誰とでも寝る黒ギャルビッチな彼女が僕の『彼女』になるまで

あむあむ

文字の大きさ
20 / 22
第四話

夏の始まりは官能的だ4

しおりを挟む
「何すんだてめぇ!!」
「──ぅごッ!?」
「楠ッ!?」

 すぐさま返された拳が腹部に突き刺さる。
 痛みが走り、呼吸が止まり、初めて自分のした行動に気が付いた。
 無意識の内の行動。
 俺、今人を殴ったのか?

「調子に乗りやがって、このクソガキッ!!」
「ぅ、がッ、あ……あ゛ッ!!」
「もうやめて! 楠を殴らないで!」

 何度も殴られる俺を、茜が前に出て止める。
 だが、男は彼女の身体を突き飛ばし、再び攻撃を続けた。

「うるせぇ、どけよクソビッチ!」
「キャッ!!」
「お前……また言ったなぁぁぁぁぁああッ!!」
「ぐぁッ! こ、このッ!!」

 まただ、また俺の拳が勝手に動いた。
 一撃加える度、数倍の力で返ってくる。
 どうして、俺は殴った? 人なんて、殴ったことないのに。
 もう止めろって、身体も鍛えてなくて、喧嘩したこともない俺が勝てるわけないだろう。
 あぁ、また殴った。殴られた。殴った。殴られた、殴られた。
 徐々に痛みが無くなっていく。感じなくなっているのか。
 心と身体が剥離している。
 死ぬぞ、このままじゃ……本当に、そろそろやめた方がいい。

 自信がないんだろ? 茜を満足させる自信が。
 相応しくないと思っているんだろ? 自分自身で。

「お前は、何もっ……茜の何もッ……分かってないッ!!」
「彼氏面かよ……気持ちわりぃんだよッ!!」
「俺の事は……どう言おうが構わない……けど、けど──」

 あッ、わかった、そういうことか。

「茜を悪く言うことだけは、絶対に許せないんだぁぁああ!!!」

 顔を両手で守り、タックルで男の押し倒す。
 そして、拳を振り下ろそうとした時に、逆に身体を入れ替えられてしまった。

「この、うがッ! しつこいんだ、よッ!!」
「あ゛ッ!? ぐッ……謝れ、茜に……ちゃんと謝れよッ!!」

 膝で背中を蹴り、怯んだ隙に馬なりで殴る。
 けど、直ぐに同じ方法で返され、また殴られた。
 でも俺も、諦めずにもう一回、もう一回。
 地面を転がりながら、がむしゃらに攻撃を続けたのだ。

 はは、気が付いてしまえばこっちのもんだ。
 全部わかった、俺の気持ちも全部。
 痛みを感じない程、アドレナリンが出ちゃってる。
 これ以上やったら、マジで死ぬんだろうな。
 でも、彼女を馬鹿にするやつに一矢報いた。満足だ。
 唯一心残りがあるとしたら──

「ぅ、あ……くッ、この! このッ!!」
「謝れっ……ぁ、ぁやま……れ、よっ」
「はぁ、はぁ、クソッ、ゾンビかよ……付き合ってられっか。そんなクソビッチ、くれてやるッ!!」
「待てっ……ちゃんと、あやま────」

 走って逃げようとする男に手を伸ばす。
 だが、その瞬間に頭の中でプツンと何かが切れる音がした。
 全身から力が抜け、顔面から倒れてしまう。
 視界が徐々に暗くなり、闇に飲まれていく。

「──き──すの──楠ッ、ねぇ、起きて──の──」

 嬉しいな、俺の名前を全力で呼んでくれた。
 そんな幸福感の中、意識は完全に途切れた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語

jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
 中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ  ★作品はマリーの語り、一人称で進行します。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

処理中です...