に囲まれているので、皇族エッセンから苦言が呈された。
「女帝となってから、随分と男を侍らせておるな」
「ナインは、まあ、仕方がありません。テンペストは、力の強い妖精憑きで、その、お気に入りが、わたくしの生き別れの従兄なんです」
「生きていたのか!?」
黙っていられない皇族メフノフは声をあげた。エッセンは、一線を退いたとはいえ、まだまだ、耳がいいので、悠然と座っている。
「巡り合わせというか、本当に、驚きました。従兄は、王国へ移住はしましたが、妖精憑きであり、王弟であるテンペストに見染められ、そのまま、城で囲われていました。今も、従兄は、城の奥深くで保護されています」
「それは、良かった」
「そういうわけで、仕方なく、わたくしは妖精憑きのご機嫌をとっているわけです」
「そうでしたな」
わかっていて、わざと、この場で言ったのだ。エッセン、まだまだ現役でやっていけるだろう。
「この場にエッセンとメフノフを呼んだのは、以前から、エッセンからお願いされたことを叶えるためです」
「俺様はやらない」
「そんなこと言っていいのですか? それなりの実力のあるテンペストがいるのですよ。帝国の魔法使いや妖精憑きは帝国の支配下にありますが、テンペストは王国の妖精憑きですから、そういうのは関係ないですよ」
「お前、まさか、それで、テンペストを好きにさせてたのか!?」
「役得ではありましたけど」
二心はありました。こーんな見目麗しい男性が、ただ、お気に入りの従妹というだけで尽くしてくれるのです。楽しかったです。
王弟テンペストは、利用されるという扱いでも、笑顔である。世間知らずの王族だから、純粋無垢な印象が強い。
テンペストはお気に入りである従兄ヘイズの幸福のために動く。そこに、善悪はない。悪事であっても、テンペストは喜んで行使するだろう。だから、扱いを気をつけないといけない。
僅かな期間で、わたくしは王弟テンペストを篭絡した。妖精憑きとのお付き合いは、筆頭魔法使いナインを相手にして、お手の物である。
ナインはギリギリと歯がみして悔しがる。まさか、テンペストを利用するとは、ナインも予想していなかったのだ。ナインは、皇族の底辺でのらりくらりと生きていたわたくしのことを理解出来ていませんね。
皇族メフノフは、祖父である皇族エッセンが、どのような願いをわたくしと筆頭魔法使いナインに訴えていたのか知らない。だから、戸惑っていた。
皇族エッセンは、ついつい、前のめりに姿勢を崩した。
「シーア、今度こそ、ワシの願いを聞き入れてくれるのか!?」
「語弊があります。わたくしは聞き入れているのですが、ナインが拒否していただけですよ。わたくしは悪くない」
「す、すまん!!」
「メフノフが受けた失格紋をエッセンに移し替えましょう。ですが、条件をつけます」
「わかった、ワシがシーアの代理として、戦場に出よう」
「お祖父様!!」
「黙ってろ」
「シーア、やるな!!」
まさか、わたくしとエッセンの間で、そんな話になっているなんて知らなかった皇族メフノフは叫んだ。
実は、焼き鏝でつけられた失格紋は、消せないが、移し替えることが出来るのだ。もちろん、それなりの力の強い妖精憑きでないと出来ない。
はるかはるか大昔、筆頭魔法使いの背中につけられた契約紋の焼き鏝は、皇帝が代わる度に作り直されていた。新しい皇帝となると、筆頭魔法使いは、先代に絶対服従の契約紋を奴隷の背中に移し替え、新しい契約紋を施したのだ。
契約紋で可能であれば、皇族の背中に施された失格紋も移し替えが可能なのだ。
ただし、これには、移し替え先の人も同じでなければならないという制限があった。筆頭魔法使いの契約紋の移し替えは、奴隷といえども、妖精憑きに行った。つまり、皇族の失格紋の移し替え先は、皇族でなければならない。
皇族メフノフは、エッセンの前に跪いた。
「お祖父様は老い先短いんだ。こんな苦行、受けさせるわけにはいかない」
「ワシがやらなくても、お前の両親がやると言ってる。ならば、老い先短いワシが受けるべきじゃ」
「だからこそ、受けられない。ティッシーが………」
メフノフの妻となった皇族ティッシーの失格紋の移し替え先がないのだ。
メフノフの身内内では、メフノフを抜きにして、話を進めていた。それに対して、ティッシーの身内内では、ティッシーからお願いしたのだ。
