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第一章
芸能界なんて興味ないよ
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「ああ、美味しかった。さすが優作お兄さんよね」
千秋はチーズケーキだけじゃなく、モンブランやティラミスまで平らげて満足気だ。おまけにお土産としてパウンドケーキまで貰っている。
「いつも悪いな、優作」
「いや、別に。女子は甘い物に弱いから」
「だからって、何でも良いわけじゃないんだからね。ここまで欲しいのは、優作お兄さんのだけよ~」
「ハハッ、ありがとう」
嬉しそうな千秋に、兄さんも満更ではなさそうだ。
加代子も千秋と同じようなことを言っていたな。あいつの嬉しそうな顔を思い出して、またちょっとイラッとする。
「食べる物食べて、貰う物貰ったし、そろそろ帰ろうか」
「お前はさっきからそればっかだな、千秋」
「ああ、そうそう芳樹君。お母さんにおせんべい有難うって言っておいてね」
「はい、わかりました。でも結局またお土産もらっちゃって、お礼をしに来たのか何なのか分からなくなっちゃいましたけど」
「いいのよー。優作は好きで作ってるんだから。ね?」
母さんの問いかけに、優作兄さんは笑って頷いた。
「あっ、そうだ神。この際だから言っとかなきゃと思っていたのよ。加代子ちゃんを大切にしなさいよね。しっかり掴まえて、告白でも何でもしなさいよ!」
母さんもここにいるっていうのに、何言ってんだこいつ。
「何言ってんだよ、馬鹿。神も俺と一緒で、もう少し遊んだ方がいいタイプなんだよ」
さすが芳樹! いい援護射撃だ。こいつ、いつも良いこと言うんだよなあ。
感心して頷いていると、後ろから千秋にパカンと叩かれた。
「いったいなー」
「バカなこと言っているからでしょう? じゃあね。優作兄さんご馳走様でした」
「ご馳走様。……ああ、送らなくてここでいよ。じゃあお邪魔しました」
「気をつけて、お母さんによろしく。ありがとうね」
僕は玄関を出てせめて駐車場まで見送ろうとしたのだけど、芳樹に止められたのでやめにした。
……しっかり掴まえて告白しろか。でもなあ。まだまだ一人だけに絞りたくないし、拗ねてる加代子を見るのも堪らないんだよな。
二人が出て行くのを玄関で見送った後、僕はカギを掛けてリビングに戻った。
「兄さんのスイーツは、すごい人気だね」
「そうか?」
本当に満更でもなさそうな顔だ。昔から兄さんは、人に食べてもらって喜ばれることがたまらなく嬉しいみたいなんだよな。
「あ、神、忘れるところだったわ。あなた、芸能界に興味とかある?」
「は? なに、急に」
母さんの突然の問いかけに、目が点になった。
「母さんの友達にね、ファッション誌の企画の仕事をしている人がいて、いいモデルが見つからなくて苦労してるんですって。三周年の記念で、今人気の桜ちゃんと共演ができるそうよ」
「いや、僕は別にモデルとか芸能界とか興味ないから」
「あら、そうなの? 女の子大好きだから、てっきり喜ぶと思ったのに」
女の子大好きってなんだよ母さん。……否定はできないけど。
「僕は別に、不特定多数の人間に注目されたいわけじゃないよ」
そうだよ。加代子が傍にいて、それでいて焼きもち焼いてるあいつを見ているのが一番楽しいんだ。それ以上はバランスを欠くから、絶対楽しいわけない。
「でもねえ、神の写真見せたらすごく乗り気だったから、きっと学校にでも会いに行くと思うのよ」
「えっ? 学校まで教えたのか?」
「大丈夫よ、私の友達で身元もしっかりしてるから。それで迷惑にならないように、外で待ってるって言ってたわよ」
にこにこと話す母さんに、頭が痛くなってきた。横では優作兄さんが、気の毒そうに笑っていた。
千秋はチーズケーキだけじゃなく、モンブランやティラミスまで平らげて満足気だ。おまけにお土産としてパウンドケーキまで貰っている。
「いつも悪いな、優作」
「いや、別に。女子は甘い物に弱いから」
「だからって、何でも良いわけじゃないんだからね。ここまで欲しいのは、優作お兄さんのだけよ~」
「ハハッ、ありがとう」
嬉しそうな千秋に、兄さんも満更ではなさそうだ。
加代子も千秋と同じようなことを言っていたな。あいつの嬉しそうな顔を思い出して、またちょっとイラッとする。
「食べる物食べて、貰う物貰ったし、そろそろ帰ろうか」
「お前はさっきからそればっかだな、千秋」
「ああ、そうそう芳樹君。お母さんにおせんべい有難うって言っておいてね」
「はい、わかりました。でも結局またお土産もらっちゃって、お礼をしに来たのか何なのか分からなくなっちゃいましたけど」
「いいのよー。優作は好きで作ってるんだから。ね?」
母さんの問いかけに、優作兄さんは笑って頷いた。
「あっ、そうだ神。この際だから言っとかなきゃと思っていたのよ。加代子ちゃんを大切にしなさいよね。しっかり掴まえて、告白でも何でもしなさいよ!」
母さんもここにいるっていうのに、何言ってんだこいつ。
「何言ってんだよ、馬鹿。神も俺と一緒で、もう少し遊んだ方がいいタイプなんだよ」
さすが芳樹! いい援護射撃だ。こいつ、いつも良いこと言うんだよなあ。
感心して頷いていると、後ろから千秋にパカンと叩かれた。
「いったいなー」
「バカなこと言っているからでしょう? じゃあね。優作兄さんご馳走様でした」
「ご馳走様。……ああ、送らなくてここでいよ。じゃあお邪魔しました」
「気をつけて、お母さんによろしく。ありがとうね」
僕は玄関を出てせめて駐車場まで見送ろうとしたのだけど、芳樹に止められたのでやめにした。
……しっかり掴まえて告白しろか。でもなあ。まだまだ一人だけに絞りたくないし、拗ねてる加代子を見るのも堪らないんだよな。
二人が出て行くのを玄関で見送った後、僕はカギを掛けてリビングに戻った。
「兄さんのスイーツは、すごい人気だね」
「そうか?」
本当に満更でもなさそうな顔だ。昔から兄さんは、人に食べてもらって喜ばれることがたまらなく嬉しいみたいなんだよな。
「あ、神、忘れるところだったわ。あなた、芸能界に興味とかある?」
「は? なに、急に」
母さんの突然の問いかけに、目が点になった。
「母さんの友達にね、ファッション誌の企画の仕事をしている人がいて、いいモデルが見つからなくて苦労してるんですって。三周年の記念で、今人気の桜ちゃんと共演ができるそうよ」
「いや、僕は別にモデルとか芸能界とか興味ないから」
「あら、そうなの? 女の子大好きだから、てっきり喜ぶと思ったのに」
女の子大好きってなんだよ母さん。……否定はできないけど。
「僕は別に、不特定多数の人間に注目されたいわけじゃないよ」
そうだよ。加代子が傍にいて、それでいて焼きもち焼いてるあいつを見ているのが一番楽しいんだ。それ以上はバランスを欠くから、絶対楽しいわけない。
「でもねえ、神の写真見せたらすごく乗り気だったから、きっと学校にでも会いに行くと思うのよ」
「えっ? 学校まで教えたのか?」
「大丈夫よ、私の友達で身元もしっかりしてるから。それで迷惑にならないように、外で待ってるって言ってたわよ」
にこにこと話す母さんに、頭が痛くなってきた。横では優作兄さんが、気の毒そうに笑っていた。
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