天使なんかと上手くやれるわけがない

らいち

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天使と悪魔

魔界からのストーカー 2

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「招いたつもりは無いんだがな」

相変わらず冷静な芙蓉の声。

時々俺をいらだたせる原因にもなっている芙蓉の態度だけど、今回ばかりはそれが俺を安心させてくれている。俺は、芙蓉の陰に隠れる形でユウマをそっと窺っていた。

「用が済んだらさっさと帰るさ」

そう言って、ユウマが俺の方へと視線を向ける。いつものように上からで、有無を言わせない視線だった。

「紫温」

ユウマに呼ばれて、反射的にビクッと体を震わせた俺は、慌てて芙蓉の後ろに身を隠した。ユウマは、そんな俺の態度に余計腹を立てたようで、眉間にしわを寄せて俺を睨む。

「帰るぞ」
「だっ、誰が戻るかよっ。俺を魔界から追放したのはそっちだろ?  今更なに言ってんだ」

ユウマは、刃向かう俺に一層気分を害したようで、ますます怖い顔になる。
芙蓉といい、ユウマといい、綺麗な顔をしている奴は怒ると無駄に怖い。

「ああ!? 口答えする気かテメ…ッ!?」

ユウマは突然びっくりしたような顔をして、動きが止まった。体を強張らせたまま、芙蓉を見る。

「という事だ。帰ってもらおうか」
「て、てめえ何しやがった!?」

ユウマの握りしめた拳が、小刻みに震えている。

「特に何も」

怒りに満ちたユウマの顔も、全く気にならないようで芙蓉の顔は涼しいものだ。

「嘘を吐くな!」
「強いて言えば、『近寄るな』と念じているだけだ」
「だけ…だと? てめえ一体何者だ」

芙蓉は、おもむろに腕を組んでゆっくりと答えた。

「元天使候補生だ」

ユウマは一瞬怪訝な顔をする。

「ふざけてんのか? 天界人がなんで悪魔と一緒にいるんだよ。こいつは出来そこないだがれっきとした魔界人だぞ」
「で?」

それがどうしたと言わんばかりに、顎を上げる。さすが芙蓉、あのユウマですら下に見ている…。

「もうちょっと力、入れてみようか」

芙蓉が平然と腕を組んだままそう言うと、ユウマの体が後ろにズズッと下がり始める。

「な…っ」

俺なんかと違い、魔力を十分に持っているユウマが、芙蓉に簡単に動かされている。俺も驚いたが、ユウマはもっと驚いたようだ。真っ青になり固まって芙蓉を見つめている。 

しばらくそうして芙蓉を見ていたユウマだったが、気を取り直したのか力を抜いた。

「ちっ、分かったよ。今日の所は帰ってやる」

そして俺を見て、「またな」と言って消えていった。

「二度と来んなバカッ」

俺は消えゆくユウマに罵声を浴びせかけた。
そんな俺を隣の芙蓉がじっと見て、その後ため息を吐いた。

「俺としたことが、しくじった」
「え?」

ユウマを追い払ってくれたのにしくじったって何?と思って芙蓉を見たけど、「いや」と言っただけで、話してくれる気はなさそうだった。
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