そんな目で見ないでくれ!!

chii

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 転生とか生まれ変わりなんて、小説や漫画の世界の話しだと思ってたよ………
まさか 自分がそんな事になるなんて思っても見なかった………


「……聞いているのか?リュウゼイン?」

ハッ 呼ばれて気がついた……

「すみません、少し席を外してもよろしいでしょうか…」
「大丈夫なのか?」
「すみません父上、すぐに戻ります……」

「すみません、少し席を外させてもらいます」

ニコリと笑って席を立つ

まさか、婚約者を決めるお茶会で前世を思い出すなんて………
少し考える時間が欲しいな……
混乱する頭を抱え 庭に出る

~~~♪~~~♪

ん?聞いたことがある……だが、この世界の歌じゃ無い……
前の…日本の歌だ……

あぁ、亜子が好きだったうただな……よく、亜子の隣で聞いたな…
懐かしい……

歌の聞こえる方へ歩いていくと、小さな子が歌っていた

「こんな所でどうした?」

振り返った女の子は、アメジストの瞳に青みがかった綺麗な銀髪をしていた

その綺麗な瞳瞳から、涙が溢れる……

「泣いていたのか?迷子か?」
「お庭…歩いて…たら…分かん…なく………」
そう言って、また泣き出した

慌てて彼女に駆け寄り抱き上げる
4才……5才くらいだろうか……

「スミレのお姫様みたいだな…」
「えっ!」
しまった!この世界にスミレなんて花は無い!
「何で…スミレ?」

スミレを知っている……この子も同じかな?

「名前は?」
「………」

「まずは、こっちの名前だ」
「ハイドレンジア……ハイドレンジア・ゴーゴン」
「ゴーゴン伯爵の令嬢か、年は?」
「5才…」
「うん、分かった。じゃあ、前の名前は?」
そう聞くと、口を閉じてしまった

「大丈夫だよ。僕もスミレを知ってる…」

彼女と目を合わせて言ってみる

「亜子…水島亜子…」

「あ……亜子?亜子なの?」
前世、付き合っていた…結婚もするはずだった
商店街で車の暴走事故に巻き込まれて、僕達は死んだはずだった

「僕だよ、龍騎。中村龍騎だよ…」
「りゅう……?」
「そう…りゅうだよ」
「う…うぅ…」

僕にしがみついて泣き出す亜子…
彼女の小さな体を、ギュッと抱きしめる

「あんまり泣くと、綺麗な目が溶けちゃうよ……」
「……!!」
「ふふっ……さて、亜子…じゃない、ハイドレンジア、お腹空かないか?」
聞いた途端に小さく、くぅ~~っと鳴おなか
「お菓子食べに行こうか」
「うん、りゅうは……えっと」
「あぁ、僕は、今もりゅうだよ。 リュウゼイン・イズ•ワルド」
「リュウゼイン……って、えっと……」
「そう、王太子だよ」

そのまま、彼女を抱いて戻る事にしよう
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