天使なんかと上手くやれるわけがない

らいち

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天使と悪魔

助けてくれた芙蓉

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俺は咄嗟に体を強張らせ、目を瞑って膝を抱える。しばらくは目を開けるのが怖くて、全身で周りの様子を窺った。
だけど、何も起こらない違和感に恐る恐る目を開ける。

するとそこには、まるでユウマから庇うように、俺の目の前に立ち塞がる芙蓉がいた。だけどその目は冷たく俺を見下ろしている。

「芙蓉?」

何でこいつがここに居るんだ?
状況が掴めなくて、頭が回らない。

「きさまっ、また邪魔する気か」
「当然だ、紫温はお前には渡さない」

「…え?」

混乱する頭に、混乱する言葉が俺の耳に届く。だけどそんな戸惑う俺を他所に、芙蓉はユウマに言葉を続けた。

『帰れ、二度と来るな』

いつもの芙蓉の声では無い、身体が凍るような冷たい声だった。


「キ…ッ、サ…マ」


見る見るうちに、ユウマはその場から消えて行く。

そこには、何もない空間だけが残っていた。


「消え…た?」


俺は只々ぽかーんと、その空間を見つめていた。


「ほら、立てよ。帰るぞ」

頭上から降ってきた芙蓉の声にビクッとする。

対等でありたい、一番の友達になりたいという自分の気持ちに気づいてしまった俺には、芙蓉の側に居続けるのは辛すぎる。

早野さんとも親しくなっているのなら、悪魔の俺なんてその内邪魔になるはずだ。いずれ出て行けと言われるくらいなら、今自分から出て行った方がきっと傷は浅いんじゃないだろうか。

さっきからすっかりネガティブな気分に陥っていた俺は、ありのままの気持ちをそのまま芙蓉に伝えようと口を開いた。

「あ、あのさっ、俺…もう大丈夫だし、芙蓉だって俺がいると迷惑」
「お前も強制的に動かされたいのか?」

また全部を言わせずに、言葉を被せてきた。
本当にこいつは…と、思いながら言われた言葉を反復してみる。

「…へ?」

見上げると、眉間にしわを寄せた芙蓉が俺を睨みつけていた。

「さっきのあいつみたいに無理やり動かされたいか」

普段の芙蓉より、低くドスの利いた声だ。

な…っ、何だよ、また変に怖くなって。

「え…っ、やっ」

芙蓉のあまりの迫力に、俺はついつい後ずさってしまった。

「どうなんだ」

まるで俺は蛇に睨まれた蛙だ。これではきっと、一生対等になんてなれない。

「い、嫌に決まってる」 
「じゃあ来い、帰るぞ」

冷たい表情のまま、有無を言わさぬ強い瞳で俺を睨んでいる。

何なんだよ、怖ぇじゃねーか!

だけどここで逆らうと、もっと厄介な事になりかねない。

「う…うん…」

俺は、しぶしぶと返事をした。 
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