もふもふ妖は、金の守り人

らいち

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第一章

もふもふ須和君 2

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余りにもとんでもない事が目の前で繰り広げられて、只々びっくり。
私は口をポカーンと開け目を真ん丸にして、モフモフに変化した須和君を凝視していた。

キラキラと光る綺麗な金色の瞳は須和君を綺麗な男の子に、だけどモフモフの耳と尻尾は可愛らしい男の子に変身させていた。

「ね、ねえ。触ってもいい?」

ピクピクと動く耳や、ゆらゆら揺れる尻尾が可愛すぎて気になる。まるで可愛い子犬を目の前にしたように、触りたくて触りたくてうずうずしてきた。

「……い、良いけど」
須和君は若干引き気味だけど、どうぞと頭を前に軽く倒してくれた。

ヤタッ!
せっかくのご好意には、応えなくちゃ!

いそいそと須和君に近寄って、驚かさないようにゆっくりと耳を触る。

もふっ。ピクン。
もふもふっ。ピクピクン。

うわ、うわ~。
やばい、やばすぎ!

夢中になってもふもふしていると、耳が急に無くなった。

「え、あれ?」
「い……、いい加減にしてくれ」

我に返って須和君の顔を見ると、涙目になってぷるぷるしている。
か、可愛い……!

コホン。
「話を戻すけど。この世界には妖がいるのと同じように、魔神も存在しているんだ」

ま、魔人?
唖然とする内容だけど、須和君がもふもふの妖だってことは十分理解できたから、おとなしく話を聞くことにしよう。

「その魔人を目覚めさせれば、どんな願い事でも叶えてくれると言われているんだけど、それを目覚めさせることが出来るのは戦国の世に金の妖と契約を交わした柴谷家のみつ姫だけなんだ」

「そのみつ姫って、人間……だよね?」
「ああ。本来は金の妖の頭だけが出来る技だったんだけど、頭が絶体絶命に追い込まれた時に姫が必死で助けたことを恩に着て、礼としてみつ姫にその権限を譲渡したらしいんだ」

「そう、なんだ……」
「それでな、金の妖とは別にあの時代に同じようなことをしていた銀の妖という者たちがいて、そいつらがこの世界を自分らの思い通りにするために、魔神を目覚めさせようと画策しているという話なんだ」

「え? でも、魔神を目覚めさせるのは、みつ姫だけなんでしょう? その人はもう大昔に死んでしまっているわけだから、魔神を目覚めさせるのは不可能なんじゃないの?」

「だと良いんだけどな。頭が言うには、みつ姫が今世に生まれ変わってきているという事なんだ。あいつらもそれを察知したらしくて、みつ姫の生まれ変わりを捜しているらしい」

話を終えた須和君は、ふうっと力を抜いて、引っ込めていた耳をまたピンッと立てていた。
思わず目を輝かせる私に気が付いて、パッと両手で耳を押さえた。ケチ。
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