堕ちていく僕

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リコルート

リコルート③

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数ヶ月後私は隣の県の新店舗の副店長として転勤になり引っ越す事になった。


「ゆーくん引っ越しになっちゃうんだけど、一緒に来る?」

「え?いいんですか?」

「もちろんだよ!」

「嬉しい……」

「あと、ゆーくんにもたまにアシスタントでお店手伝って欲しいんだよね」

「え?それなら大丈夫ですよ」

「わー、よかったー」


数日後


「そのダンボールはこっちね」


「リコさーん冷蔵庫こっち向きでいい?」

「うんうん、いーよー♪」


引っ越しも大変だけど二人だと楽しいなぁ


「あ、お隣にご挨拶しなきゃ」

「そうですね」

ピンポーン

「はーい」

ガチャ

「こんにちは、隣に引っ越してきたリコといいます」

「あら、よろしくお願いします。鳴神です。」

「こちらこそ、これつまらないものですが」

「まあまあ、すみません。うちは息子と二人暮らしなので反抗期でたまにうるさかったらスミマセン」

「いえいえ、全然気にしないで下さい」

「凛!お隣さんにご挨拶しなさい!」


「ども……」


「あ、凛くん、リコです。よろしくお願いします」


ペコッ


「失礼しまーす。では…」


見た目よりは素直そうな子で良かった…
自宅へ戻り夕食後…


「ゆーくん、春奈の事はもう大丈夫?引きずってない?」

「はい、ちゃんと話しました…でも幼馴染で仲も良かったので……傷つけちゃいました………」

「ゆーくんは何も悪くないよ。悪いのは春奈だから」


洗脳状態にあったとはいえ、ここまで気にかける所がゆーくんの優しさなんだろうなと私は思った…


「あ、ゆーくんそうそう明日からお店お手伝いしてもらえる?」

「はい♪」

「やったー♪じゃあ明日楽しみにしてるからね♪」

翌日

「おはうございます!」


「あ、こちら店長の『柏木さん』」

「ユウです、よろしくお願いします」

「柏木ですーよろしくー」


「早速だけどゆーくんは受付と手の空いたときはカット後の掃除とかお願いね」


「はい!」


そして

今日も朝からお店が忙しくなってきた。

「いらっしゃいませー、あ、お荷物お預かりしまーす」


うんうんゆーくん上手く接客できてる♪


「じゃ、ゆーくんその調子でよろしくね」

「はい」

それから何時間か経ち……

「ふぅー、ちょっと休憩してくるね」

「はい」

今日は午前中から予約パンパンでやっと休憩できた……
意外にゆーくんテキパキ動いてくれて助かるなー
っと思っていた矢先慌ててゆーくんがスタッフルームに駆け込んできた。


