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第二章
高科さん激変 5
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「……呆れた」
「だろ?」
「そうじゃないです。呆れたのは高科さんにですよ!」
「は? なにがだ?」
「さっき美容師さんが言っていたの聞いてました? あれはお世辞じゃなくて本心ですよ!」
「……は?」
怪訝な声に怪訝な表情。もう本当にこの人は、一体どんな目をしているの?
「…………」
「…………」
暫く二人、お互いに変な表情で相手を見つめる。だけど私よりも早く、高科さんの方が折れてくれた。
「まあ、いい。それよりスーパーに寄って行くか? 食材はどうなっている?」
「あっ、そうですね。野菜もお肉も買いましょう。後、それとお米も」
「了解」
高科さんは車を発進させて、いつもの近所のスーパーへと向かった。そして一緒に二人でスーパーに入り、高科さんはカートの上に籠を乗っけて私の隣を歩く。
いつものように通り過ぎる人達が、高科さんを二度見していく。ただいつもと違うのは、二度見をして行くのは女性達だけで男性はいない。それに見方も今までとは違っていてギョッとした表情の人は一人もいなく、まるでここにいる筈もない芸能人が歩いているのを発見してしまったと言うような、そんな驚きの表情だった。
「なんだか疲れたな」
「え? 大丈夫ですか? 仕事のしすぎじゃないですか?」
「違う。じろじろ見られたからだ」
ぷっ。
「何だ、何がおかしい」
「だって……。今までと何も変わりませんよ。前髪が邪魔で気がついてなかったかもしれませんけど、高科さん、歩く度に今以上に大勢の人に見られてましたよ」
「はあ?」
「だって高科さんってば、最初の頃はぼさぼさのヨレヨレで、あれでは誰だってびっくりして振り返りますよ」
「…………」
「私も、今の高科さんの方が好きかな。だってちゃんと表情も分かるし、それに…… 」
高科さんと目が合った。今までには無かった事だ。
ああでも、こうやって見つめられると、やっぱりドキドキしちゃう。こんなに綺麗な男の人に、正直今まで縁なんて無かったんだもん。
「――それに、何だ?」
「あっ、えっと、……私の話をちゃんと聞いてくれてるんだなって、分かるからです」
私がそう言うと、高科さんは一瞬目を見開いた。そして苦笑する。
「考えてみたらそうだよな。俺の方から白山さんの表情は見えても、白山さんには俺の表情なんて分からなかったんだよな。悪かった」
「あっ、いいえ。そんな謝られるようなことでは……。それに今はちゃんと……、分かりますから」
「そうだな」
「……はい」
髪の毛、切るように勧めなきゃ良かったかしら。高科さんは何も変わらないのに、私一人がドキドキしちゃってる。
……だけど。だけどやっぱり私は、高科さんが他の誰かに馬鹿にされるのは嫌なんだ。研究以外には無頓着で、どう見たってただの変人だけど。それでも結構居心地のいい人なんだって、今の私には分かるから。
「だろ?」
「そうじゃないです。呆れたのは高科さんにですよ!」
「は? なにがだ?」
「さっき美容師さんが言っていたの聞いてました? あれはお世辞じゃなくて本心ですよ!」
「……は?」
怪訝な声に怪訝な表情。もう本当にこの人は、一体どんな目をしているの?
「…………」
「…………」
暫く二人、お互いに変な表情で相手を見つめる。だけど私よりも早く、高科さんの方が折れてくれた。
「まあ、いい。それよりスーパーに寄って行くか? 食材はどうなっている?」
「あっ、そうですね。野菜もお肉も買いましょう。後、それとお米も」
「了解」
高科さんは車を発進させて、いつもの近所のスーパーへと向かった。そして一緒に二人でスーパーに入り、高科さんはカートの上に籠を乗っけて私の隣を歩く。
いつものように通り過ぎる人達が、高科さんを二度見していく。ただいつもと違うのは、二度見をして行くのは女性達だけで男性はいない。それに見方も今までとは違っていてギョッとした表情の人は一人もいなく、まるでここにいる筈もない芸能人が歩いているのを発見してしまったと言うような、そんな驚きの表情だった。
「なんだか疲れたな」
「え? 大丈夫ですか? 仕事のしすぎじゃないですか?」
「違う。じろじろ見られたからだ」
ぷっ。
「何だ、何がおかしい」
「だって……。今までと何も変わりませんよ。前髪が邪魔で気がついてなかったかもしれませんけど、高科さん、歩く度に今以上に大勢の人に見られてましたよ」
「はあ?」
「だって高科さんってば、最初の頃はぼさぼさのヨレヨレで、あれでは誰だってびっくりして振り返りますよ」
「…………」
「私も、今の高科さんの方が好きかな。だってちゃんと表情も分かるし、それに…… 」
高科さんと目が合った。今までには無かった事だ。
ああでも、こうやって見つめられると、やっぱりドキドキしちゃう。こんなに綺麗な男の人に、正直今まで縁なんて無かったんだもん。
「――それに、何だ?」
「あっ、えっと、……私の話をちゃんと聞いてくれてるんだなって、分かるからです」
私がそう言うと、高科さんは一瞬目を見開いた。そして苦笑する。
「考えてみたらそうだよな。俺の方から白山さんの表情は見えても、白山さんには俺の表情なんて分からなかったんだよな。悪かった」
「あっ、いいえ。そんな謝られるようなことでは……。それに今はちゃんと……、分かりますから」
「そうだな」
「……はい」
髪の毛、切るように勧めなきゃ良かったかしら。高科さんは何も変わらないのに、私一人がドキドキしちゃってる。
……だけど。だけどやっぱり私は、高科さんが他の誰かに馬鹿にされるのは嫌なんだ。研究以外には無頓着で、どう見たってただの変人だけど。それでも結構居心地のいい人なんだって、今の私には分かるから。
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