ボッチの少女は、精霊の加護をもらいました

星名 七緒

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第1章

これは食べ物です

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 お米が欲しい。白米が食べたい…。日本人の主食は「米」なんです!
 パンも美味しいよ?パンが主食の人たちは、パンは飽きないだろうけど。
 私は日本人。見た目は西洋人に見えるけど…。パンは毎日じゃ飽きる。でもお米は毎日食べても飽きないもん。さすが「日本のソウルフード」ですよ!

 今日は「グエッグエッの店」へやってきた。もちろん卵を買うため。

「こんにちは、アンナさん」 

「いらっしゃい、アリサちゃん」

「クックルーの卵を20個ください」

「今箱に入れるわね」

 いつものように、箱に卵を入れてもらう。この卵は新鮮だし、ご飯があったら、卵かけご飯が食べたい。


「こんにちはー、荷物お持ちしましたー」

「あら、いつもありがとう」

「いつもの裏の方へ置いておきますね」

「お願いね」

 荷物を運んできたというお兄さんは声をかけて、すぐ出ていった。何の荷物かな?

「すみません、忙しい時に来たみたいで…」

「いいのよ。クックルーの餌を持ってきてもらったのよ。いつも声をかけてもらって、裏の小屋に運んでもらってるの」

 そうなんだ。ところで、クックルーの餌って?

「クックルーって、なにを食べているんですか?」

「リーゾをあげているの」

「リーゾ?」

「アリサちゃんは知らないかもしれないわね。小麦みたいなんだけど、少し固いの」

「小麦みたいで、固い…?」

 なんかその感じ、気になるんですけど…?

「あの、リーゾって見せてもらえませんか?」

「いいけど。アリサちゃん、鳥を飼っているの?」



 裏の小屋の方へ案内してもらった。高鳴る胸のドキドキ。も、もしかすると?

「アントニオ、荷物下ろしているとこ、悪いわね。ちょっとリーゾを見せてもらえる?」

「えっ?俺、へんなもの混ぜてないですよ!」

 アントニオさんは急に荷物を見せろと言われて、怯えている。すみません、違うんです。

「疑ってなんかいないわ。この娘がね、リーゾを見たいんですって」

「そうなんですか。いや、すみません。びっくりしちゃって…」

「こちらこそ、へんなこと頼んで、すみません」

 私はアントニオさんに謝る。

「お嬢ちゃんは、リーゾを見たことがないのかい?」

「はい。ちょっと見せてもらってもいいですか?」

「はいよ、ちょっと待ってな」


 アントニオさんは、手に持っていた袋の口を開けて、中を見せてくれた。
 こ、これは!まさしく、米!お米ですよ!まだ籾殻のついた玄米じゃないですか!

「これ、お米ですね?」

 私は興奮のあまり、大きい声を出してしまった。

「これはリーゾだよ」

「いや、リーゾって、お米ですよ」

「もしかして、あんた西の国出身かい?」

「違いますよ」

「そうか。いや、西の国の方じゃ、リーゾを料理して食べるって聞いたからさ」

「アリサちゃんは、鳥の餌を食べるつもりなの?」

 アンナさんは、顔をしかめてる。

「お米って、美味しいんですよー」

と力説した。
 ん?今「西の国では食べられてる」って言った?

「食べるところもあるんですね?」

「そうみたいだよ。煮て食べるって聞いたことあるけど、詳しくは知らないんだ」

 やっぱり食べる人もいるってことだね。
 ヒャッホー!アリサは米を見つけた!やったね!

「私もリーゾが欲しいです!」

「リーゾを食べるのか?それなら、殻をとった方がいいのか?」

 えっ?もしかして、精米してくれるの?

「確か食べる時は白くした方がいいって、聞いたことがあるからさ。違ったかな?」

 よくご存じで!

「そうです。精米してくれますか?」

「いいよ。但しキレイにするから、その分手間賃は上乗せさせてもらうよ」

「もちろんです。ありがとうございます」

 玄米だって、体にいいんだよ。でも炊くのが大変なんだよね。自分で精米してもいいけど、手作業だと時間がかかるし…。やってもらえるなら、ありがたいです。
 米=リーゾは、飼料として売られていた。そのため、価格は安かった。精米の手間賃を入れても、安く手に入れることができた。アリサ、ご機嫌です!
 西の国のみなさん、お米を食べててくれて、ありがとう。



 2日後、アントニオさんがお店へお米を届けてくれました。
 さあ、炊いてみよう。おじさんは「リーゾ」を食べたことも、調理したこともないそうだ。今日も、おじさんに見られています。

「トリの餌だろ?旨いのか?」

「美味しいですって!」

 それに餌って言わないで。ちゃんとした食べ物です。

 お米を3~4回とぐ。鍋に入れ、水を入れる。水加減は確か、米の1.2倍?1.3倍だったかな。人差し指の関節ぐらいまで、水を入れてみる。これぐらいか。このまま30分ぐらい水につけておくんだけど…。どうしようかな。…いや、待とう。おいしいご飯のため。
 30分くらいたった。鍋をコンロの上へ。火加減は中火くらい。鍋にフタをして待つ。
 しばらくして、ブクブク。音がしてきた。弱火にする。フタから、泡がこぼれてきた。もう少しだ。
 10分くらいして、プツプツ音がしてきた。これくらいかな。開けてみようかな。
 フタを開けてみる。ホワ~っと、ご飯が炊けたいい香りが広がる。
 成功だよ!えっと、少し蒸らさなきゃ。フタをして、しばらく待つ。

 学園で、停電したことがあった。夕飯を作る前で、暗くなるし、ご飯のこともあるし、どうしようとオロオロする私たちに、園長先生が
「ご飯を炊きましょう」
って言って、ガスコンロでご飯を炊く方法を教えてくれた。停電になり、不安になる私たち学園生を落ち着かせるためであったと思う。

「鍋で炊いたご飯もおいしいでしょ」

 ロウソクの光の中で食べたご飯は、確かに美味しかった。その教えが役に立つとは!ありがとう、園長先生。

 そろそろ、ムラしもいい頃合いかな。フタを開けて、スプーンでかきまぜる。すこしとって、食べてみる。
 美味しい!これよ、これ。白米!愛しの白米ちゃん!

「できたよ~」

 みんなで食べてみよう。昼間なので、おじさん、おばさん、ミリア、コイルさん、私の5人。美味しいよー。久しぶりの白米。

「ほおー、これは旨いなあ。鳥の餌とは思えん」

 おじさん、餌って言わないでください。

「リーゾって柔らかくて、噛んでいると、甘くなってくるね」

「お姉ちゃん、ハンバーグとリーゾって合うね」

 ミリアもそう思う?おかわりしちゃおうかな。

「おかわり!」

 えっ?心の声が聞こえる。違った。コイルさんでした。コイルさんにおかわりを渡すと、ハンバーグと一緒に食べだす。そんなに、詰め込むと…。

「ゴホッ、ゴホッ」

  ほら、むせた。ゆっくり噛んで食べてください。

「アリサ、リーゾも出すことにしよう」

 食事の基本は、パン。リーゾが食べ物と思わない人もいるため。パンをリーゾに替えることもできる。でも、朝におにぎりもいいかもね。



~~~~~~~~~~~~~~~~

 ご飯も出したくて、書いてみました。
 次は少し長い回になりそうです。

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