47 / 52
妖精殺しの初恋
跡継ぎの事情
しおりを挟む
僕は養子だ。きちんと義父の実の息子はいたのだ。しかし、才能がなくて、跡継ぎとして脱落してしまった。仕方なく、一族の子どもを数人、試し、その中で一番、才能がある僕が、伯爵家の養子として治まることとなった。
一応、僕は伯爵とは遠縁に当たる。血筋的には、問題ない。だけど、いつ、一族の誰かが足を引っ張るかわからないので、僕なりに隙を作らないようにした。
貴族の学校に通うようになってからは、常に成績を次席に保っていた。首席は、その他に譲った。間違って、首席よりも点数をとってしまった時は、教師を買収して、次席の点数に変えさせた。
そうして、一族からも認められるように、立派な伯爵の跡継ぎを貴族の学校でも演じていた。
「今年の新入生の首席は、皇族様だって」
生徒会役員をしているから、そういう情報が普通に入ってくる。
「ああ、あの子か」
入学試験を受けるから、と皇族が来たのだ。皇族の周囲は、騎士数名と、なんと筆頭魔法使いまで護衛について、物々しかった。生徒会役員は、入学試験会場では裏方をしているから、試験を受けに来た皇族を見ることが出来た。
可愛らしい女の子だ。ふわふわと、砂糖菓子みたいな感じがした。常に笑顔を振り撒いて、筆頭魔法使いと話していた。
皇族といっても、何か特別なものがあるわけではない。皇族は血筋だ。見た目は重要ではない。皇族は、貴族とは違う価値観で動いている。
「首席って、成績を表に出すなんて、珍しいな」
そして、違和感の正体に気づいた。皇族の成績は表に出さない。それは、皇族が貴族に負けたことを表沙汰にしないためだ。皇族は常に頂点でないといけない。だから、試験を受けても、皇族の成績は除外される。
「皇族様の希望だと。学校側としては、拒否したんだが、結局、いい点数だから、表に出したんだと」
「学校も気の毒に」
つまり、皇族の試験の結果が悪かったら、出されなかったわけである。
さらにいうなら、皇族は本物の天才、ということだ。
「今年から、皇族様が生徒会役員だぞー。お前たち、気を引き締めろー」
「あー、そうだったー」
「今年の二年生は大変だなー。二年生は、一年生の世話役だからな」
「どうして皇族が貴族の学校に来るんだよ!!」
「城の奥にいればいいのにーーーーーー!!!」
目の前に皇族がいないから、と不敬罪なことを叫ぶ、今年の二年生。
「僕たちは皇族から遠くて助かったな」
他人事、みたいに笑う、僕の相方ナックル。
「お前なー、生徒会役員になるんだから、何かあった時は、僕たちもしりぬぐいをすることとなるんだぞ」
「それは、二年生の役割だから」
「二年生の手におえられれば、な」
「そういう、不安になることをいうなよ!!」
ちょっと揺さぶってやれば、気苦労の多いナックルは、すぐ、半泣きだ。
「ただでさ、お前との縁が続いているってのにぃ」
「えー、一年生からずっと、首席と次席を守り通してる仲なんだから、仲良くしようよー」
「卒業したら、縁を切ってやる」
ナックル、からかうと楽しいから、ついつい、やり過ぎて、嫌われてしまった。人が好いから、結局、腐れ縁は続くだろうけど。
「さて、どんなお姫様だろうな」
生徒会として関わることとなるので、僕は家の力を使って、皇族シーアのことを調べることにした。
生徒会の集まりが終わってから、屋敷に戻れば、なかなか、騒がしくなっていた。
「医者を!!」
「旦那様に連絡を」
「湯を準備しろ!!」
使用人たち、家臣たちが慌ただしく動いている。僕が帰ってきても、出迎えすらない。養子とはいえ、跡継ぎなんだけどなー。
私室に戻れば、同じ貴族の学校に通っている、僕の側近が待ち構えていた。
「義兄上、また、吐血した?」
「今日は調子がいい、と奥様と庭で散歩している途中で、吐血しました」
「医者の許可はあったのか?」
「ありません」
「義母上にも、困ったものだ」
義母が、勝手に義兄を連れ出したのだ。
「マッシュ様」
僕の側近は、屋敷中、大騒ぎだというのに、僕に煙草を差し出した。
「これで、義兄上の体が壊れたってのになぁ」
それでも、伯爵の跡継ぎは、一日に一本、必ず、この煙草を吸うこととなっている。まだ子どもだから、とか、関係ない。
