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第二章
焼き餅焼いてくれるのは嬉しいよ?
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……てことで、三輪さんとヒロくんのツーショットにモヤモヤした思いをぶつけることが出来ないまま授業が終わった。そしてヒロくんの日直の仕事が終わるまで待って、いつものように一緒に帰る。
だってさ、焼き餅焼きの可愛くない子だって思われたくないんだもん。だけどそれでも、気になるのは止められないんだよ……。
「あの……、さ」
「うん?」
ヒロくんが私に呼ばれてニコニコと笑顔で振り返った。その表情は全く隠し事なんか無いというようなあどけない顔で、ちょっぴり言葉に詰まる。
「未花ちゃん?」
なかなか次の言葉が出てこない私に、ヒロくんは不思議そうな顔をする。言いかけた話を途中で止めてしまうのはヒロくんに変に思われてしまいそうだったので、一生懸命何気なさを装って聞くことにした。
「三輪さんってさ、その……、どんな人?」
どうやら私のその質問が、心底意外だったらしい。ヒロくんは一瞬不思議そうな顔をした後、顎に手を当てた。
「ん~、そうだな。犬好きで気さくな人……、かな?」
「ふうん。だからしょっちゅう、ヒロくんを見かける度に話しかけるんだ」
しまったと思った。なるべく何気なさを装うと思ったばかりだったのに。
案の定ヒロくんは、私の嫉妬まみれの言葉に目を見開いた。そして頬を緩ませ、締まりのない顔になっていく。
「……もしかして未花ちゃん、ヤキモチ焼いてくれてる?」
私はムッと頬を膨らませた。あからさまに嬉しそうなその顔が、なんだか癪に障る。
「何よ、その顔」
「だって嬉しいよ。未花ちゃんに焼いてもらうのって」
「…………」
「だけど気にしすぎ。俺も三輪さんも特別な感情なんてないよ」
ヒロくんはそう言って優しく微笑んだ。きっと後ろめたさのないヒロくんだから、そんな表情が出来るんだろうけど、三輪さんは絶対ヒロくんに気があると思うよ?
ついついモヤモヤして唇を尖らせる私の両手を、ふいにヒロくんがきゅっと握り、唇を寄せた。いきなりのことにびっくりしてヒロくんを見ると、目が合った。
彼はニコリと笑い、握った私の手の甲にチュッと口付ける。
「ヒ、ヒロくん」
カーッと真っ赤になる私に、顔を綻ばせ蕩けるように笑う。
「大好きなんだけどな、未花ちゃんのこと。勘違いでも未花ちゃんに、嫌な思いなんてして欲しくないよ」
「うん……」
「分かってもらったんならよかった」
そう言ってヒロくんは、全開の笑顔を見せた。
もう本当に敵わない。こんな風にまっすぐ見られたら、もう文句の一つも言えないじゃないの。
いつもの帰り道。ヒロくんと私は、そのまま手をつないだまま歩いている。その握り合っている私の手をヒロくんが時々なだめるようにポンポンと指で優しく叩く。なんとなく好きだよ、未花ちゃんだけだよ、と言ってもらってるような気がする。
ヒロくんはやっぱり、私に対しては基本甘かった。
だってさ、焼き餅焼きの可愛くない子だって思われたくないんだもん。だけどそれでも、気になるのは止められないんだよ……。
「あの……、さ」
「うん?」
ヒロくんが私に呼ばれてニコニコと笑顔で振り返った。その表情は全く隠し事なんか無いというようなあどけない顔で、ちょっぴり言葉に詰まる。
「未花ちゃん?」
なかなか次の言葉が出てこない私に、ヒロくんは不思議そうな顔をする。言いかけた話を途中で止めてしまうのはヒロくんに変に思われてしまいそうだったので、一生懸命何気なさを装って聞くことにした。
「三輪さんってさ、その……、どんな人?」
どうやら私のその質問が、心底意外だったらしい。ヒロくんは一瞬不思議そうな顔をした後、顎に手を当てた。
「ん~、そうだな。犬好きで気さくな人……、かな?」
「ふうん。だからしょっちゅう、ヒロくんを見かける度に話しかけるんだ」
しまったと思った。なるべく何気なさを装うと思ったばかりだったのに。
案の定ヒロくんは、私の嫉妬まみれの言葉に目を見開いた。そして頬を緩ませ、締まりのない顔になっていく。
「……もしかして未花ちゃん、ヤキモチ焼いてくれてる?」
私はムッと頬を膨らませた。あからさまに嬉しそうなその顔が、なんだか癪に障る。
「何よ、その顔」
「だって嬉しいよ。未花ちゃんに焼いてもらうのって」
「…………」
「だけど気にしすぎ。俺も三輪さんも特別な感情なんてないよ」
ヒロくんはそう言って優しく微笑んだ。きっと後ろめたさのないヒロくんだから、そんな表情が出来るんだろうけど、三輪さんは絶対ヒロくんに気があると思うよ?
ついついモヤモヤして唇を尖らせる私の両手を、ふいにヒロくんがきゅっと握り、唇を寄せた。いきなりのことにびっくりしてヒロくんを見ると、目が合った。
彼はニコリと笑い、握った私の手の甲にチュッと口付ける。
「ヒ、ヒロくん」
カーッと真っ赤になる私に、顔を綻ばせ蕩けるように笑う。
「大好きなんだけどな、未花ちゃんのこと。勘違いでも未花ちゃんに、嫌な思いなんてして欲しくないよ」
「うん……」
「分かってもらったんならよかった」
そう言ってヒロくんは、全開の笑顔を見せた。
もう本当に敵わない。こんな風にまっすぐ見られたら、もう文句の一つも言えないじゃないの。
いつもの帰り道。ヒロくんと私は、そのまま手をつないだまま歩いている。その握り合っている私の手をヒロくんが時々なだめるようにポンポンと指で優しく叩く。なんとなく好きだよ、未花ちゃんだけだよ、と言ってもらってるような気がする。
ヒロくんはやっぱり、私に対しては基本甘かった。
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