だが、ティッシーの両親も祖父母も、ティッシーが受けた失格紋の移し替えを拒否した。それどころか、縁を切ったのだ。
それを目の前でされたから、メフノフは、ティッシーのために、失格紋の移し替えの願いを祖父母が両親にしなかったのだ。
わたくしは、ちらっと筆頭魔法使いナインを見る。ナインは、この要求を頑なに拒否していた。しかし、メフノフの拒否加減に、ナインは苦い顔となる。
「シーア、条件を言え」
筆頭魔法使いナインは、覚悟を決めた。
「エッセンだけでなく、メフノフも、戦地に行ってください。二人で、終戦後まで、話をまとめてください」
「僕は戦争に行かなくていいと言ったじゃないか!!」
「失格紋をエッセンに移し替えてからです」
「だったら、お祖父様を戦地に行かせるわけにはいかないだろう!!」
失格紋を持つということは、筆頭魔法使いの妖精の加護を失うのだ。帝国最強の守りのない皇族は、戦地ではただの人と同じく、簡単に死んでしまう。
「わかった、引き受けよう」
皇族エッセンは死地だとわかっていても、簡単に了承する。
「お祖父様!!」
「どうせ、いつかは死ぬんじゃ。死ぬならば、男らしく、戦って死にたいものじゃ」
「そ、そんな」
「話はつきましたね。では、二人とも、ナインに許可を。魔法を使うには、皇族は許可を出さないと出来ませんよ」
「断る!!」
最後の最後で、皇族メフノフは拒否する。これでは、メフノフの失格紋を皇族エッセンへ移し替えることが出来ない。
「メフノフ、許可を出してください。失格紋の移し替えの技術を王国へ流出させるわけにはいきませんよ」
「嘘だと知ってる。ティッシーから聞いた。筆頭魔法使い程の力でないと出来ないと」
「帝国が技術を隠匿しているから、そう言っているだけです。実際は、それなりの力を持っていれば出来ることなんです。ナインに魔法行使の許可を出さないのであれば、テンペストにやらせます。テンペストは王国の妖精憑きで、制約がありません」
「っ!?」
だから、この場に王弟テンペストを同席させたのだ。万が一、筆頭魔法使いナインが拒否した時は、テンペストに技術を漏らして、やらせるつもりだった。
筆頭魔法使いナインは、苦い表情で黙り込んだ。もう、わたくしを止められないと悟ったのだ。
「さて、帝国の技術を王国に持ち帰ってやろうか。その技術があれば、筆頭魔法使いの契約紋だって取り除ける。お前たち皇族を守るための番犬がいなくなるぞ」
「………わ、わかった。許可、する」
悔しそうに顔を歪めながら、皇族メフノフは筆頭魔法使いナインに魔法行使の許可を下ろした。
許可が降りれば、一瞬だ。見た目は変わらない。だけど、皇族メフノフと皇族エッセンの表情は違った。
「これは、また、すごいものじゃな」
「どんな感じですか?」
「何か、背中を通して、支配されているような感じじゃ」
「では、脱いでください」
「………は?」
わたくしが笑顔で要求すると、皇族エッセンと皇族メフノフは、呆然となる。なんと、筆頭魔法使いナインと王弟テンペストまで、呆然となってる。
わたくしは、最大の障害だと思われたナインとテンペストが呆然と活動停止している隙に、立ち尽くしたままのメフノフの元へ行き、服を引っ張った。
「きちんと、失格紋が移し替えられたか、確認しましょう。ナインがやってないかもしれませんから」
「ちょ、ちょっと待て!! そ、その確認は、ナインにさせればいいことだろう」
「ナインは嘘つきますから」
「しかし、ワシ、一人で服脱ぐのはのぉ」
「お手伝いします」
「シーアーーーーーーー!!!!」
動き出した筆頭魔法使いナインは、容赦なくわたくしの頭を殴った。
「いったーいー!!」
「年頃の娘が何やってるんだ!!」
「だってぇ、ナイン、平気で嘘つくからぁ」
「わかったから、離れろ。俺様がやる」
「ナインがやると、いかがわしい感じになりますね」
「黙ってろ!!」
えー、こんな綺麗なナインが同性の服を脱がせるのですよ。そういうふうに見えてしまうのは、仕方がない。そういう妄想、貴族の学校でもありましたよ。
「シーアは黙ってろ」
結局、もう一人の妖精憑きである王弟テンペストがわたくしの口を塞いだ。さすがに、テンペストも空気を読んだか。
こうして、無事、皇族メフノフが受けた失格紋は、皇族エッセンへと移し替えられたことを確認した。
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