黒銀のフェンリル

黒銀の耳

　暫く歩き部屋から遠ざかった副教会長は
「生意気な！たかが獣の分際で我らに逆らうとは！教会長さまの、服従の杖で打ち据えて頂かなくては……」
笑いながら遠ざかって行く一行の話を、黒銀は部屋で聞いていた。
ふっ
「何かありましたか？」
笑った俺を不思議に思い、ラフィエルが聞いてきた。
「奴ら、俺を生意気だと！教会長の持つ杖で俺を服させるのだと！」
メイドたちが部屋の片付けをしている中、マークがラグを直しながら聞いてくる
「そのような話、聞こえましたか？」
「俺は、フェンリルだ。耳は良い…」
ニヤニヤ笑いマークを見ると
「何か…？」
「聞こうと思えば、それなりに離れた所の声や音は聞こえる」



「アンナ、昨夜は、お楽しみのようだな！」
「！！！なっ！！！」
真っ赤な顔でこちらを見る
「マーク、お前　夜は変態だな……」
「なぁ～！！！」
両手で顔を隠し蹲るマーク。
クスクス笑っていると、真っ赤な顔でラフィエルに隠れるリリエラが見えた。
「大丈夫だ、聞こうとしなければ、聞こえない。心配するな」
「だったら何故！！」真っ赤な顔で抗議してくるアンナに
「たまたまだ…」