僕が養子として引き取られた伯爵家は、表向きはどこにでもいる貴族だが、裏では妖精殺しの貴族として恐れられている。
妖精殺しの貴族とは、妖精の魔法が届かない、妖精憑きの天敵だ。妖精殺しは、良い魔法も悪い魔法も届かないという。そのため、妖精を生まれ持つ妖精憑きを妖精殺しは殺せるのだ。
大昔、妖精殺しは、手に負えない妖精憑きを処分する存在だったという。一族の長が、妖精殺しとなり、妖精を狂わせる香を作り、帝国の闇を暗躍していたのだ。
それも、今では、妖精殺しは一貴族として息を潜め、代々の当主が、妖精殺しとなり、妖精を狂わせる香の製法をただ一人知る存在となった。
伯爵である義父は、妖精殺しの貴族である。そして、僕は、次代の妖精殺しの貴族となるために、妖精殺しの体質を後天的に作り変え、妖精を狂わせる香の製法を受け継ぎ、学生の身の上で、せっせと当主代理をこなしている。
今、妖精殺しの体質を後天的に作り変える手段の一つとして、特殊な煙草を吸っている。最低限、この煙草を乗り越えないと、跡継ぎになれないのだ。
煙草から出る煙は全て、屋敷の外へと出るように、窓を全開にしての喫煙である。喫煙に、年齢制限はないが、未成年は好ましくない、と帝国では言われている。
「あなた、こんな時によくも、煙草なんか吸えるわね!!」
そこに、義母がやってきて、僕の日課の煙草を取り上げた。
「あの子が倒れたというのに、こんな煙を出して、非常識よ!!」
「申し訳ございません、すぐに、別邸に移動します」
「永遠に、別邸にいなさい!!」
「奥様、それでは、当主の仕事が」
「当主はわたくしの子よ!!」
僕の側近が間に入って、余計、義母を怒らせた。僕は、側近を下がらせ、ついでに、義母を部屋から押し出した。
「この部屋は、先祖から、連綿と、あの煙草が受け継がれるように、こびりついています。義母上の体にうつったら、義兄上も苦しむこととなりますよ」
「この部屋は、あの子のものよ!! お前だけは、絶対に当主にさせない」
「そのためにも、義兄上の体をもっと労わってください」
「触るな!!」
義母が僕の手を払うついでに、僕の頬を爪でひっかいた。
側で見ていた側近が武器に手をかけるが、僕はそれを視線だけで止めた。義母は忌々しいと僕を睨んで、義兄の元へと去っていった。
「こんなこと、いつまで許しているのですか」
僕の側近は、我慢ならない。義母は、今、お荷物となっているのだ。
一族としては、妖精殺しの貴族の跡継ぎになれない義兄は邪魔だ。だが、義母は諦めきれず、無駄に足掻いている。
義母は、無駄に金を使って、医者を集め、薬を集め、どうにか、義兄を妖精殺しの貴族にしようとしている。
そして、義父は、義母の好きにさせているから、誰も止められない。
「だいたい、旦那様と奥様は、血が近すぎるから、と先代様からも反対されたというのに、それを無視して結婚して、その結果が、あのご子息ですよ。自業自得です」
「義父上とは相思相愛だったんだ。そういうものに、理性は通じない」
貴族の学校では、大恋愛だったという。ほら、反対されれば反対されるほど、そういうものは燃え上がるのだ。
「マッシュ様だって、本当は、腹違いなだけではないですか」
「黙れ」
僕は殺気をこめて命じる。それでも、僕の側近は悔しそうな顔をする。
表向きは、僕は、遠縁の子だが、実際は、腹違いの、当主の子である。
義母は、なかなか子が出来ない上、やっと跡継ぎの男児を産んだというのに、それ以上、子が出来ない体となった。これには、一族が猛抗議したのだ。先代は亡くなったといえども、一族は、義父と義母の婚姻を認めていなかった。血が近すぎたからだ。生まれた跡継ぎが、妖精殺しの体質になるための試練を乗り越えられるとは思えなかったという。
だから、義父は、一族が用意した女と子を為すこととなった。義父と女は、遠縁で、血もそれなりだ。近すぎず、遠すぎず、と丁度よかったという。
僕は、万が一の予備として生まれたが、そんなこと知らずに、本物と信じていた両親の元で育っていたところ、跡継ぎである義兄が試練を乗り越えられなかったため、跡継ぎ候補の一人として、伯爵家に連れて行かれたのだ。
この時、僕が、実は当主の子だということを教えられた。
見事、僕は試練を乗り越え、一族は大喜び。その場で、実は当主の子だ、と義母に暴露してくれたのだ。
それから、僕は義母に憎悪されたが、屋敷にいる者たち、一族は全て、僕の味方であるため、義母一人が喚き散らすこととなった。
今回も、義母一人が騒いで、使用人たちは、諦めた顔をして振り回されているだけである。それなりの給金が出るので、使用人たちも、我慢出来るのだろう。
僕は、義母に言われた通り、別邸に行って、また、煙草を一本吸った。
「後で、義兄上の様子を見に行く」
「奥様が許しませんよ」
「だから、こっそりだ。義母上は薬で眠らせろ」
義母は一族の者といっても、ただの人だから、簡単だ。ちなみに、僕は、毒も薬も効かない。
義母が薬で眠った頃、僕は義兄の元に行った。
僕よりも五歳年上の義兄は、ベッドで上体を起こして、薬で眠らされている義母を見下ろしていた。
「義兄上、ご無沙汰しています」
「その顔は、母上がやったのか」
僕の頬の傷を見て、剣呑となった義兄は眠っている義母の頭を鷲掴みする。
「僕を傷つけても、義母上の爪が悪くなるだけだというのに」
「そうだね」
すぐに、義兄は笑顔になる。僕の言葉が、お気に召したようだ。
僕は、義母とは真逆の場所に椅子を持って、座った。
「体調はどうですか?」
「物凄く悪い。酷い女だ。寝てばかりでは当主になれない、と無理矢理、歩かせたんだ」
「それはまた、大変でしたね」
「これが私の母親だとは、最悪だ」
義母は、あんなに義兄に愛情を向けているが、義兄にとっては、迷惑でしかない。それどころか、義兄は、義母を蔑んでいる。
義母の前では、いい息子を演じているが。
次期当主として教育を受けている頃から、義兄は義母にはいい息子の顔をしていたが、実際は、義母のことを嫌っていた。
「この女が母親であるせいで、私はこんな貧弱な体だ」
自らの体の弱さを義母のせいだと恨んでいた。
義父と義母の結婚は、先代も、一族も大反対していた。それで生まれたのが義兄だ。しかも、腹違いの僕は、立派な跡継ぎとなった。
この結果だけ見れば、義兄が跡継ぎになれなかったのは、義母のせいだ。恨みたくもなるだろう。
義兄は、僕の傷ついた頬を撫でた。
「お前はいいな、妖精殺しになれて。帝国の恐怖の象徴になれて、羨ましい」
「病気になっても薬は効かないし、怪我を治すための魔法も届かないから、大変ですけどね」
「私もそうだ。こんな貧弱だというのに、薬も、妖精の良い魔法も、効果がない」
義兄は、試練を乗り越えられなかったが、妖精殺しの体質にはなった。だから、義母がどんなに医者を呼び寄せ、薬を集めても、義兄の体は貧弱なままだ。
義兄は、誰よりも、妖精殺しの貴族になりたがった。しかし、生まれ持った体質が、耐えられなかった。
「私はもう、跡継ぎでないというのに、母上は諦めずにいる。母上の口車に乗った婚約者まで、ここに連れて来たんだ」
「まあ、当主であれば、結婚して、子を為さないといけないですからね」
「私の子はダメだ」
「まあまあ、試しましょうよ」
「お試しは、私で十分だ。マッシュの子を後継にしろ」
「………」
僕は目を泳がせた。僕の子でなくていいんだ。遠縁から、才能のある子どもを養子にして、跡継ぎとして育てたほうが、遥かに確実だ。
義兄は、僕の手を握って、僕の顔をじっと見てきた。
「私は、こんな体になって、我が子なんてバカらしいと思っていた。だが、腹違いの弟がいると知って、嬉しかった。血のつながりというものは、いいものだよ」
「そうですか」
「お前はまだ、わからないだろうね」
たった五歳しか違わないのに、随分と年老いた物言いをする義兄。その五歳差のせいか、それとも、妖精殺しの体質となって苦しい日々を送っているからか、僕の前では、頼りになる兄の姿を見せた。
疲れたのだろう。義兄はベッドに横になった。
「どうせ、私は、貴族の学校に通うことも出来ないのだから、貴族になれない」
貴族にはるには、最低限、貴族の学校を卒業しなければならない。義兄は、学校に通う年頃になる前に、体を壊した。
「そんなの、金でどうにかなりますよ。実際、僕の成績は、金でどうにかなってます」
「首席を次席にするなんて、バカなことをして。首席じゃないと、母上に責められていると聞いているよ」
「首席をとったら、義母上が、義兄上に勉強しろ、とここに家庭教師を連れてきちゃうでしょう」
