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らいち

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可愛い元木さん 5

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――駅前のペットショップ。
ここは大型店舗なので、ドッグフードやゲージ、ペットシーツやおもちゃなど、様々なペットに関わる商品がある。
そしてもちろん何よりもここの目玉は、個々のゲージに入れられた可愛い子犬たちだ。元木さんとその子犬たちを見に行こうと足を進めると、既にそこには学校帰りの小学生たちが楽しそうに子犬たちを眺めていた。

「しのちゃん、しのちゃん。あの子!」

誰か知り合いでもいたのかと指さす方を見ると、ゲージの中で与えられたおもちゃと一心不乱に遊ぶトイプードルの姿があった。

「かわいい……」

思わず漏れた私の声に、元木さんが目を輝かせる。

「だよな! 可愛いよな」

そう言って私の手を引っ張って、トイプードルの前を陣取った。

元木さんがゲージをちょいちょいと突く。すると子犬はくりくりとした目で元木さんを見つめ、トコトコと近づいてきた。

「く~ん」と鼻を鳴らすような甘えた声で鳴き、しっぽをパタパタと振っている。

「かわいい……」
「かわいいですね」

そうして、私たちは結局一時間ほどそうやって子犬たちを眺めていた。そんな私たちの耳に、少し離れたところからひそひそと話す声が聞こえて来た。
チラッとそこを窺うと、他校の制服を着た女の子たちが頬を染めて元木さんのことを見ている。

……イケメン恐るべし。

きっと元木さんのことだから、他校の女子にまでこんな風に見られるなんてさぞかし嬉しいんだろうと思ったのだけど、どうやらそうでもないらしい。彼女たちがこちらを意識しているのに気が付いて、「そろそろ帰ろう」とペットショップを後にした。

「満足しました?」
「……まあそれなりに」

……?

「あんまりかっこよくないところは他人に見られたくない」

ああ、そういうこと……。

もう本当に、どこまで見栄っ張りなんだろう。

「かわいいと思いますけどねえ……」
「それは誉め言葉じゃない」

はいはい、そうでした。かっこよくて色気半端ないんですよね。

「ところで家はどこだ?」
三七橋みなはしです」
「……逆だな」

どうやらこのペットショップから元木さんの家と私の家は逆方向のようだ。だけど元木さんは、付き合ってもらったからと駅まで私を送ってくれた。
元木さんは意外と紳士だ。

「じゃあ、今日はありがとうな。気を付けて帰れよ」
「はい。送ってくれてありがとうございました」

ぺこりと軽く頭を下げると、元木さんは笑って手を振って帰っていった。



本当に意外だった。遠くから見ている時には気が付かなかったけど、モテるわけだよ。

かっこよくてかかわいくて優しくて……。ちょっぴり見栄っ張り。
どことなく翔くんに似てるじゃない。

――もちろん私は、翔くん一筋だけどね。
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