「リ、リコさん!は、春奈が来ました…」

「え!?」

急いで表に出ると……

「今大丈夫?別に文句言いに来たわけじゃないの……カットお願いできるかな?」


と言われ休憩を返上して鏡の前に春奈を案内した。


「今日はね……謝りに来たのと、報告があるの」


「うん……」


「まず、色々迷惑かけてごめんなさい…それで私、店を辞めて仁科先生の所で住み込みでお世話になろうかと思ってるの…」


「そっか……」


「だから、今日は決意のためにバッサリ髪を切ろうとおもって……」


「うん、わかった。」


そういうと私は春奈にケープをかけた。


「春奈も知ってると思うけど仁科先生の好みだから短いボブにするよ」


「……うん」


中途半端はよくないと思いまず綺麗なカールのかかった春奈のロングヘアをアゴラインくらいでバッサリ切った。


「うう…」


春奈は目に涙を溜めている。


私は躊躇することなく


「ゆーくんバリカン持ってきてー」


春奈の襟足を刈り上げた。そして耳たぶが少し出るくらいまで短い直線的なボブに仕上げた。でもまだ気持ち的に足りないとお思った。


「ゆーくんゴメンまたバリカンとってー」


と少し意地悪にゆーくんにバリカンをとってもらいアタッチメントを外し春奈の刈り上げをさらに刈った。


ジジジジーー…………


「え、え……」


覚悟を決めたとはいえここまで短くなるとは思っていなかった様子で春奈の目からは涙がぽろぽろ落ち始めた。


「うう……」


後ろの髪が直線的なラインから下は刈り上げと言うよりほぼ剃り上げるまで刈ったところで私の気が収まった。


「はい、できたよ」


春奈は恐る恐るうなじを触る

ザリザリ……


「あ、あ、ありがとう……」


春奈は弱々しくたって受け付けに行くとゆーくんが声をかけた。


「春奈……心も体も綺麗になったらまた昔みたいに幼馴染として会お……」


「………うん……ありがと」



春奈は泣きながらお会計をして帰って行った。

「リコさん、やりすぎですよ……」


「だって!ゆーくんにあんな事やったんだよーそれにあの髪型絶対似合うし、仁科先生の好みなのよ。かわいいし!」


「まぁそうですけど……」


「ゆーくんもあんな風にする?あ、でもそれは私が嫌だなぁー」


「僕はそんなことしませんよ」


「ふふふ、冗談だよ♪さぁ仕事戻ろうか」


春奈との一件があってから数ヶ月後……


「そういえばさーお隣の凛くん最近見かけなくない?」


「そうですね」


「なんかあったのかしら?」


なんて話をしながら帰宅していたらちょうど凛くんのお母さんにバッタリあった。


「あら、こんにちわー」


「どーもー」


「あ、あの凛くん最近お見かけしませんが……」


「あー凛はねー…もうあの子私の手に負えないからお世話になってる先生に少しの間預かってもらってるんです……」


「そうなんですね……」


「ホントはいい子なんですけど思春期なのか人様に迷惑かけたりするので…」


あまり深く聞いてはいけない気がしたので私達は挨拶をして帰宅した。

お隣さんは母子家庭で息子の凛くんが出てしまったのでお母様は少し寂しそうだった。

ある日、出勤しようと玄関を出ると……


「おはようございます!」


「おはようございます、これからお仕事ですか?」


「あ、もし良かったら駅の南口の美容室で働いてるのでこのクーポン券持ってお時間ある時いらして下さい」


「あらーありがとー是非伺います」



少しでも気晴らしになればと思いお隣さんにクーポン券をあげた。


「ゆーくんお隣さん来るかなー?」

「来てくれるといいですね」


数日後……

「こんにちはー」

「はーい」

「すみませーん」

「はーい、どうぞー」

「予約した鳴神ですがー」

あ、お隣さんだ

「あー、いらして下さったんですねー」

「先日はクーポン券ありがとうございました」

「いえいえ、こちらこそ来て頂いて嬉しいです、こちらへどうぞー」


「今日はどうしますかー」


「せっかくの割引なので思い切ってイメチェンしたい思って…」


鳴神さんはロングヘアでバージンヘアっぽいからどんなスタイルでもいけそうだった。


「じゃあ……肩くらいまでバッサリ切ってふんわりパーマかけるのはいかがですか?」

「じゃあ、それでお願いしようかしら?」

「ではシャンプー台へ移動しましょー」


私は鳴神さんの髪を洗った後カットをして、ロッドを巻き始めた。


「凛くんは大丈夫そうなんですかー?」


「こないだ久しぶりに凛から電話が掛かってきたんですけど、すっかり言葉使いも変わってて驚きました」


「えーすごいじゃないですかー」


「でもね、その後先生から連絡あって凛は女の子なりたいって言ってるみたいで…」


「え!?」


「制服も今は女子の制服で学校に通ってるって言ってて…でも仁科先生にお願いしてるので…」


「え??仁科先生ですか?私もお世話になってるんですよー」


「あら、そうなの?あの方にお任せすれば更生すると思ってね…」


うわ…こりゃ更生はするだろうけど、女の子にされちゃうのは納得だわ……


「き、きっと大丈夫ですよー立派に帰って来ますよ」


「だと良いんだけど……」


そんな話をして鳴神さんはふわふわボブにイメチェンした。
我ながら意外に可愛くて似合ってる……
その後、凛くんを見かけて私達は仰天する事になる……

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