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神曰く神ゲーとの事
しおりを挟む「ーーーはっ!!?やべぇ、ドロップしたの満足してデスクに突っ伏して寝落ちしちまってた!」
男は勢いよく起き上がるように身体を起こしてゲーム画面を確認しようとするが
「あれ...俺のゲーミングPCが無い...というかここ俺の部屋じゃない!?夢...なのか!?」
周囲をきょろきょろと見まわしてみるが、安月給のサラリーマンが住んでいた狭い1LDKの部屋ではないことは確かである。
やけに豪華と言うかソファーが置いてあったり、調度品なども飾られている品のいい応接室といった感じだ。
その部屋のソファーに座るような形で男は意識が戻っていた。
それになんだか身体の感覚もおかしい気がする、夢の中特有の浮遊感と言うか熱に浮かされているような感じと言うか。
そうして周囲を確認していると座っていたソファーの後ろ側からガチャというドアを開ける音が聞こえてきた、それと同時に数人部屋に入ってきた足音も聞こえる。
そして男の向かい側、テーブルを挟むような形で部屋に入ってきた人物の一人はどっしりとソファーに腰を下ろして話しかけてきた。
「ようこそ、神が創った神ゲーの世界アルカディアシステムへ。君は幸運にもこの世界のデバッカーとして転生することになった。地球世界、日本生まれの津田悠くん」
やけに威厳のある声でその壮年の男は名前を知っている素振りで話しかけてきた。
話しかけてきた男の外見は短く整えた金髪に顔にはしわなど見えるが筋肉もしっかりと付いており若く見える、服装は高級そうなビジネススーツに身を包んている。俗にいうイケオジと言った感じだ。
その脇に二人、同じくビジネススーツに身を包んだ美男美女が一名ずつソファーの左右に立ちながら控えている。
「は...?転生...?いやいや、最近そういうアニメとか漫画が流行ってるって少しは読んだり見たりしてたけど、夢に見るまでハマってたかなぁ」
悠はこの状況を未だに夢だと思いながらも妙にリアルだなと感じて感じていた
「おや、地球世界の日本生まれはこういう場面の呑み込みが早いと聞いていたが違ったかね?アーゼン君」
「どうやら彼はまだ状況が飲み込めてない様子、少し説明をすればすぐに理解するかと」
「ふむ、それもそうか。では聞いてくれ」
その壮年のイケオジは脇に控えている片方の金髪のイケメン、アーゼンと言われた男と何やら話してからこちらを向いて話を続けてきた。
いつの間にか手元には資料のような紙も用意してそれを確認しながら話しかけてくる。
「まず津田悠くん、君は日々の不誠実な食生活や生活習慣、加えて睡眠不足などが積み重なって心臓発作で突然死した。当然と言えば当然だ、仕事は遅くまで行い、エナジードリンクを沢山飲み食生活も悪い、加えてゲームをやりたいがために睡眠を削りそんな生活を長年続けていればそうもなる。だかしかし...」
悠は自分の少し気にしていた部分を言われて居心地の悪さを感じながらも、状況を飲み込む為にその男の言葉を聞いている。
「ゲームにかけるその情熱、そこを評価して魂を転生させることになった。我々も人手不...いやちょうど良くデバッカーを探していてね、この神々が創っている新世界アルカディアシステムへとね」
そういうとテーブルの上にホログラムのような物が浮かび上がりそこには地図のような物やら惑星のような物やらと色々な情報が表示されている。
「我々は考えたのだよ、天国や楽園の概念も日々変わっている、時代のニーズに合わせた形に進化させていかねばならないとね。そこで創っているのが君の世界で流行っていたゲームや漫画を基にした世界だ、スキルやお宝、数え切れない冒険があるのが現代の楽園なのではないかとね」
その話を聞いて少し考えた後悠は思った疑問を質問する。
「なるほど...俺は本当に死んで転生させられる事はなんとなく分かった、だけど俺はただのゲーム好きのおっさんだったんだぞ?役に立てるとは思えないが」
悠は自分の生涯を振り返ってみるが、とにかくゲームしかしてなかった思い出がある。それも特にハクスラと呼ばれる割と人を選ぶジャンルのゲームばかりやっていた。
「無論こちらから支援はさせてもらう、ただ事情があってあまり手厚い支援は出来ないのだが...ルーシャくん、彼にあれを」
今度は脇に控えていた黒髪の美女が何やら七色に輝く宝石のような物を手に持ってテーブルの上に置いていく。
「これはスキルジェム...アルカディアシステムの世界で能力を得るために必要なアイテムだ、手に取って強く握って見たまえ」
悠は言われるがままにスキルジェムと呼ばれた宝石をテーブルから手のひらに乗せて、強く握ってみる。
すると宝石は手の中で溶けるように消えていき、その力は体の中へと吸収されていった。
「スキルジェムにも様々な種類がある、今のは能力を習得するタイプのジェムだ。ほかにも武器や防具にエンチャントするタイプなど色々存在している。そして今君が吸収したのがデバッカーとしてのスキル、ルーシャくん説明を頼めるかね」
「はい、今悠さんが習得したスキルはデバッカースキル群です。【自動蘇生】【バグ報告】【アナライズ】の三つです、具体的にはスキル【自動蘇生】は肉体的及び魂の欠損などが発生した場合、再生し規定地点で蘇生します。【バグ報告】はアルカディアシステム内で発生した不具合などを我々に報告することが出来ます、そして【アナライズ】は対象の状態を確認することが出来ます、これにより悠さん自身でバグを直すことも可能になる場合があります」
短い説明を聞き終わった悠は何とも言えない気持ちで質問をしていく。
「えっと...何というか...地味じゃないかこれ?確かにありがたいんだけどもっと転生といえば最強!みたいなスキルなんじゃ...」
「んんっ!君がそう思うだけで強いスキルだから安心してくれ!きっとどうにかなる!さて我々も時間があまりなくてね、そろそろ君にはアルカディアシステムへと転生してもらう、分からないことがあれば所持品にいれておくマニュアルを読んで解決してくれ!ほかにも初期装備を与えておく」
そう言うと悠の意識はまた少し遠のいていく感覚を感じながら身体も消えようとしていた。
そして意識が完全に遠のこうとした間際、聞こえた言葉が悠を不安にさせていた。
「ソルシオス様、良かったのですか?デバッカーと言ってもまだアルカディアシステムは完成度がかなり低く...」
「テストしろと上の神たちがうるさいんだ、彼には頑張ってもらうしかない...」
その言葉がぼんやり聞こえた後、悠の身体は完全に転生した。
---アルカディアシステムver0.24---
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