9 / 64
第二章
ごみ屋敷と高科さん
しおりを挟む
約束した土曜日がやって来た。
高科さんに居候の許可をもらってから本格的に荷造りを始めて、金曜日の夜にはなんとか完了した。大家さんが呼んでくれた引っ越し業者とともに、今私は高科さんの家の前にいる。
「大きなお家……」
まだ建てて間もないような綺麗な外観だ。しかも二階建て。敷地も結構あって、広いと言っていたのは強ち冗談ではなかった。
インターホンを鳴らして着いたことを伝えると、高科さんに入って来るようにと言われた。
「お願いします」
「はい」
業者さんに重い荷物を運んでもらい、その他の荷物はなんとか私が全部持ち、玄関へと向かう。扉は既に開いていて、高科さんがそこに立っていた。
「どうぞ。まだ荷物はあるのか?」
「いいえ、これで全てです」
「そうか。じゃあ荷物はここに置いてもらってくれ。片付けないと、置き場が分からないからな」
「あ、はい」
そう言えばゴミ屋敷って言っていたっけ。
ちらっと奥の方を覗くと、確かに床の上にいろんな物が転がっている。くるりと後ろを振り向いて業者さんを見ると、呆れを通り越した驚愕の表情で高科さんを凝視していた。
ああ、うん、わかる。ぼさぼさで皺くちゃな相変わらずのその格好は、初めて見る人にとってはかなりの衝撃だろう。おまけに家はゴミ屋敷だし。
「あの、ありがとうございました。荷物はこちらに置いておいて下さい」
「あ、えっ、はい。毎度ありがとうございました!」
私に声を掛けられてようやく我に返ったようだ。ハッとした表情でお礼を言い、バタバタと車へと戻って行った。
きっと気が抜けてホッとしたら、大爆笑するんだろうな。当の本人は、気にもしていないようだけど。
「どうした? つっ立ってないで、入れよ」
「お邪魔します……」
高科さんに居候の許可をもらってから本格的に荷造りを始めて、金曜日の夜にはなんとか完了した。大家さんが呼んでくれた引っ越し業者とともに、今私は高科さんの家の前にいる。
「大きなお家……」
まだ建てて間もないような綺麗な外観だ。しかも二階建て。敷地も結構あって、広いと言っていたのは強ち冗談ではなかった。
インターホンを鳴らして着いたことを伝えると、高科さんに入って来るようにと言われた。
「お願いします」
「はい」
業者さんに重い荷物を運んでもらい、その他の荷物はなんとか私が全部持ち、玄関へと向かう。扉は既に開いていて、高科さんがそこに立っていた。
「どうぞ。まだ荷物はあるのか?」
「いいえ、これで全てです」
「そうか。じゃあ荷物はここに置いてもらってくれ。片付けないと、置き場が分からないからな」
「あ、はい」
そう言えばゴミ屋敷って言っていたっけ。
ちらっと奥の方を覗くと、確かに床の上にいろんな物が転がっている。くるりと後ろを振り向いて業者さんを見ると、呆れを通り越した驚愕の表情で高科さんを凝視していた。
ああ、うん、わかる。ぼさぼさで皺くちゃな相変わらずのその格好は、初めて見る人にとってはかなりの衝撃だろう。おまけに家はゴミ屋敷だし。
「あの、ありがとうございました。荷物はこちらに置いておいて下さい」
「あ、えっ、はい。毎度ありがとうございました!」
私に声を掛けられてようやく我に返ったようだ。ハッとした表情でお礼を言い、バタバタと車へと戻って行った。
きっと気が抜けてホッとしたら、大爆笑するんだろうな。当の本人は、気にもしていないようだけど。
「どうした? つっ立ってないで、入れよ」
「お邪魔します……」
0
あなたにおすすめの小説
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
置き去りにされた転生シンママはご落胤を秘かに育てるも、モトサヤはご容赦のほどを
青の雀
恋愛
シンママから玉の輿婚へ
学生時代から付き合っていた王太子のレオンハルト・バルセロナ殿下に、ある日突然、旅先で置き去りにされてしまう。
お忍び旅行で来ていたので、誰も二人の居場所を知らなく、両親のどちらかが亡くなった時にしか発動しないはずの「血の呪縛」魔法を使われた。
お腹には、殿下との子供を宿しているというのに、政略結婚をするため、バレンシア・セレナーデ公爵令嬢が邪魔になったという理由だけで、あっけなく捨てられてしまったのだ。
レオンハルトは当初、バレンシアを置き去りにする意図はなく、すぐに戻ってくるつもりでいた。
でも、王都に戻ったレオンハルトは、そのまま結婚式を挙げさせられることになる。
お相手は隣国の王女アレキサンドラ。
アレキサンドラとレオンハルトは、形式の上だけの夫婦となるが、レオンハルトには心の妻であるバレンシアがいるので、指1本アレキサンドラに触れることはない。
バレンシアガ置き去りにされて、2年が経った頃、白い結婚に不満をあらわにしたアレキサンドラは、ついに、バレンシアとその王子の存在に気付き、ご落胤である王子を手に入れようと画策するが、どれも失敗に終わってしまう。
バレンシアは、前世、京都の餅菓子屋の一人娘として、シンママをしながら子供を育てた経験があり、今世もパティシエとしての腕を生かし、パンに製菓を売り歩く行商になり、王子を育てていく。
せっかくなので、家庭でできる餅菓子レシピを載せることにしました
イケメンエリート軍団??何ですかそれ??【イケメンエリートシリーズ第二弾】
便葉
恋愛
国内有数の豪華複合オフィスビルの27階にある
IT関連会社“EARTHonCIRCLE”略して“EOC”
謎多き噂の飛び交う外資系一流企業
日本内外のイケメンエリートが
集まる男のみの会社
そのイケメンエリート軍団の異色男子
ジャスティン・レスターの意外なお話
矢代木の実(23歳)
借金地獄の元カレから身をひそめるため
友達の家に居候のはずが友達に彼氏ができ
今はネットカフェを放浪中
「もしかして、君って、家出少女??」
ある日、ビルの駐車場をうろついてたら
金髪のイケメンの外人さんに
声をかけられました
「寝るとこないないなら、俺ん家に来る?
あ、俺は、ここの27階で働いてる
ジャスティンって言うんだ」
「………あ、でも」
「大丈夫、何も心配ないよ。だって俺は…
女の子には興味はないから」
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる