天使なんかと上手くやれるわけがない

らいち

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天使と悪魔

複雑な感情

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「え?おいっ」

ばっくれる気か? 放置か?

何だってんだよあいつ~、どうフォローしろってんだよ。

「あ、あのさ…」

どう取り繕えばいいのかとおろおろしていると、後ろから声がかかった。

「おい」

振り向くとそこには、先ほどのシャツを手に持ち、白いカットソーに着替えた芙蓉が立っていた。

「頼む」

相変わらずの無表情さだが、きっと早野さんの目には王子様に映っていたに違いない。顔を上げた彼女の顔は、ほのかに赤らんでいた。

――チクン。

早野さんは芙蓉からシャツを受け取り、ボタンを付けている。
芙蓉はその場で黙ってそれを待っていた。だけど、ポツリポツリと早野さんが話しかけると、ちゃんとそれに答えている。

普段は無愛想で冷たいくせに、根は優しい所があるってことくらい俺も知っている。だけどホッとする所のはずなのに、芙蓉がシャツを素直に預けたところから、俺の気持ちはもやもやし始めていた。


それから三時間ほど経って、やっと早野さんは帰って行った。

「何だかんだと、結構長い間いたな」

つい出てしまった言葉に、俺の横を通り過ぎようとしていた芙蓉が立ち止った。

「芙蓉、優しいし」

立ち止っていた芙蓉が、俺の方に向き直る。

「言葉に棘があるな」
「べ、別に」

ヒヤッとした。そして一辺で我に返る。

そうだよ俺、さっきから何イラついてんだ? 芙蓉が誰かに冷たくしたら、それはそれで気になる癖に。 

芙蓉が不思議そうに俺を見ている。

俺だって自分のイライラの原因が分からないんだから、芙蓉になんて分かるわけがない。


じっと見られて気まずくなった俺は、「もう寝る」と言って、部屋へと逃げ込んだ。
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