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日曜日
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そして日曜日。駅前で広美さんたちと待ち合わせをすることになっていた。
私は待たせたり遅れたりするのが嫌なタイプなので、普段は集合時間よりもなるべく早めに着くように心掛けている。
だけど、今回はもし万が一広美さんが遅く来て、紹介すると言っていた相手の人が先に来ていて2人っきりになってしまうとか、そんな羽目に陥るのは嫌だなと思ったので、なるべく時間ギリギリのぴったりした時間に行こうと思った。
それに、本音を言うと、少しでも今日の時間を短くしたいとも思っていた。
駅がそろそろ近くなってきた。
待ち合わせ場所が遠くから見える位置に来て目を凝らすと、既に広美さんとそのお友達らしき女の子が立っていた。男の子の姿は見えないから、まだ来ていないのかもしれない。
私はちょっぴりホッとして、歩を速めた。
私が広美さんたちに近づいていくと、彼女が気が付いたようで、こちらに向かってにこやかに手を振ってきた。
「待たせてごめんね」
私はパタパタと少し急いで、広美さんたちの許へと走った。
「ううん、大丈夫だよ。まだ時間前出し。あ、この子は田端陽菜。と、草津妃愛梨さん」
「よろしく、草津さん」
田端さんと紹介された子が、ニコリと笑って挨拶をしてくれる。
「あ、こちらこそよろしく田端さん」
私も慌てて挨拶を返した。
「そろそろ健一郎もやってくると思うんだけど……」
広美さんがまだ来ていない健一郎という人を探すように、キョロキョロと辺りを見回した。そして、見つけたのだろう。広美さんの顔がパッと明るくなった。
「ここ、ここ。健一郎!」
手を振りながら、大声で合図をする広美さんに気が付いたのだろう。通りの向こうから、背の高い男の人が片手を上げて走り寄って来る。
その姿を見た途端、私の体が緊張で委縮した。
決して忘れたわけでは無かったけれど、今日の私はあの人に紹介されるために来ているんだ。それを改めて気付かされて、気持ちがすっかり重くなってしまっていた。
「遅くなってごめん。待った?」
「ちょっとね。でも、時間通りだし遅刻じゃないからいいよ」
広美さんはそう言ってその人の肩をポンポンと叩き、私の方を向いた。
「草津さん、彼がこないだ紹介するって話した健一郎。で、この子が草津さん……草津妃愛梨さん」
「あ、あの。こんにちは……。草津です」
どう言って良いのか分からなくて、とりあえず無難な挨拶をしてペコリと頭を下げた。顔を上げてチラリと相手の顔を窺うと、目が合ってニコリと笑顔を返されて戸惑う。
「こちらこそよろしく妃愛梨さん。あ、と俺は城田健一郎。健一郎って読んでくれていいから」
「あ、はい」
ぎこちなく返事を返すと、隣で広美さんがぷぷっと噴き出していた。
「草津さんは緊張しすぎ。さ、行こうか。久しぶりなんだよ水族館、楽しみ!」
「陽菜も! マンタが見たい。海中トンネル楽しみ~」
2人はキャッキャと燥ぎながら、腕を組んでさっさと歩き始めてしまった。
私らも慌てて後に続いた。
私は待たせたり遅れたりするのが嫌なタイプなので、普段は集合時間よりもなるべく早めに着くように心掛けている。
だけど、今回はもし万が一広美さんが遅く来て、紹介すると言っていた相手の人が先に来ていて2人っきりになってしまうとか、そんな羽目に陥るのは嫌だなと思ったので、なるべく時間ギリギリのぴったりした時間に行こうと思った。
それに、本音を言うと、少しでも今日の時間を短くしたいとも思っていた。
駅がそろそろ近くなってきた。
待ち合わせ場所が遠くから見える位置に来て目を凝らすと、既に広美さんとそのお友達らしき女の子が立っていた。男の子の姿は見えないから、まだ来ていないのかもしれない。
私はちょっぴりホッとして、歩を速めた。
私が広美さんたちに近づいていくと、彼女が気が付いたようで、こちらに向かってにこやかに手を振ってきた。
「待たせてごめんね」
私はパタパタと少し急いで、広美さんたちの許へと走った。
「ううん、大丈夫だよ。まだ時間前出し。あ、この子は田端陽菜。と、草津妃愛梨さん」
「よろしく、草津さん」
田端さんと紹介された子が、ニコリと笑って挨拶をしてくれる。
「あ、こちらこそよろしく田端さん」
私も慌てて挨拶を返した。
「そろそろ健一郎もやってくると思うんだけど……」
広美さんがまだ来ていない健一郎という人を探すように、キョロキョロと辺りを見回した。そして、見つけたのだろう。広美さんの顔がパッと明るくなった。
「ここ、ここ。健一郎!」
手を振りながら、大声で合図をする広美さんに気が付いたのだろう。通りの向こうから、背の高い男の人が片手を上げて走り寄って来る。
その姿を見た途端、私の体が緊張で委縮した。
決して忘れたわけでは無かったけれど、今日の私はあの人に紹介されるために来ているんだ。それを改めて気付かされて、気持ちがすっかり重くなってしまっていた。
「遅くなってごめん。待った?」
「ちょっとね。でも、時間通りだし遅刻じゃないからいいよ」
広美さんはそう言ってその人の肩をポンポンと叩き、私の方を向いた。
「草津さん、彼がこないだ紹介するって話した健一郎。で、この子が草津さん……草津妃愛梨さん」
「あ、あの。こんにちは……。草津です」
どう言って良いのか分からなくて、とりあえず無難な挨拶をしてペコリと頭を下げた。顔を上げてチラリと相手の顔を窺うと、目が合ってニコリと笑顔を返されて戸惑う。
「こちらこそよろしく妃愛梨さん。あ、と俺は城田健一郎。健一郎って読んでくれていいから」
「あ、はい」
ぎこちなく返事を返すと、隣で広美さんがぷぷっと噴き出していた。
「草津さんは緊張しすぎ。さ、行こうか。久しぶりなんだよ水族館、楽しみ!」
「陽菜も! マンタが見たい。海中トンネル楽しみ~」
2人はキャッキャと燥ぎながら、腕を組んでさっさと歩き始めてしまった。
私らも慌てて後に続いた。
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