「ちょっと頭が痛くなってきた。休むよ」
義兄は、勉強嫌いだ。体調が悪いことを理由に、ベッドに深く潜り込んだ。
僕だって、勉強は嫌いだ。だが、次期当主となったため、強制的に、詰め込まれる。時には、嫌がらせのように、義母が口出しだけでなく、手まで出してくるから、やるしかない。
「今度、皇族が貴族の学校に通うこととなりました。皇族は、生徒会在籍は絶対です。その繋がりで、妖精の万能薬が手に入りやすくなるかもしれません」
力の強い妖精憑きが作る妖精の万能薬は、だいたいの病気も傷も治してくれるという。ただ、帝国が売買を担っている上、希少であるため、簡単には手に入らないのだ。
表向きはただの貴族である伯爵家といえども、簡単に手に入るわけではない。義兄のために、と義父は順番待ちの列に並んでいるが、せいぜい、数本、手に入ればいいところだ。
それでも、義兄の寿命を伸ばす程度だという。妖精殺しである義兄には、妖精の万能薬の効能はほとんど打ち消されてしまう。僅かに残った効能が、義兄を生かしているのだ。
「無理をしないように。城から出てくる皇族が、ただの世間知らずとは限らない」
義兄は、僕のことを心配していう。
「どういう立場か、調べさせています。皇族が貴族の学校に通う噂を流せば、皇族に繋がりのある貴族どもが、勝手にさえずってくれるでしょう」
「そういう噂話はほとんどは嘘と決まっている」
「それでも、ほんの僅かの真実は混ざっていますよ。義兄上は、大人しく寝てください」
「この女と一緒の部屋に寝るのはイヤだ。私も、あの部屋で寝たい」
あの部屋とは、次期当主に与えられる私室である。
「あんな部屋で寝たら、体調がもっと悪くなるでしょう」
「マッシュ、一緒に、あの部屋で寝よう」
「義母上が、別邸に行けと言ったので、別邸で寝ます」
「あの部屋は、マッシュのものだ!! 別邸になんか行くな!!!」
「義父上が帰ってきてから、頼んでください。今、この屋敷の主は、義母上ですよ」
「マッシュが、母上の言いなりになっているから、そうなっているんだ。マッシュが次期当主として、きちんとしていれば、誰も、母上の命令に従わない」
「まだ学生なんですよ。楽させてください」
「………ごめん」
「好きにさせればいいですよ。どうせ、全て、空回りだ」
義母がやっていることは、無駄だ。頭の悪いことを感情にまかせてやっているから、全て、失敗する。
義母は良かれと思ってやっているが、どんどんと義兄の立場を悪くしていっているのだ。そのことに気づいた時、義母は絶望するだろう。
僕は、ただ、義母が自覚するのを待っているだけだ。
一応、僕は伯爵とは遠縁に当たる。血筋的には、問題ない。だけど、いつ、一族の誰かが足を引っ張るかわからないので、僕なりに隙を作らないようにした。
貴族の学校に通うようになってからは、常に成績を次席に保っていた。首席は、その他に譲った。間違って、首席よりも点数をとってしまった時は、教師を買収して、次席の点数に変えさせた。
そうして、一族からも認められるように、立派な伯爵の跡継ぎを貴族の学校でも演じていた。
「今年の新入生の首席は、皇族様だって」
生徒会役員をしているから、そういう情報が普通に入ってくる。
「ああ、あの子か」
入学試験を受けるから、と皇族が来たのだ。皇族の周囲は、騎士数名と、なんと筆頭魔法使いまで護衛について、物々しかった。生徒会役員は、入学試験会場では裏方をしているから、試験を受けに来た皇族を見ることが出来た。
可愛らしい女の子だ。ふわふわと、砂糖菓子みたいな感じがした。常に笑顔を振り撒いて、筆頭魔法使いと話していた。
皇族といっても、何か特別なものがあるわけではない。皇族は血筋だ。見た目は重要ではない。皇族は、貴族とは違う価値観で動いている。
「首席って、成績を表に出すなんて、珍しいな」
そして、違和感の正体に気づいた。皇族の成績は表に出さない。それは、皇族が貴族に負けたことを表沙汰にしないためだ。皇族は常に頂点でないといけない。だから、試験を受けても、皇族の成績は除外される。
「皇族様の希望だと。学校側としては、拒否したんだが、結局、いい点数だから、表に出したんだと」
「学校も気の毒に」
つまり、皇族の試験の結果が悪かったら、出されなかったわけである。
