あなたが嫌われ者でも好きなんです

らいち

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脳裏をよぎる言葉

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「伶英―」

ドキドキしながら立っていると、後ろから伶英くんを呼ぶ女の子の声が聞こえて来た。

その子はチラリと私を見た。
その顔が何だか冷たく見えるのは、気のせいかな?


「何してんの。まっつんが呼んでたよー」

そう言いながら、伶英くんの袖をぐいぐいと引っ張ている。

「松井なんかほっとけよ」
ちょっぴりダルそうな伶英くんの声。だけどその子はめげる様子も無かった。

「ちょっとー、そんなこと言っていいの? 試験前にノート見せてもらったり、世話になってるくせにー」
「一回だけだろ。インフルで休んで仕方なかったんだから。それにちゃんと借りは返したし」

伶英くんは、邪険に手をシッシッというように振っている。だけどその子は逆にその伶英くんの手をパシッと掴んで、回れ右させようと背中を押し始めた。

「もうー、良いから、早く早く」

そう言いながら、さらにグイグイと背中を押している。伶英くんはしょうがないなという顔をして、私の方を振り返った。

「じゃあ、体育頑張ってね」

声を掛けてくれた伶英くんに、はじかれたように顔を上げて、私は「うん」とかろうじて返事を返した。

すると伶英くんを呼びに来た子が、チラリと私の顔を見た。その顔はかなり無表情で、ちょっと委縮してしまい、思わずビクンと体が揺れてしまった。

それを見たその子は少し緩く笑って、私に「ごめんね」と言って伶英くんを促して二人で歩いて行ってしまった。


……何だかあの人、私から伶英くんを引き離したいって思っているようだった…。


『あいつ、女子に好きって言われたら、誰とでも付き合うような奴だから。二股なんて、なんとも思ってないしね。本気になったら泣くよ』

広美さんに言われた言葉が、脳裏を過る。


付き合ってるのかな、あの子と…。

――本気になったら泣くよ


広美さんの言葉が胸に突き刺さり、痛くて痛くてしょうがなかった。
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