不思議な縁に導かれました

らいち

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第二章

ごみ屋敷と高科さん 2

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 恐ろしく散らかっているリビングを抜けて高科さんに案内された先は、四畳半くらいの広さのフローリングの部屋だ。

「この部屋を使ってくれ。一番まともな部屋だ」

 な、なるほど。でもここも、眠るスペースもなさそうですね。

「ところで高科さん、こちらにあるレコーダーや、何だこれ……、布団乾燥機? この辺使ってるんですか?」
「まさか。それ、俺のじゃないし」
「ええっ?」

 じゃあ誰の?

「ああ、言ってなかったか。この家は従兄夫婦のもので、俺は彼らがアメリカに行っている間留守を任されているだけだ」

「えっ!?」

 留守を任されて借りていて、このゴミ屋敷?
 それはあまりにも酷いのでは?

 絶句して呆ける私を見て、高科さんはバツが悪そうに頭を掻いた。

「俺も悪いなと思っていたんだ。少なくとも五年はアメリカから帰って来れないからって言って、家賃はタダでいから管理をしてくれと頼まれていたのにこの有様だから……」

 相変わらず顔が見えないので表情は分からないけれど、俯いてぼそぼそと喋るその姿から、本気で反省しているのが見て取れた。

「分かりました、任せて下さい。この家は私が綺麗にしてみせますから」
「ありがとう、頼むよ」

「いえ、こちらこそお世話になります。……あの、家賃はタダと言ってもらいましたけど、食費や光熱費は払いますので」

「いや、それもいい」
「ダメですよ、そんな!」

「何でだ? そもそも俺も家賃はタダだし、家事一切を君にやってもらうんだぞ? 食費なんて貰えるわけないだろう?」

「それは……」

「変な意地を張らずに、余ったお金は貯蓄に回しとけ。君はこれからまた、引っ越し先を探さねばならないのだろう?」

 あ、そうか。そうだった。ここはひとまずの避難地で、新しい部屋を探さなければならないんだった。

「すみません。それでは、お言葉に甘えます」
「いや、こちらこそ世話になる」

 話が一段落し、高科さんは部屋を出て行こうとして足を止めた。

「布団は、あるのか?」
「はい、持ってきました」
「そうか、なら心配する事はないな」
「はい、ありがとうございます」

 心配してくれたんだ。生活能力は低いけど、全く気が利かないわけじゃないんだね。

 高科さんが出て行った後、まずはこの部屋を何とかしなければと立ち上がった。このままでは布団も敷けない状態だから。

「え~っと、この箱なんだ?」

 乱雑に、放置されたように置かれている多数の箱。包装紙を剥がされた物もあれば、そのままの物もある。おそらくお中元とかお歳暮とかの類だろう。

 一瞬これらの物をどうしたらいいのかと高科さんに聞こうかと思ったのだけど、止めにした。こういう物すら興味が無いから、そのままにしているのだろう。私は片っ端から箱を開けて中身を確認し、独断でそれらの物を片付けていった。
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