さらにいうなら、皇族は本物の天才、ということだ。
「今年から、皇族様が生徒会役員だぞー。お前たち、気を引き締めろー」
「あー、そうだったー」
「今年の二年生は大変だなー。二年生は、一年生の世話役だからな」
「どうして皇族が貴族の学校に来るんだよ!!」
「城の奥にいればいいのにーーーーーー!!!」
目の前に皇族がいないから、と不敬罪なことを叫ぶ、今年の二年生。
「僕たちは皇族から遠くて助かったな」
他人事、みたいに笑う、僕の相方ナックル。
「お前なー、生徒会役員になるんだから、何かあった時は、僕たちもしりぬぐいをすることとなるんだぞ」
「それは、二年生の役割だから」
「二年生の手におえられれば、な」
「そういう、不安になることをいうなよ!!」
ちょっと揺さぶってやれば、気苦労の多いナックルは、すぐ、半泣きだ。
「ただでさ、お前との縁が続いているってのにぃ」
「えー、一年生からずっと、首席と次席を守り通してる仲なんだから、仲良くしようよー」
「卒業したら、縁を切ってやる」
ナックル、からかうと楽しいから、ついつい、やり過ぎて、嫌われてしまった。人が好いから、結局、腐れ縁は続くだろうけど。
「さて、どんなお姫様だろうな」
生徒会として関わることとなるので、僕は家の力を使って、皇族シーアのことを調べることにした。
生徒会の集まりが終わってから、屋敷に戻れば、なかなか、騒がしくなっていた。
「医者を!!」
「旦那様に連絡を」
「湯を準備しろ!!」
使用人たち、家臣たちが慌ただしく動いている。僕が帰ってきても、出迎えすらない。養子とはいえ、跡継ぎなんだけどなー。
私室に戻れば、同じ貴族の学校に通っている、僕の側近が待ち構えていた。
「義兄上、また、吐血した?」
「今日は調子がいい、と奥様と庭で散歩している途中で、吐血しました」
「医者の許可はあったのか?」
「ありません」
「義母上にも、困ったものだ」
義母が、勝手に義兄を連れ出したのだ。
「マッシュ様」
僕の側近は、屋敷中、大騒ぎだというのに、僕に煙草を差し出した。
「これで、義兄上の体が壊れたってのになぁ」
それでも、伯爵の跡継ぎは、一日に一本、必ず、この煙草を吸うこととなっている。まだ子どもだから、とか、関係ない。
僕が養子として引き取られた伯爵家は、表向きはどこにでもいる貴族だが、裏では妖精殺しの貴族として恐れられている。
妖精殺しの貴族とは、妖精の魔法が届かない、妖精憑きの天敵だ。妖精殺しは、良い魔法も悪い魔法も届かないという。そのため、妖精を生まれ持つ妖精憑きを妖精殺しは殺せるのだ。
大昔、妖精殺しは、手に負えない妖精憑きを処分する存在だったという。一族の長が、妖精殺しとなり、妖精を狂わせる香を作り、帝国の闇を暗躍していたのだ。
それも、今では、妖精殺しは一貴族として息を潜め、代々の当主が、妖精殺しとなり、妖精を狂わせる香の製法をただ一人知る存在となった。
伯爵である義父は、妖精殺しの貴族である。そして、僕は、次代の妖精殺しの貴族となるために、妖精殺しの体質を後天的に作り変え、妖精を狂わせる香の製法を受け継ぎ、学生の身の上で、せっせと当主代理をこなしている。
今、妖精殺しの体質を後天的に作り変える手段の一つとして、特殊な煙草を吸っている。最低限、この煙草を乗り越えないと、跡継ぎになれないのだ。
煙草から出る煙は全て、屋敷の外へと出るように、窓を全開にしての喫煙である。喫煙に、年齢制限はないが、未成年は好ましくない、と帝国では言われている。
「あなた、こんな時によくも、煙草なんか吸えるわね!!」
そこに、義母がやってきて、僕の日課の煙草を取り上げた。
「あの子が倒れたというのに、こんな煙を出して、非常識よ!!」
「申し訳ございません、すぐに、別邸に移動します」
「永遠に、別邸にいなさい!!」
「奥様、それでは、当主の仕事が」
「当主はわたくしの子よ!!」
僕の側近が間に入って、余計、義母を怒らせた。僕は、側近を下がらせ、ついでに、義母を部屋から押し出した。
「この部屋は、先祖から、連綿と、あの煙草が受け継がれるように、こびりついています。義母上の体にうつったら、義兄上も苦しむこととなりますよ」
「この部屋は、あの子のものよ!! お前だけは、絶対に当主にさせない」
