不思議な縁に導かれました

らいち

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第三章

同僚の宮沢さん

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 職場の皆は、もうあまり高科さんの事を聞いたりはしなくなった。高科さんの態度が変わった頃は、それこそ心配されていろいろ聞かれたり励まされたりしたけれど、今はもうそっと見守ってくれるようになっている。

「白山さん、お昼休憩にしましょう」
「はい」

 日替わり定食を手に、小杉さんと席に着いた。とほぼ同時に、高科さんと同じ年齢くらいの社員が入って来た。

「あら、宮沢さん。今日は遅いわね」
「そうなんですよ。なかなかキリがつかなくて」

 そう言って笑う宮沢さんと言う人は、どこかエリート然として話し掛けにくい、他の研究者たちとはどこか感じが違っていた。

「ああ、そうそう。白山さんは、宮沢さんと話すのは初めてだったわね」
「はい。あっ、えっと、白山智未です。よろしくお願いします」
「宮沢有斗です。よろしく。―― じゃあ俺、ちょっと注文してきます」

 そう言って宮沢さんは食券を購入してカウンターに出した後、また私たちの下に戻って来た。

「ちょっとここで待たせてね」
「どうぞ、どうぞ」
「白山さんは食堂でちょこちょこ見かけたけど、そう長くはないよね。もう慣れた?」

「はい。もうそろそろ半年になりますから。それに皆さん、すごく親切で優しくて。……頼りにし過ぎてすみません」

 後半の言葉を小杉さんに言って、ぺこりと頭を下げた。

「そんな事無いわよ。白山さん、十分うちの戦力よ」
「ありがとうございます」
「いいねえ。仕事でチームワークは大切だからね。コミュニケーションは大事だよなあ」
「研究のお仕事も、そうなんですか?」
「もちろんだよ」
「宮沢さーん、日替わり出来ましたよー」
「はーい」

 宮沢さんが定食を取りに席を立った。ちょうど私も小杉さんもお昼を食べ終えたので、食器を片付けに戻る。

「あれ、二人とももう食べ終えちゃったの?」

「はい。休みは時間通り貰ってるんですけど食事は交替制なので、のんびりし過ぎないって言うのが暗黙の了解になってまして」

「じゃあ食事している時間以外にも、ちゃんと休憩は取っているんだ?」
「はい。ね、小杉さん?」
「もちろんよ」

 小杉さんは頷きながら、厨房の中に入って行った。大谷さんが呼んだからだ。

「それ、うちのエースにも言ってやりたいな」
「エース?」
「そう。高科って知ってる? 研究の鬼。一時期改善したと思ったら、また少し悪化してるんだよな」
「他人の仕事の邪魔をする奴に、言われたくないな」
「高科!」

 えっ?

 びっくりして振り向くと、冷めた表情の高科さんが立っていた。―― 宮里さんも一緒だ。
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