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冒険のはじまり!
12 潜入
しおりを挟む十二話 潜入
ーー…パンツを履き忘れていただけじゃない。
そういえば防具を何も身につけていなかったじゃん私。
周りはガチガチの鎧や盾で自分の身を守る格好をしている。
それに比べて私はー…。
まさかの白いワンピースのみ!!
村から出てきた衣装のままだ。
ここから出たら残ってるお金で何か買わないと…。
そんなことを考えながら下へと続く階段を降りていった。
ー…風で捲れ上がるスカートを押さえながら。
◆◇◆◇
階段を降りきると細い通路の先に大広間が見える。
「この先の大広間には弱い魔獣しか出てこなかったぞ。」
ゴールドアローを持った男が指を差す。
「その先はどうなんだ?」
「そこから先は俺も知らない。」
パーティ内で話し合いが開始される。
「んー、じゃあ俺が先陣を切るよ!」
前に出たのはゴールドソードの男。
なんだかんだで鎧もしっかりしていて確かに先頭を任せられる感はある。
「なんたって俺、もうレベル10だからな!!」
ゴールドソードの男が自慢げに腰に手を当てる。
ーー…え?
「まじか!早いな俺なんかまだレベル7だぜ!?」
「わたしなんかまだ6よ!?」
ー……は?
皆の言葉を聞いて愕然とする。
私のレベルが25…ってみんな私より下じゃない!!!
「ちなみに君はレベルいくつなの?」
パーティの仲間が聞いてくる。
「え…いや、えっと私は…。」
これ言っちゃって良いのかな。
でもそれで先頭を歩けとか言われたら嫌だし……。
「おいおい聞いてやんなよ、この子の装備見て察しろ? まだ防具すら身につけてないんだぞ。」
戸惑っているとゴールドソードの男が私をかばう。
「確かに。」
「そうね、ごめんなさい。」
みんなが私に哀れみの表情を向ける。
「あ、いや…いいの。あはははは。」
ここはこの状況に身をまかせる方が得策だ。
パーティとして、後方からの援護は頑張ってみよう。
ーー…まだ魔法試してないけど。
私は精霊の杖を握りしめながら最後尾につき、大広間へと足を踏み入れた。
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