「そのためにも、義兄上の体をもっと労わってください」
「触るな!!」
義母が僕の手を払うついでに、僕の頬を爪でひっかいた。
側で見ていた側近が武器に手をかけるが、僕はそれを視線だけで止めた。義母は忌々しいと僕を睨んで、義兄の元へと去っていった。
「こんなこと、いつまで許しているのですか」
僕の側近は、我慢ならない。義母は、今、お荷物となっているのだ。
一族としては、妖精殺しの貴族の跡継ぎになれない義兄は邪魔だ。だが、義母は諦めきれず、無駄に足掻いている。
義母は、無駄に金を使って、医者を集め、薬を集め、どうにか、義兄を妖精殺しの貴族にしようとしている。
そして、義父は、義母の好きにさせているから、誰も止められない。
「だいたい、旦那様と奥様は、血が近すぎるから、と先代様からも反対されたというのに、それを無視して結婚して、その結果が、あのご子息ですよ。自業自得です」
「義父上とは相思相愛だったんだ。そういうものに、理性は通じない」
貴族の学校では、大恋愛だったという。ほら、反対されれば反対されるほど、そういうものは燃え上がるのだ。
「マッシュ様だって、本当は、腹違いなだけではないですか」
「黙れ」
僕は殺気をこめて命じる。それでも、僕の側近は悔しそうな顔をする。
表向きは、僕は、遠縁の子だが、実際は、腹違いの、当主の子である。
義母は、なかなか子が出来ない上、やっと跡継ぎの男児を産んだというのに、それ以上、子が出来ない体となった。これには、一族が猛抗議したのだ。先代は亡くなったといえども、一族は、義父と義母の婚姻を認めていなかった。血が近すぎたからだ。生まれた跡継ぎが、妖精殺しの体質になるための試練を乗り越えられるとは思えなかったという。
だから、義父は、一族が用意した女と子を為すこととなった。義父と女は、遠縁で、血もそれなりだ。近すぎず、遠すぎず、と丁度よかったという。
僕は、万が一の予備として生まれたが、そんなこと知らずに、本物と信じていた両親の元で育っていたところ、跡継ぎである義兄が試練を乗り越えられなかったため、跡継ぎ候補の一人として、伯爵家に連れて行かれたのだ。
この時、僕が、実は当主の子だということを教えられた。
見事、僕は試練を乗り越え、一族は大喜び。その場で、実は当主の子だ、と義母に暴露してくれたのだ。
それから、僕は義母に憎悪されたが、屋敷にいる者たち、一族は全て、僕の味方であるため、義母一人が喚き散らすこととなった。
今回も、義母一人が騒いで、使用人たちは、諦めた顔をして振り回されているだけである。それなりの給金が出るので、使用人たちも、我慢出来るのだろう。
僕は、義母に言われた通り、別邸に行って、また、煙草を一本吸った。
「後で、義兄上の様子を見に行く」
「奥様が許しませんよ」
「だから、こっそりだ。義母上は薬で眠らせろ」
義母は一族の者といっても、ただの人だから、簡単だ。ちなみに、僕は、毒も薬も効かない。
義母が薬で眠った頃、僕は義兄の元に行った。
僕よりも五歳年上の義兄は、ベッドで上体を起こして、薬で眠らされている義母を見下ろしていた。
「義兄上、ご無沙汰しています」
「その顔は、母上がやったのか」
僕の頬の傷を見て、剣呑となった義兄は眠っている義母の頭を鷲掴みする。
「僕を傷つけても、義母上の爪が悪くなるだけだというのに」
「そうだね」
すぐに、義兄は笑顔になる。僕の言葉が、お気に召したようだ。
僕は、義母とは真逆の場所に椅子を持って、座った。
「体調はどうですか?」
「物凄く悪い。酷い女だ。寝てばかりでは当主になれない、と無理矢理、歩かせたんだ」
「それはまた、大変でしたね」
「これが私の母親だとは、最悪だ」
義母は、あんなに義兄に愛情を向けているが、義兄にとっては、迷惑でしかない。それどころか、義兄は、義母を蔑んでいる。
義母の前では、いい息子を演じているが。
次期当主として教育を受けている頃から、義兄は義母にはいい息子の顔をしていたが、実際は、義母のことを嫌っていた。
「この女が母親であるせいで、私はこんな貧弱な体だ」
自らの体の弱さを義母のせいだと恨んでいた。
義父と義母の結婚は、先代も、一族も大反対していた。それで生まれたのが義兄だ。しかも、腹違いの僕は、立派な跡継ぎとなった。
