たとえ神様に嫌われても

らいち

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夏休み

別荘への誘い 2

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「別荘!?」
「うん。武本たちも誘ってて、7、8人くらいは誘ってもいいって言われてるから」
「え、なに? 平林君って、もしかしてお坊ちゃま!?」
 
真奈美がテンション高く聞く。
これは、行く気満々だな……。

「いや……。まさか。で、どうする?」
「行く! 行くに決まってるよ。ねえ! いづみ!」
「えっ! あたし?」
 
突然、振られてびっくりした。
もちろん、行く気なんてない。

「えと、あたしはいいよ。あ、千夏ちゃん行くでしょ? 2人で御呼ばれしたらいいよ」
「え~? 何言ってんのよ! 私たちは3人で1組でしょ!」
 
真奈美があたしを説得しようと、また拳を振りながら力説し始めた。

「……いや、でもさ。だって……」
 
今日の真奈美のテンションはヤケに高い。
あたしはもごもごと言い訳をしながらチラッと大石君を窺うと、それを彼女に見られてしまった。当然のごとく、真奈美は今度は大石君に詰め寄った。

「大石君も行こう! いづみと旅行だなんてなかなか行けないでしょ! 夜まで一緒に居られるし、いちゃいちゃしたい放題だよ!」
 
鼻息荒く訴える真奈美に、さすがの大石君も苦笑する。そこで今まで黙って聞いていた平林君が口を開いた。

「大石も来いよ。……出来れば、倉橋にも来てほしいし」
 
途中変に溜めて言うもんだから、なんだか妙な気分になる。それは大石君も感じたようで、平林君をじっと見ていた。

「あー、もう! 何でもいいから! いづみも大石君も参加決定! 良いよね」
 
相変わらずテンションの高い真奈美に、大石君は片眉を上げて小さく息を吐きあたしを見た。

「……まあ、いいか」
 
渋々といった感じで了承した大石君に、真奈美がヤッターと立ち上がる。

「……いいの?」
「あれに太刀打ちできんだろ」
 
真奈美は千夏ちゃんと、嬉しそうにハイタッチをしている。
 
3人で1組、か。真奈美らしい考え方だけど、嫌いじゃない。
実際大石君のことが無ければ、あたしだって喜んで参加していただろうし。
 

――そうして、あたしも大石君も、平林君の別荘にお邪魔する事に決まったのだ。
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