黒銀のフェンリル

chii

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怒り

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  俺が、乙女の元に来て、ひと月がたった。
このひと月、俺は、先代黒銀たちの記憶に少しばかりの怒りを感じていた。
先代黒銀は、乙女との記憶は受け継がないと言っていたが、確かに楽しい記憶などは無かった。だが、乙女に対する態度などの怒りの記憶はあった。
先代の紅の姫は、元々その前の黒銀たちの世話係をしていた事もあり、教会の人間に蔑まれていた様だ。
王族も教会も、初代の言葉を忘れたのだろう。
コンコンッ
「誰だ?」
「ラフィエルです」
「入れ。」
「ナナ様、リルは………」
「寝ている。また、髪を掴まれた」
この所、リルを寝かしつけるのは、俺の役目になっている。他の者だとぐずるそうだ。
あのアンナの悔しそうな顔も見ものだったな。
リルは寝入る時必ず俺の髪を一房握るのだ。髪を離すまで俺は動けなくなる。
リルの寝顔を見て微笑んでいると
「何かありましたか?」
「…?」
「あまり機嫌がよろしくない様で……」
フッ
「よく分かったな!」
「何となく…ですが…」
コイツらは信用出来そうだし、少し話しておくか。
リルも深い眠りについた様で、髪も抜き取る事が出来た。
「これは、王族も、教会の人間も知らん事だ!」
と、話し始める。
初代の黒銀は、一人の王子を助け国を創った。その時の王子が王になり、このナルニア王国が出来た。
その時の黒銀は王に言った。
「我ら黒銀を正しく恐れ、そして敬え。そして、黒銀の選んだ乙女を生涯慈しみ大切に扱え。さすれば我ら黒銀は、この国を助けよう」
と。
初代の黒銀は200年生きた。乙女が聖女であったため、その力に恐れ、そして愛しんだ様だ。次の乙女は王女だったため、王族も教会も乙女を大切にした。しかし、次の乙女は平民だった。王族と教会は平民に頭を下げる事を嫌い、事件を起こした。乙女を男たちに襲わせ乙女では無くなったと、王女を新しい乙女にしようとしたのだ。
だが黒銀と乙女は一心同体の様な者、それに気づきまさに一瞬で飛んで帰った黒銀に、男達は咬み殺された。
それに関わった教会の人間も王族もみんな噛み殺した。
そして、その時王位は王弟に代わり乙女の扱いも多少良くなったのだ。
その後の先代の黒銀の乙女も平民の乙女の世話係だったため、蔑まれていた様だ。
一通り話終わるとラフィエルが
「何故ナナ様がその様な事を?」
「黒銀は、代替わりする時に、記憶も継承するらしい、ただ一つの記憶を除いてな」「それは、乙女との時間だ」
「!」
「乙女との時間は、黒銀と乙女だけの時間で、二人だけの記憶だからな…」
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