貴方から逃げます

まる

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代償2

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 夜になる前に逃げ出したかったけど、部屋の前に1日中使用人が立っていて、私を見張っていた。

 もうすぐ夜の11時……。

 朝は勢いで啖呵を切ってしまったけど、冷静になると怖い。今夜、我慢して乗り切ったとしても、私を邸から出してくれる保証はないもの。

 お兄様が何を考えているのか解らない。


 色々考えてしまって、どうしてもお兄様の部屋に行く足が止まってしまう。


 ここで立ち止まっていたって、もし本当に結婚させられるなら体を重ねる事になる。一か八かでも、賭けに出た方が得だよね。

 よし、行こう!


 コンコン
「沙羅です」

 ……
 返事がないわ。もしかして、不在なのかしら。

 まだお仕事が終わっていないのかもしれないし、帰ろう。

 ドアに背を向けた時、ガチャとドアが開いて部屋に引っ張り込まれた。

「遅刻していいと言った覚えはないが」
「ええ、お兄様が勝手に決めた時間ですので、私が従う必要もありません」

 精一杯強がって言い返したけど、手は冷たいし震えてしまうのはどうしようもない。

「……少し話をしよう」
「はい……」

 昨日のように、力ずくで乱暴に扱われなくて少し安心した。

「俺は、結婚を本気で考えている」
「義理であっても姉弟です」
「では、邸を出て働きたいという意思は固いと?」
「だから、ここへ来たんです……」
「解った。では、着物を脱げ」
「……っ」

 夜だと言っても部屋にはいくつも明かりが付いているし、大きな窓からは満月が見える。この部屋はかなり明るい。体がはっきり見えてしまう。

「明かりを消してください」
「駄目だ」
「……」

 着物を脱ぐのを躊躇っている私に苛ついたのか、お兄様が直ぐ側まで歩いてきた。

「きゃっ!?」

 逃げる間もなく、お兄様に腕を引っ張られ、ベッドに押し倒されてしまった。

 やっぱり駄目!怖いっ!!

 逃げようとする私の右手首を、お兄様はベッドのヘッドボードに紐で結びつけた。

「何度も逃げられると面倒だ」

 固く結ばれて、手を動かす事が出来ない。

「こんな事をしなくても、逃げません!」
「着物を脱ぐ事すら躊躇っておいて、今更だな」

 無理矢理、体を横に向けられて、背中の帯がとかれてしまった。帯がどんどん緩んで着崩れていく。

「いやっ!」
「これだけで逃げようとしているのだから、縛り付けて正解だった」

 覚悟を決めたはずなのに、どうしても恐怖は拭いきれない。お兄様が私を異性として見ていたとは思えない。


「お兄様はお母様の事を好きだったのですよね」
「その話はするな」
「いいえ、大切な事です。私をお母様の代わりにしても、虚しいだけではないですか?」
「……沙羅も、あの男と同じような事を言うんだな」

 あの男?

「誰のことですか?」

 返事は返ってくる事はなく、お兄様はするすると私の着物の帯をほどいていく。

「お兄様!止めてくださいっ!!」

 着物には袖を通しているだけで、既に前は開けて肌襦袢姿がお兄様から丸見えの状態。これだけでも何とか脱がされないようにしないと!
 私は結んである襦袢の紐をきゅっと握りしめた。

「それで抵抗しているのか?」

 肌襦袢の中に、冷たくて大きな手が這ってきた。

「いや……」

 怖い……

 体に触れられる事も、お兄様の真意がわからない事も、何もかも怖い……っ



「私の事を好きなのであれば、こんな酷い事はしないはずです!」
「何もしなくても、沙羅は俺から離れていくのだろう?」
「私達は兄だ―っんん」

 話しを遮るように、お兄様が深く口づけてきた。


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