不思議な縁に導かれました

らいち

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第一章

とんでもない出会い 2

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 だけどそのちらりと見えた綺麗な顔は、長く鬱陶しい前髪によってすぐに隠れてしまった。

 ちょっと待って。もう一度見てみたい。いやいや、見間違いかもしれないからもう一度確認したい。

 私は前髪によって隠れてしまったその顔をなんとかして確認しようと、左右から覗き込めないかと首を傾げ体を倒し、鬱陶しい前髪の隙間からなんとかして拝もうとした。

「何だ?」

 警戒心たっぷりの低い声で聞かれて、ハッと我に返る。これではまるで私の方が不審者のようだ。

「……いえ、なんでも無いです。行きましょう」

 自分の恥ずかしい行為を振り返って顔に熱が集まってしまったけれど、視界の悪いこの人には私の表情なんて見えないはずだと己に言い聞かせて平静を装った。
 そして腕をしっかりと支え立ち上がらせて、彼の歩くスピードに合わせてゆっくりと食堂へ向かった。

「白山さん、遅かった……って、高科さん!」

 私の姿を確認して走り寄って来た大谷さんが、素っ頓狂な声を上げた。高科さんと呼ばれたこの研究員は、バツが悪いのか動きが止まる。もしかしたら以前にも、似たような事があったのかもしれない。

「お腹が空いて、一人では歩けないそうですよ」

 私が意地悪くそう言うと、ムッとしたのか掴んでいた私の腕を離そうとしてぐらついた。

「ちょっと、危ないですよ!」
 私は慌てて支え直し、近くの椅子に腰かけさせた。

「もう本当に、しょうのない人ねえ。高階さん、日替わりがあるからそれでいいわね?」

 大谷さんの呆れたようで、それでいて優しい声に、高科さんは素直にコクンと頷いた。


「日替わり出来たわよ」

 厨房から小杉さんが声を掛けた。そして高科さんを見つけて、一瞬目を見開き苦笑する。

「白山さん、その一つを高科さんに持ってってあげて。私は後休憩に回るから」
「はい。……あの、私が後半に回ってもいいですけど」
「大丈夫よ、気にしないで。先に食べちゃって」
「すみません」

 小杉さんがそう言って譲ってくれたので、素直にお礼を言って、トレイを高科さんが座っているテーブルへと運んだ。大谷さんも高科さんと同じテーブルに着いたので、私の分もその隣に置いた。
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