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第五章
お邪魔な2人 1
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倉田はひょいと部屋の中を見て、どうやら状況を悟ったらしい。
「あ、お客さん?」
「うん…。せっかく来てくれて悪いんだけど、あんまり時間無いんだよな」
「あっ、そっか。連絡もしないで突然来ちゃってごめんね」
倉田も町田も顔を曇らせる。
「うん…まあ」
ここはそんな事ないよとでも言ってあげるべきなのかもしれないけど、実際僕に与えられた時間は30分しかないわけで…。
「で? 何か用事があったんだろ?」
とりあえずここでごちゃごちゃしてても時間だけが過ぎるので、とりあえず要件くらいは聞こうと2人に尋ねた。のだが、僕の言葉に何とも言えない顔になる。
ん?
「あ、あのさ。ゴールデンウィーク中に舞台あったでしょ? 沢村に会えるかなと思って見に行ったんだよね。だけど沢村舞台に出てなかったから気になって」
「ああ! それは最初から出る予定にはなってなかったんだよ。僕の名前出て無かっただろ?」
「そうなんだけどさ…。それでも行けば会えるんじゃないかと思ったから…」
「そっか。その時僕、ここに居残って踊りの稽古してたんだよ」
「え~!? 何で!?」
「座長の鶴の一声。へたくそなんだってさ、僕」
「ええ~? お父さん厳しすぎでしょ…」
「いや、そんな事は無いよ。でも悪かったな、心配してくれてたんだ」
もうそろそろ帰ってもらわなきゃ。気のせいかもしれないけど、背中に冷たい視線を感じるような気がするし…。
「悪いけど、そろそろ…」
「あ、あの。稽古! 稽古でいいから見せてくれないかな」
「え?」
「前に一度見せてもらった事あったでしょ? 舞台で見るのと違って、なんていうか、良いなって思ったから…。ダメ、かな?」
「あ~ワリ、今日は無理。親父に却下されてるから」
「そう…なんだ」
町田は残念そうな顔をしながら、部屋の奥をちらっと見る。そして少しムッとしたような顔になる。
…なんだ?
「分かった! じゃあ今日は帰るね。突然来ちゃってごめん、今度は連絡してからくるよ」
あー…、その言い方もなんか困る。
梓の事彼女だって先に行っておくべきだったかなあ。何だか梓に誤解されちゃいそうだ…。
でも、わざわざ紹介ってのも何だか変な気もするし。
「沢村が今度舞台に立つのはいつなの?」
「え、ああ。きちんとした日程は分かんないけど、多分8月に入ってすぐだと思う」
「そっか。絶対行くから、頑張ってね」
「ありがと。頑張るよ」
倉田と町田は玄関に向かって歩き出したので、僕も一応送り出そうと一緒について行った。
だけど時間があまり残っていないので、玄関に着いた所で「じゃあね」と言って手を振って、居間へと引き返した。
「あ、お客さん?」
「うん…。せっかく来てくれて悪いんだけど、あんまり時間無いんだよな」
「あっ、そっか。連絡もしないで突然来ちゃってごめんね」
倉田も町田も顔を曇らせる。
「うん…まあ」
ここはそんな事ないよとでも言ってあげるべきなのかもしれないけど、実際僕に与えられた時間は30分しかないわけで…。
「で? 何か用事があったんだろ?」
とりあえずここでごちゃごちゃしてても時間だけが過ぎるので、とりあえず要件くらいは聞こうと2人に尋ねた。のだが、僕の言葉に何とも言えない顔になる。
ん?
「あ、あのさ。ゴールデンウィーク中に舞台あったでしょ? 沢村に会えるかなと思って見に行ったんだよね。だけど沢村舞台に出てなかったから気になって」
「ああ! それは最初から出る予定にはなってなかったんだよ。僕の名前出て無かっただろ?」
「そうなんだけどさ…。それでも行けば会えるんじゃないかと思ったから…」
「そっか。その時僕、ここに居残って踊りの稽古してたんだよ」
「え~!? 何で!?」
「座長の鶴の一声。へたくそなんだってさ、僕」
「ええ~? お父さん厳しすぎでしょ…」
「いや、そんな事は無いよ。でも悪かったな、心配してくれてたんだ」
もうそろそろ帰ってもらわなきゃ。気のせいかもしれないけど、背中に冷たい視線を感じるような気がするし…。
「悪いけど、そろそろ…」
「あ、あの。稽古! 稽古でいいから見せてくれないかな」
「え?」
「前に一度見せてもらった事あったでしょ? 舞台で見るのと違って、なんていうか、良いなって思ったから…。ダメ、かな?」
「あ~ワリ、今日は無理。親父に却下されてるから」
「そう…なんだ」
町田は残念そうな顔をしながら、部屋の奥をちらっと見る。そして少しムッとしたような顔になる。
…なんだ?
「分かった! じゃあ今日は帰るね。突然来ちゃってごめん、今度は連絡してからくるよ」
あー…、その言い方もなんか困る。
梓の事彼女だって先に行っておくべきだったかなあ。何だか梓に誤解されちゃいそうだ…。
でも、わざわざ紹介ってのも何だか変な気もするし。
「沢村が今度舞台に立つのはいつなの?」
「え、ああ。きちんとした日程は分かんないけど、多分8月に入ってすぐだと思う」
「そっか。絶対行くから、頑張ってね」
「ありがと。頑張るよ」
倉田と町田は玄関に向かって歩き出したので、僕も一応送り出そうと一緒について行った。
だけど時間があまり残っていないので、玄関に着いた所で「じゃあね」と言って手を振って、居間へと引き返した。
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