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第2章
おかみさん、怒る
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「それは旨かったかい?」
入口の方から、女の人の声がする。
「そりゃあ、旨かったです!あっ!」
「うっ!」
声のする方を見ると、私より頭一つ分くらい背の低い女の人が立っていた。
「ビ、ビージル。お、お前、か、帰りが早いじゃないか」
ブラーギさんは、なぜかあたふたしてる。ドードルさんはうつむき、そばにあった棚に身を寄せるようにしている。
「昨日から、2人の様子が変だったからね。出かける振りをして、様子を見てたのさ」
「おかみさん、お人が悪いです」
ドードルさんが小声でつぶやく。
「なんだって?ドードル、はっきり言いな!」
「いえ、なんでもないです」
「いや、あの、ビージル、様子を見てたって?その、あれだ…」
「ブラーギ。あれって、なんだい?」
「いや、あの、ホレ、お客の前じゃ、大声出すのは、ホレ、みっともないじゃないか?」
「みっともないだって?」
ビージルさんと呼ばれた女性が、ブラーギさんとドードルさんをにらみつける。
その時、腕をツンツンとつつかれた。
「あのおかみさんは、ブラーギさんの奥さんのビージルさんよ」
ドリーが小声で、教えてくれた。
「ビージルさんもドワーフ族なの?」
私も小声で、ドリーに聞く。
「そうよ」
「えっと、奥さんのビージルさんは、なんで怒っているのかな?」
「さあ?」
2人でこそこそと話していると、ビージルさんがこちらを向く。
「そこにいるのは、たしか”陽だまり”のドリーちゃんだったよね?」
「はい。お邪魔してます、ビージルさん。こっちは”川の夕暮れ亭”のアリサです」
「”川の夕暮れ亭”?ハンバーガーで有名なトコだね?アタシは、このろくでなしのブラーギの妻、ビージルだよ」
「はじめまして、ビージルさん。私はアリサです。今回、ブラーギさんに道具作りをお願いしたんです」
「道具作りを頼んだって?」
「はい」
「聞いてなかったねえ」
「え?」
話を聞いたところ、次の通りだった。
今回、私が道具作りをお願いした時、いつも店番をしているビージルさんは丁度用事で出かけていたという。ビージルさんが帰ってきて、ブラーギさんとドードルさんは彼女の分のハンバーガーを頼んでないのに気がついた。その時になって、代金をハンバーガーにしているし、怒られると思ったそうだ。二人は相談した結果、泡立て器とハンバーガーのやり取りを、ビージルさんには内緒にすることにした。そして、昨日の内にビージルさんに用事をお願いし、今日出かけるように仕向けたという。
なんでそんな回りくどいことをしたかなあ。始めから、2人のうちのどちらかが食堂へ来て、一人分追加してくれって言えば、済む事じゃなかったのかなあ。おじさんが念のため、一人分追加で持っていけと言ったのは、ビージルさんの分だったんだね。おじさん、ナイスです。ただ、おじさんも普通に、おかみさんの分がいるはずだと一言いっておいてくれればよかったのに。
「あの、ちゃんとビージルさんの分もありますから!」
「ホッホー、アリサ嬢ちゃん、3人分持ってきてくれてたのか?」
ホッとしたように、ブラーギさんが言う。
「よそのお嬢さんは、ちゃんと私のことも考えてくれてたのに、旦那のお前さんはなんだい!内緒でコトを進めようだなんて」
「いや、その」
「それにドードル、お前もだよ!」
「は、はい!」
「親方夫婦といえば、親も同然じゃないか!それなのに忘れるなんて、アタシゃ情けないよ!」
「すみません!おかみさん!」
ドードルさんは、平身低頭する。
「すみません。私が変なこと頼んだばっかりに…」
「アリサちゃんが謝る事じゃないよ。悪かったねぇ、変なとこ見せちまって」
「ビージルさん、このハンバーガーを食べてみてください。すごくおいしいですよ」
ドリーがビージルさんに、ハンバーガーを勧める。
「じゃ、いただくとしようかねぇ。ありがとうねぇ。もぐもぐ。おいしいねぇ。これがハンバーガーってヤツなんだね?」
ようやくビージルさんの機嫌が浮上してきたみたいだ。
ドリー、ナイスタイミング!
