堕ちていく僕

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リコルート

リコルート⑤

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それから鳴神さんは親子で髪を切りに来てくれるようになった。

お母様は相変らず店長が担当して凛くんは私が担当していた。


「凛ちゃん今日も可愛いねー」

「ありがとうございます」

「お母さんみたいにパーマかけたりしないのー?絶対似合うと思うんだけどー」

「あ、ありがとうございます……考えてみようかしら……」

「ぜひぜひ~」

と一応営業をしてみる。


「でも私まだ仁科先生の所に通いでお稽古してるのであまりイメチェンできないんですよ……ホントはインナーカラーとかやりたいんですけど……」


「なるほどね…着物着ないといけないもんね…」


「そうなんです……」


「でもさーもう付き人じゃないんだし、思い切るのもいいと思うよー」


「えーーじゃあ、イメチェンしてみよーかなー♪」

「おおー」

「全体的に明るくしてインナーカラー入れてください!」

(最近売り上げ悪かったから思わずオススメしちゃったけど大丈夫かな……)

「じゃあ全体的に色を抜いちゃうね」

「は、はい」


まず凛ちゃんの髪をブリーチして金髪くらいまで色を抜いて全体的にピンクベージュ系でインナーは明るいピンク系にした。そしてアイロンで綺麗にして完成。


「うん!いいじゃん!可愛いよー」


「あ、ありがとうございます……恥ずかしいな……」


「凄く似合ってるよー今どきの子だねー」

「そうですか?嬉しいな」

と鏡を見て喜んでいたがこの後、波乱が起きるのだった………


数日後……

今日は定休日で家でゆーくんとダラダラ過ごしていた……


「今日は録画してたドラマ一気に消化しよ~か~?」


「いいですねーあ、お菓子と飲み物準備しますね」


「私、温かい緑茶がいいー」

「はーい♪」

そんな会話をしていると電話が掛かってきた。

相手は仁科先生からだ。

「もしもーし」

「あ、リコさん?凛の事なんだけど」

「あ、はい」

(ま、まずい、あの髪色はダメだったかな)

「せっかく更生したのにあんな髪にして!あなたのお店でカラーしたって聞いたけど」

「あ、すみません、あまりにも可愛くなったのでつい……申し訳ないです」


「ちょっと!どういう事よ!まぁこの子の意志でしたんだから罰を与えます!」


(電話の向こうで凛ちゃんのすすり泣く声が聞こえる…)


「ちょ……ちょっと!待って下さい」


「お母様から了承は得ているので!」


「今から行きますから待っててください!」


一旦電話を切って慌てて準備をした。

「ゆーくんゴメン!ちょっと行ってくる!」


「だ、大丈夫ですか??僕も一緒に行きます!」


「ゆーくんは家に居て!」


そう言って私は急いで仁科先生の家に向かった。

ピンポーーン

「リコです……ハァハァ……」

「お入りなさい。2階にいます。」


仁科先生の家にに着いて私は2回の美容室店舗でもある部屋に入るとそこには着物のまま鏡の前の椅子に座わらせられている凛ちゃんが居た。


「先生、凛ちゃんを許してあげて下さい」


「リコさん……私はこの子を預かってこんな風になるように仕込んだわけじゃありません!」


凛ちゃんはシクシク泣いている……


「華恋!バリカン持ってきなさい!」


「はい」


「え?」


「髪を刈るのよ」


「や、止めてください!お願いします。すぐに元に戻しますから!」


「リコさん、あなたは優しいわね、でもね、これはケジメです!」


仁科先生は凛ちゃんにケープを掛けてバリカンのコンセント入れた。


「せ、先生…」


「うぅ………ごべんなざい……」


号泣の凛ちゃんを無視してバリカンのスイッチを入れる仁科先生……


「先生、私がオススメしてしまったのがいけないです!止めてあげてください」


「リコさん、何度もいいますがこの子の意志でこうなって、お母様からも了承を頂いてます。あなたもよく見てなさい。」


そう言うとバリカンを凛ちゃんの額から一気に刈りはじめた。


ウィーーンーー!

ジジジジ…………

バサバサバサ


ケープに落ちる凛ちゃんの髪。


「うわぁーーん!いやーーー!!!」


先生は無表情で凛ちゃんを丸刈りにしていく…………
あっと言う間に凛ちゃんの髪は刈られ丸坊主になってしまった……


「華恋!泡用意して!」


「はい」


そういうと丸刈りの凛ちゃんの頭に泡を塗りはじめた。凛ちゃんは涙も枯れぼう然としている。


「凛ちゃんゴメンね………」


私が浅はかにしてしまった事がこんなことに………


凛ちゃんは着物のまま頭を剃り上げられてしまった……


「華恋、凛をお風呂に入れてあげなさい」


「は、はい」


「リコさん…これが私のやり方なの、厳しく見えるけど本人の為だから。」


「……はい…今回は私にも責任があります、申し訳ありませんでした……」


「あなたはいいのよ、お店で接客しただけだから、気にしないで今日はお帰りなさい」


「はい…失礼します」


こうして私は仁科家を後にした……

翌日、凛ちゃんは学校を休んでいた。
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