この結果だけ見れば、義兄が跡継ぎになれなかったのは、義母のせいだ。恨みたくもなるだろう。
義兄は、僕の傷ついた頬を撫でた。
「お前はいいな、妖精殺しになれて。帝国の恐怖の象徴になれて、羨ましい」
「病気になっても薬は効かないし、怪我を治すための魔法も届かないから、大変ですけどね」
「私もそうだ。こんな貧弱だというのに、薬も、妖精の良い魔法も、効果がない」
義兄は、試練を乗り越えられなかったが、妖精殺しの体質にはなった。だから、義母がどんなに医者を呼び寄せ、薬を集めても、義兄の体は貧弱なままだ。
義兄は、誰よりも、妖精殺しの貴族になりたがった。しかし、生まれ持った体質が、耐えられなかった。
「私はもう、跡継ぎでないというのに、母上は諦めずにいる。母上の口車に乗った婚約者まで、ここに連れて来たんだ」
「まあ、当主であれば、結婚して、子を為さないといけないですからね」
「私の子はダメだ」
「まあまあ、試しましょうよ」
「お試しは、私で十分だ。マッシュの子を後継にしろ」
「………」
僕は目を泳がせた。僕の子でなくていいんだ。遠縁から、才能のある子どもを養子にして、跡継ぎとして育てたほうが、遥かに確実だ。
義兄は、僕の手を握って、僕の顔をじっと見てきた。
「私は、こんな体になって、我が子なんてバカらしいと思っていた。だが、腹違いの弟がいると知って、嬉しかった。血のつながりというものは、いいものだよ」
「そうですか」
「お前はまだ、わからないだろうね」
たった五歳しか違わないのに、随分と年老いた物言いをする義兄。その五歳差のせいか、それとも、妖精殺しの体質となって苦しい日々を送っているからか、僕の前では、頼りになる兄の姿を見せた。
疲れたのだろう。義兄はベッドに横になった。
「どうせ、私は、貴族の学校に通うことも出来ないのだから、貴族になれない」
貴族にはるには、最低限、貴族の学校を卒業しなければならない。義兄は、学校に通う年頃になる前に、体を壊した。
「そんなの、金でどうにかなりますよ。実際、僕の成績は、金でどうにかなってます」
「首席を次席にするなんて、バカなことをして。首席じゃないと、母上に責められていると聞いているよ」
「首席をとったら、義母上が、義兄上に勉強しろ、とここに家庭教師を連れてきちゃうでしょう」
「ちょっと頭が痛くなってきた。休むよ」
義兄は、勉強嫌いだ。体調が悪いことを理由に、ベッドに深く潜り込んだ。
僕だって、勉強は嫌いだ。だが、次期当主となったため、強制的に、詰め込まれる。時には、嫌がらせのように、義母が口出しだけでなく、手まで出してくるから、やるしかない。
「今度、皇族が貴族の学校に通うこととなりました。皇族は、生徒会在籍は絶対です。その繋がりで、妖精の万能薬が手に入りやすくなるかもしれません」
力の強い妖精憑きが作る妖精の万能薬は、だいたいの病気も傷も治してくれるという。ただ、帝国が売買を担っている上、希少であるため、簡単には手に入らないのだ。
表向きはただの貴族である伯爵家といえども、簡単に手に入るわけではない。義兄のために、と義父は順番待ちの列に並んでいるが、せいぜい、数本、手に入ればいいところだ。
それでも、義兄の寿命を伸ばす程度だという。妖精殺しである義兄には、妖精の万能薬の効能はほとんど打ち消されてしまう。僅かに残った効能が、義兄を生かしているのだ。
「無理をしないように。城から出てくる皇族が、ただの世間知らずとは限らない」
義兄は、僕のことを心配していう。
「どういう立場か、調べさせています。皇族が貴族の学校に通う噂を流せば、皇族に繋がりのある貴族どもが、勝手にさえずってくれるでしょう」
「そういう噂話はほとんどは嘘と決まっている」
「それでも、ほんの僅かの真実は混ざっていますよ。義兄上は、大人しく寝てください」
「この女と一緒の部屋に寝るのはイヤだ。私も、あの部屋で寝たい」
あの部屋とは、次期当主に与えられる私室である。
「あんな部屋で寝たら、体調がもっと悪くなるでしょう」
「マッシュ、一緒に、あの部屋で寝よう」
「義母上が、別邸に行けと言ったので、別邸で寝ます」
「あの部屋は、マッシュのものだ!! 別邸になんか行くな!!!」
「義父上が帰ってきてから、頼んでください。今、この屋敷の主は、義母上ですよ」