~~~~~~~~~~~
次回、新しい料理が出る予定です。
入口の方から、女の人の声がする。
「そりゃあ、旨かったです!あっ!」
「うっ!」
声のする方を見ると、私より頭一つ分くらい背の低い女の人が立っていた。
「ビ、ビージル。お、お前、か、帰りが早いじゃないか」
ブラーギさんは、なぜかあたふたしてる。ドードルさんはうつむき、そばにあった棚に身を寄せるようにしている。
「昨日から、2人の様子が変だったからね。出かける振りをして、様子を見てたのさ」
「おかみさん、お人が悪いです」
ドードルさんが小声でつぶやく。
「なんだって?ドードル、はっきり言いな!」
「いえ、なんでもないです」
「いや、あの、ビージル、様子を見てたって?その、あれだ…」
「ブラーギ。あれって、なんだい?」
「いや、あの、ホレ、お客の前じゃ、大声出すのは、ホレ、みっともないじゃないか?」
「みっともないだって?」
ビージルさんと呼ばれた女性が、ブラーギさんとドードルさんをにらみつける。
その時、腕をツンツンとつつかれた。
「あのおかみさんは、ブラーギさんの奥さんのビージルさんよ」
ドリーが小声で、教えてくれた。
「ビージルさんもドワーフ族なの?」
私も小声で、ドリーに聞く。
「そうよ」
「えっと、奥さんのビージルさんは、なんで怒っているのかな?」
「さあ?」
2人でこそこそと話していると、ビージルさんがこちらを向く。
「そこにいるのは、たしか”陽だまり”のドリーちゃんだったよね?」
「はい。お邪魔してます、ビージルさん。こっちは”川の夕暮れ亭”のアリサです」
「”川の夕暮れ亭”?ハンバーガーで有名なトコだね?アタシは、このろくでなしのブラーギの妻、ビージルだよ」
「はじめまして、ビージルさん。私はアリサです。今回、ブラーギさんに道具作りをお願いしたんです」
「道具作りを頼んだって?」
「はい」
「聞いてなかったねえ」
「え?」
話を聞いたところ、次の通りだった。
今回、私が道具作りをお願いした時、いつも店番をしているビージルさんは丁度用事で出かけていたという。ビージルさんが帰ってきて、ブラーギさんとドードルさんは彼女の分のハンバーガーを頼んでないのに気がついた。その時になって、代金をハンバーガーにしているし、怒られると思ったそうだ。二人は相談した結果、泡立て器とハンバーガーのやり取りを、ビージルさんには内緒にすることにした。そして、昨日の内にビージルさんに用事をお願いし、今日出かけるように仕向けたという。
なんでそんな回りくどいことをしたかなあ。始めから、2人のうちのどちらかが食堂へ来て、一人分追加してくれって言えば、済む事じゃなかったのかなあ。おじさんが念のため、一人分追加で持っていけと言ったのは、ビージルさんの分だったんだね。おじさん、ナイスです。ただ、おじさんも普通に、おかみさんの分がいるはずだと一言いっておいてくれればよかったのに。
「あの、ちゃんとビージルさんの分もありますから!」
「ホッホー、アリサ嬢ちゃん、3人分持ってきてくれてたのか?」
ホッとしたように、ブラーギさんが言う。
「よそのお嬢さんは、ちゃんと私のことも考えてくれてたのに、旦那のお前さんはなんだい!内緒でコトを進めようだなんて」
「いや、その」
「それにドードル、お前もだよ!」
「は、はい!」
「親方夫婦といえば、親も同然じゃないか!それなのに忘れるなんて、アタシゃ情けないよ!」
「すみません!おかみさん!」
ドードルさんは、平身低頭する。
「すみません。私が変なこと頼んだばっかりに…」
「アリサちゃんが謝る事じゃないよ。悪かったねぇ、変なとこ見せちまって」
「ビージルさん、このハンバーガーを食べてみてください。すごくおいしいですよ」
ドリーがビージルさんに、ハンバーガーを勧める。
「じゃ、いただくとしようかねぇ。ありがとうねぇ。もぐもぐ。おいしいねぇ。これがハンバーガーってヤツなんだね?」
ようやくビージルさんの機嫌が浮上してきたみたいだ。
ドリー、ナイスタイミング!
~~~~~~~~~~~
次回、新しい料理が出る予定です。
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