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第五章
第三十一話
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あれだけ苦労して潜入したってのに、勇者の力さえあれば、時間も、場所も、お構いなしってことか。
「へぇ、君が可愛い方のシルクちゃんか。はじめましてぇ~」
「ぁ、イットー様!? こちらの方はいったい……」
「そうだな、年齢でいうと……シルクの曽祖母、かな」
「ってことは──ぇ!? フレア様!?」
シルクの驚いた声を聞き、宿の皆んなが部屋の外にゾロっと集まった。
フレイヤは一人一人の顔をにやにやと眺めながら、うんと頷く。
「曾孫達よぉ~……って、娘くらいの年の奴もいるが、まぁいい。その名はもう捨てたんだ。私の事はフレイヤお姉さんと呼べ」
「フレイヤ、流石に曽祖母をお姉さんは厳しいんじゃない?」
「シルクは黙ってて!」
「痛ッ!!」
コツンと頭を殴られるアンドロディア。
するとシルクはピンッと背筋を伸ばし反応した。ややこしいな。
「ぁ、す、すみません!」
「あぁ~いや、そっちのシルクじゃなくて、こっちのシルク。ええぃ、ややこしいな」
「え……その子も、シルクって名前なんですか? フレイヤおば──お姉さん」
流石はシルク、できた奴隷だ。ギリギリセーフ。
「あぁ、奇妙な事に名前が被った。ま、これも運命かな」
「なぁ、フレイヤ。なんで俺の拠点まで戻ったのか、理由を説明してくれよ」
俺たちはまだ話の途中だ。
それに、ユグドラシルの呪いを解き、女勇者を脱出させたとなれば魔族も黙ってはいない。直ぐに行動を始めるだろう。
無駄な被害を出さないようにする為にも、速攻で「王」を討たねばならない。
「時間が無いんだ。お前がやらないなら、俺が魔王を倒す」
「それしか選択肢が残されていないもんな」
フレイヤの言う通りだ。
もう、ここまで来たら突き進むしか道はない。
「君の力で魔王を倒せると思ってるの? 私の娘、二人に苦戦したイットー様が」
「やってみなくちゃわかんねぇーだろ」
「その台詞は、失う物が何も無い者にのみ許される言葉だよ。もし、君が負けたら曾孫たちはどーなる?」
「……それは──」
「イットー様はやってくれます! もし、負けてしまっても、私たちは覚悟を決めています!!」
「へぇ……」
俺とフレイヤの話に、シルクが割って入った。そして、彼女の言葉にネイシアも、シリウスも、皆頷き賛同してくれる。
「皆……!」
「随分と信頼されてるみたいね、奴隷の王様は。私の子供たちを、ここまで手懐けるなんて」
「イットー様は素晴らしいお方です! 身を挺して、私たちを守ってくれます!」
「シルクちゃんの言いたい事はわかったよ。だから、すこーし頭の中を覗かせてくれない?」
「わ、私の頭をですか!?」
「うん、言葉だけじゃ信用できない主義でね。シルクちゃんから見たイットーを私は知りたい」
そう言うことか、フレイヤ。
これが俺に力を貸すべきか試すテストってことだな。
「この男は未熟者で偏屈で、そして不器用で歪んでいるよ」
「なッ──イットー様は決して──」
「だが、シルクちゃん達と出会い、コイツ自身も変わっているみたいなんだ」
「俺が……変わった……?」
「特にシルクちゃん、君が一番イットーに変化をもたらしてる。だから、見たい……王の器があるか、否か」
「王……? フレイヤ、お前は俺に何を求めてるんだ……?」
「それは後のお楽しみさ。じゃあ、いいかな? 我が子よ」
「イットー様……?」
不安そうな眼差しで此方を向くシルクに頷き返すと、彼女は目を瞑った。
そして、フレイヤの右手が優しくオデコに触れる。
次の瞬間────
「──ッ、くああああああッ!」
突然フレイヤは絶叫し、海老反りになると頭を抱えてた。一体何が起こった!?
「だ、大丈夫ですか!? フレイヤおば──お姉さん!?」
「ぉ、おい! 大丈夫かよ……」
俺たちの問いに暫く答えずフリーズすると、彼女は小さく「危なかった……」と呟いた。
「な、何が危なかったんだ……?」
「血族の影響か、シルクちゃんの純粋な感情が逆に流れ込んできた……」
「シルクの感情が?」
「もう頭ん中には君しかいなくて、どばーって、もう好き好きパワーが……うわぁ、純愛やんけぇ……こっちが呑み込まれるとこだった」
「わわわわ! ふ、フレイヤお姉さん!?」
そうか……それほどまでにシルクは俺の事を大事に思ってくれてたんだな。
分かってはいたけど、勇者を呑み込むくらい気持ちが強かったとは。すげぇ嬉しい。
「は、恥ずかしいので口にしないでくださいよー!」
一方でシルクは赤面させながらポカポカと勇者を叩いていた。うん、可愛い。
「いや、ごめんごめん。マジでビックリしたからさぁ……イットーの記憶で知ったけど、こんな世界で、ここまで人を好きになれるなんて。私のシルクと、どっちが上かなぁ?」
「勿論、僕の方が番の事を愛してるさ!」
「……愛してる?」
「シルクちゃんは知らないよね。これは、愛っていう無敵の感情だよ。イットーも君に同じ感情を抱いてる」
「イットー様も私を愛してくださっているのですか?」
純粋な眼差しを向けられ、胸がドキッと跳ねた。とっくの昔に気が付いてたけど、言わなかった言葉。
奴隷に抱いてはいけない感情だけど、この瞳に嘘は吐けない。
まさか、こんなところで言う羽目になるなんて……な。
「あぁ、愛してるよ、シルク」
「──ッ……イットー様!」
「おいおい、私は真面目な話をしてるんだぞ~目の前でいちゃいちゃすんな~」
「は、お、お前が言い出したんだろ!?」
コイツ……! さっきまで自分らがイチャイチャしてた癖に……!
「そー怒るなよイットー様。私は認めてたんだよ、君のことを」
「……なに?」
「約束通り、今から魔王を倒してきてあげるって言ってんの!」
「ほ、本当か!?」
「ユウシャ ウソ ツカナイ。けど、一つだけ条件がある」
「条件……?」
「第三勢力を作るのさ、そして、その国の王になって欲しい」
「だ、第三勢力!?」
「そ、魔族でも、人間でも、どちらに対しても平等かつ公平に、力の拮抗を保つ存在にね。言わば、私の変わりってやつ」
「ちょっと待て、全然話が見えねぇぞ!」
「のんびりしたいのよ~シルクと二人でさ、自由気ままに旅がしたいっていうか。ほら、私達100年以上ラブラブな訳だしー」
「聞いてます? 俺の話」
話が突拍子も無さ過ぎて、頭が混乱する。
「イットーは全ての上に立ちたい。なら、信頼する奴隷を連れて、武力国家を立ち上げるのじゃ~最強奴隷王国爆誕じゃ~ぁ、私の娘達もよろしくね。流石に、自分の子供が悲惨な目に合ってるのを見るのも、辛いからさ」
一人でガツガツと話を進めていくフレイヤ。もう俺が彼女の条件を承認する前提になっている。
「ぉ、おい! ちょっとま──」
「んじゃ行ってくるから。私のシルクだけ、守っといてぇ。それでは、魔王討伐にぃ~ぁ、レッツラゴー」
「ぁ、おい! おいいいいい!!!!」
そう言うとフレイヤは宿を飛び出していった。何もこっちの話を聞かずに。
「ぁ、の……イットー様?」
「ご主人様?」
「イットー?」
「……あぁ、わかったよ。作ってやるよ、最強の武力国家を、奴隷王国をな!!」
俺は半ばガムシャラに、天に向かってそう叫んだ。
「へぇ、君が可愛い方のシルクちゃんか。はじめましてぇ~」
「ぁ、イットー様!? こちらの方はいったい……」
「そうだな、年齢でいうと……シルクの曽祖母、かな」
「ってことは──ぇ!? フレア様!?」
シルクの驚いた声を聞き、宿の皆んなが部屋の外にゾロっと集まった。
フレイヤは一人一人の顔をにやにやと眺めながら、うんと頷く。
「曾孫達よぉ~……って、娘くらいの年の奴もいるが、まぁいい。その名はもう捨てたんだ。私の事はフレイヤお姉さんと呼べ」
「フレイヤ、流石に曽祖母をお姉さんは厳しいんじゃない?」
「シルクは黙ってて!」
「痛ッ!!」
コツンと頭を殴られるアンドロディア。
するとシルクはピンッと背筋を伸ばし反応した。ややこしいな。
「ぁ、す、すみません!」
「あぁ~いや、そっちのシルクじゃなくて、こっちのシルク。ええぃ、ややこしいな」
「え……その子も、シルクって名前なんですか? フレイヤおば──お姉さん」
流石はシルク、できた奴隷だ。ギリギリセーフ。
「あぁ、奇妙な事に名前が被った。ま、これも運命かな」
「なぁ、フレイヤ。なんで俺の拠点まで戻ったのか、理由を説明してくれよ」
俺たちはまだ話の途中だ。
それに、ユグドラシルの呪いを解き、女勇者を脱出させたとなれば魔族も黙ってはいない。直ぐに行動を始めるだろう。
無駄な被害を出さないようにする為にも、速攻で「王」を討たねばならない。
「時間が無いんだ。お前がやらないなら、俺が魔王を倒す」
「それしか選択肢が残されていないもんな」
フレイヤの言う通りだ。
もう、ここまで来たら突き進むしか道はない。
「君の力で魔王を倒せると思ってるの? 私の娘、二人に苦戦したイットー様が」
「やってみなくちゃわかんねぇーだろ」
「その台詞は、失う物が何も無い者にのみ許される言葉だよ。もし、君が負けたら曾孫たちはどーなる?」
「……それは──」
「イットー様はやってくれます! もし、負けてしまっても、私たちは覚悟を決めています!!」
「へぇ……」
俺とフレイヤの話に、シルクが割って入った。そして、彼女の言葉にネイシアも、シリウスも、皆頷き賛同してくれる。
「皆……!」
「随分と信頼されてるみたいね、奴隷の王様は。私の子供たちを、ここまで手懐けるなんて」
「イットー様は素晴らしいお方です! 身を挺して、私たちを守ってくれます!」
「シルクちゃんの言いたい事はわかったよ。だから、すこーし頭の中を覗かせてくれない?」
「わ、私の頭をですか!?」
「うん、言葉だけじゃ信用できない主義でね。シルクちゃんから見たイットーを私は知りたい」
そう言うことか、フレイヤ。
これが俺に力を貸すべきか試すテストってことだな。
「この男は未熟者で偏屈で、そして不器用で歪んでいるよ」
「なッ──イットー様は決して──」
「だが、シルクちゃん達と出会い、コイツ自身も変わっているみたいなんだ」
「俺が……変わった……?」
「特にシルクちゃん、君が一番イットーに変化をもたらしてる。だから、見たい……王の器があるか、否か」
「王……? フレイヤ、お前は俺に何を求めてるんだ……?」
「それは後のお楽しみさ。じゃあ、いいかな? 我が子よ」
「イットー様……?」
不安そうな眼差しで此方を向くシルクに頷き返すと、彼女は目を瞑った。
そして、フレイヤの右手が優しくオデコに触れる。
次の瞬間────
「──ッ、くああああああッ!」
突然フレイヤは絶叫し、海老反りになると頭を抱えてた。一体何が起こった!?