「マッシュが、母上の言いなりになっているから、そうなっているんだ。マッシュが次期当主として、きちんとしていれば、誰も、母上の命令に従わない」
「まだ学生なんですよ。楽させてください」
「………ごめん」
「好きにさせればいいですよ。どうせ、全て、空回りだ」
義母がやっていることは、無駄だ。頭の悪いことを感情にまかせてやっているから、全て、失敗する。
義母は良かれと思ってやっているが、どんどんと義兄の立場を悪くしていっているのだ。そのことに気づいた時、義母は絶望するだろう。
僕は、ただ、義母が自覚するのを待っているだけだ。
0
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
過労死して転生したので絶対に働かないと決めたのに、何をしても才能がバレる件
やんやんつけバー
ファンタジー
過労死して異世界転生。今度こそ絶対に働かないと決めたのに、何をやっても才能がバレてしまう——。農村で静かに暮らすはずが、魔力、農業、医療……気づけば誰も放っておかない。チートで穏やか系の異世界スローライフ。
イジメられっ子世に憚る。
satomi
ファンタジー
主人公須藤正巳はぼんやりと教室で授業を受けていた。その時、突然教室中に物凄い量の光が…。 正巳が属する2-C全員が異世界転移することとなってしまった。 その世界では今まで正巳が陰キャとして読み漁ったラノベともゲームとも異なり、レベルがカウントダウン制。つまりレベル999よりレベル1の方が強い。という世界だった。 そんな中、クラスのリーダー的陽キャである神谷により全員で教室の外に出ることに。 いきなりドラゴンに出会い、クラスの全員がとった行動が『正巳を囮にして逃げること』だった。 なんとか生き延びた正巳は、まず逃げた連中へ復讐を誓う。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
追放された公爵令息、神竜と共に辺境スローライフを満喫する〜無敵領主のまったり改革記〜
たまごころ
ファンタジー
無実の罪で辺境に追放された公爵令息アレン。
だが、その地では神竜アルディネアが眠っていた。
契約によって最強の力を得た彼は、戦いよりも「穏やかな暮らし」を選ぶ。
農地改革、温泉開発、魔導具づくり──次々と繁栄する辺境領。
そして、かつて彼を貶めた貴族たちが、その繁栄にひれ伏す時が来る。
戦わずとも勝つ、まったりざまぁ無双ファンタジー!
掃除婦に追いやられた私、城のゴミ山から古代兵器を次々と発掘して国中、世界中?がざわつく
タマ マコト
ファンタジー
王立工房の魔導測量師見習いリーナは、誰にも測れない“失われた魔力波長”を感じ取れるせいで奇人扱いされ、派閥争いのスケープゴートにされて掃除婦として城のゴミ置き場に追いやられる。
最底辺の仕事に落ちた彼女は、ゴミ山の中から自分にだけ見える微かな光を見つけ、それを磨き上げた結果、朽ちた金属片が古代兵器アークレールとして完全復活し、世界の均衡を揺るがす存在としての第一歩を踏み出す。
この世界はわたしが創ったんだから、わたしが主人公ってことでいいんだよね!? ~異世界神話創世少女 vs 錯誤世界秩序機能~
儀仗空論・紙一重
ファンタジー
これは、物語を作る物語。
空白のページのような真っ白な世界から錯誤世界へと放り出されたのは、何も知らない、何も持たない少女。
記憶すら持たない少女は、自分が何者であるかを探す中で、“始源拾弐機関”という物語、そして、この世界へと転生者を召喚する神と出会う。
対話と対峙、旅をする中で出会うそれらが、きっと少女を成長させていく。
世界を創ったのは誰で、神話を語るのは誰で、この物語は誰のものなのか。
これは、少女が物語を作る物語。
※随時、加筆修正を行っております。また、誤字脱字、表記ぶれなど、気になるところがあればご報告いただけるとありがたいです。
※少し転生モノをメタっていますが嫌いな訳ではありません、ご了承下さい。勘弁して下さい。
※筆者はボカロが好きです。
※タイトルや章の文字化け黒塗り等は仕様です。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる