黒銀のフェンリル

chii

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記憶

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 「だが、乙女への言葉、態度、そして、乙女への視線……!黒銀達の怒りがこの記憶の中に残っている!」
「一つ聞いても?」
話を聞いていたラフィエルが口を挟む。
「…?」
「私達が聞く伝聞、書物に残っているものでは、悪政に悪政を重ねた兄王に、革命を起こし勝ったのだと………」
フッ!
思わず鼻で嗤ってしまった…!
「残せんだろう…黒銀を怒らせ殺されたなどと……」
「しかも殺された理由が、男 数人に襲わせ乙女といえない様にした と、そして当時の王女を新しい乙女にしようとしたなどと、残せる物では無いだろう?」
「確かに………」
そう言う ラフィエルを横目に、俺は人型を解き黒銀に戻る。
黒銀の姿ではソファーは、小さい。床で寝る俺を見兼ねてラフィエル達は俺の為、ラグを敷いてくれた。
その上に寝そべり、前足を交差しその上に顎を乗せる。リラックスした姿ではあるが、目だけはラフィエルを見据える。
そのラフィエルは、何かを悩む様に目を閉じ、意を決したように目を開け話し始める。
「黒銀の乙女とは、その…あの…真実乙女なのですよね?」
獣の姿であるのに器用に笑ってやる。
フッ!
「先代の黒銀は、乙女を見つけると人と意思疎通が出来る様になると言っていたのだ。」
あからさまに話を変えられて狼狽えたようだが、大人しく話を聞くようだ。
「この 黒銀の姿で話しかけて、返事をする者は、俺の乙女 リルは当然だが、その他は、ラフィエル お前と、お前の妻 リリエラ、後は アンナとマークだ。他の者には、唸っているような声が聞こえているだけのようだ。この姿では、俺が認め、心を許した者しか聞こえないようだな。ここの人間はある程度信用はしているがな…」
「記憶には?」
「初代の黒銀が初代の王と黒銀の姿で話している記憶はある。だが、そこに他の人間が入ると話さない。2代目の王とは、黒銀の姿で話をしていない様だ。そこから先は、誰一人黒銀では話をしていないようだな……」
「教会の人間は?」
「記憶に無い!誰一人信用されていないらしい…」
暫くの沈黙の後、ラフィエルの質問に答えてやる
「先代には、乙女を見つけると血が沸くような感覚になると言われた、俺にはそこまでの感覚は無かった……それは、そうだろうな」
「…?」
「滾ったんだよ」
「!!」
「良かったな、リルが3歳で、今までの黒銀は、出逢ってすぐ乙女を喰ってたぞ!」
「では…」
「乙女とは、名称のような者だ。黒銀は、乙女にのみ発情するそうだ。俺も、リルが成人を迎えれば………喰う!」
「だが、安心しろ、今は、可愛いと、愛しいと思うがそこまでの感情では無い。いずれ押さえ込むのも苦しくなる時が来るだろうが、その時は報告してやる。大人しく喰わせろ」
クックっと笑ってやると、諦めたように
「その時は よろしくお願いします…」
と、頭を下げた。
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