「だ、大丈夫ですか!? フレイヤおば──お姉さん!?」
「ぉ、おい! 大丈夫かよ……」
俺たちの問いに暫く答えずフリーズすると、彼女は小さく「危なかった……」と呟いた。
「な、何が危なかったんだ……?」
「血族の影響か、シルクちゃんの純粋な感情が逆に流れ込んできた……」
「シルクの感情が?」
「もう頭ん中には君しかいなくて、どばーって、もう好き好きパワーが……うわぁ、純愛やんけぇ……こっちが呑み込まれるとこだった」
「わわわわ! ふ、フレイヤお姉さん!?」
そうか……それほどまでにシルクは俺の事を大事に思ってくれてたんだな。
分かってはいたけど、勇者を呑み込むくらい気持ちが強かったとは。すげぇ嬉しい。
「は、恥ずかしいので口にしないでくださいよー!」
一方でシルクは赤面させながらポカポカと勇者を叩いていた。うん、可愛い。
「いや、ごめんごめん。マジでビックリしたからさぁ……イットーの記憶で知ったけど、こんな世界で、ここまで人を好きになれるなんて。私のシルクと、どっちが上かなぁ?」
「勿論、僕の方が番の事を愛してるさ!」
「……愛してる?」
「シルクちゃんは知らないよね。これは、愛っていう無敵の感情だよ。イットーも君に同じ感情を抱いてる」
「イットー様も私を愛してくださっているのですか?」
純粋な眼差しを向けられ、胸がドキッと跳ねた。とっくの昔に気が付いてたけど、言わなかった言葉。
奴隷に抱いてはいけない感情だけど、この瞳に嘘は吐けない。
まさか、こんなところで言う羽目になるなんて……な。
「あぁ、愛してるよ、シルク」
「──ッ……イットー様!」
「おいおい、私は真面目な話をしてるんだぞ~目の前でいちゃいちゃすんな~」
「は、お、お前が言い出したんだろ!?」
コイツ……! さっきまで自分らがイチャイチャしてた癖に……!
「そー怒るなよイットー様。私は認めてたんだよ、君のことを」
「……なに?」
「約束通り、今から魔王を倒してきてあげるって言ってんの!」
「ほ、本当か!?」
「ユウシャ ウソ ツカナイ。けど、一つだけ条件がある」
「条件……?」
「第三勢力を作るのさ、そして、その国の王になって欲しい」
「だ、第三勢力!?」
「そ、魔族でも、人間でも、どちらに対しても平等かつ公平に、力の拮抗を保つ存在にね。言わば、私の変わりってやつ」
「ちょっと待て、全然話が見えねぇぞ!」
「のんびりしたいのよ~シルクと二人でさ、自由気ままに旅がしたいっていうか。ほら、私達100年以上ラブラブな訳だしー」
「聞いてます? 俺の話」
話が突拍子も無さ過ぎて、頭が混乱する。
「イットーは全ての上に立ちたい。なら、信頼する奴隷を連れて、武力国家を立ち上げるのじゃ~最強奴隷王国爆誕じゃ~ぁ、私の娘達もよろしくね。流石に、自分の子供が悲惨な目に合ってるのを見るのも、辛いからさ」
一人でガツガツと話を進めていくフレイヤ。もう俺が彼女の条件を承認する前提になっている。
「ぉ、おい! ちょっとま──」
「んじゃ行ってくるから。私のシルクだけ、守っといてぇ。それでは、魔王討伐にぃ~ぁ、レッツラゴー」
「ぁ、おい! おいいいいい!!!!」
そう言うとフレイヤは宿を飛び出していった。何もこっちの話を聞かずに。
「ぁ、の……イットー様?」
「ご主人様?」
「イットー?」
「……あぁ、わかったよ。作ってやるよ、最強の武力国家を、奴隷王国をな!!」
俺は半ばガムシャラに、天に向かってそう叫んだ。
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