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結託!
85 きっかけはお漏らし
しおりを挟む八十五話 きっかけはお漏らし
私は耳を疑う。
「おしっこを踏んで弱体化した?」
女性は静かに頷く。
「幹部の話によると、そのおしっこには神の植物エキスっていう成分が混ざってたらしいのよ。」
神の植物エキス? そんなの聞いたこともないよ。
ー…ていうか魔王さんナルテアの近くの森に来てたんだ。鉢合わせなくてよかったぁー。。
「あなたは神の植物って聞いたことない?」
もちろん私は首を振る。
神の植物ってどんなのだろう。
私のイメージでは大きな茎が天まで伸びてるような感じなんだけど。
「そっか。まぁ私も幹部から聞いただけで実際に見たことはないんだけどねー。」
「結構希少なの?」
「そうなの。希少も希少。なんでも一日で芽を出して、数時間以内に水になって溶けてしまうって話だもん。」
ー…それはかなり希少だね。
「それでね、その植物の形なんだけどー…こんな感じの形してるらしいの。ほら、楽譜とかで見たことない?」
女性は指でその形を表現。
それは音楽の楽譜の最初に書かれているウニョウニョのようでー……。
「ーー……。」
それ私食べたやつじゃん。
「ーー…? どうかした?」
女性が私の顔を覗き込む。
「えっと…それって食べたらどうなるのかなーって考えてて。」
「うーん、昔は体の中にある強力な毒や呪いを浄化させるために水に煎じて飲んでたらしいけど。あくまで聞いた話よ。だって希少すぎるんだから。」
「ーー…あー、それで利尿作用でおしっこと一緒に出てくると。」
「その通り。勘がいいわね。」
「ーー…どうも。」
血の気がサーっと引く。
「それで、その魔王さんが弱体化したのって…。」
「つい最近ね。私の耳に入ってきてる情報としては、近くにあった狼魔獣の巣が何者かによって爆破されていたのとほぼ同時期だとか。」
ーー……それ私です。
「それに少量の神の植物エキスなら膨大な闇の力を持つ魔王様には全く効かないんだけど、どうやらそのおしっこには莫大な量のエキスが含まれていたみたいね。」
ーー……はい、たくさん食べたの覚えてます。
それで魔王は引退を決意。
マギル北西にある樹海…ヘルムート樹海で身を隠そうとしたところ、邪神と鉢合わせしやられてしまった…とのことだった。
もしかして魔王さんがやられたのって私のせい??
今の世界のこの状況ー…私のお漏らしから始まったの!?
「ーー…お嬢ちゃん? おーーい。」
女性が私の目の前で手を振るも、今の私にそれを構う余裕なんてなかった。
ーー…私が邪神どうにかしないといけないやつじゃん。。
私はゆっくりと女性の手を握る。
そしてー…。
「うん、一緒に邪神をやっつけましょう。」
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