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新たな旅路2!
99 誰もいない!?
しおりを挟む九十九話 誰もいない!?
「あれ、この道ってー……。」
私は周囲の風景を何度も見渡す。
「どうしたんですの?」
「ここ私通ったよ?」
少し遠くに塔が見える。
あそこは最上階で私が魔王の手下を倒したところだ。
「それはそうでしょう。ヤマタイ国はナタリーの故郷・ナルテアから更に南へ下った所にあるのですから。」
ウルゼッタが地図を出して私に見せる。
「ー…あ、そうだったね。」
そういや前にも一度見せながら説明してくれたことあったような気がする。すっかり忘れちゃっていたけど。
ヒミコの故郷・ヤマタイ国はナルテアから南に行き、大きめの森を抜けていくつかの小さな集落を下った先にあるようだ。
「ーー…遠いね。」
「えぇ。遠いですわ。」
「ヒミコちゃんよくマギルまで逃げて来れたねー。」
こんな遠距離を1人で来たと思うとー……。
私の中の【ヒミコ尊いゲージ】がどんどん上昇していった。
◆◇◆◇
気づけばもうお昼時。
「みーちゃんお腹空いたぁー。」
ヒミコがお腹からグーと鳴らしながら私に背後から抱きつく。
「どうしましょうか。ナルテアまではまだかかりますしー…近くの集落にでも立ち寄ってみます? 簡易的な宿屋くらいはあるでしょう。」
ウルゼッタが地図を見ながら提案。私たちはウルゼッタの案内のもと、ここから一番近い集落へと足を運んだ。
ーー……のだが。
「ーーー……。」
「誰もいないわねぇ。」
ツクヨミは周囲を見渡しながら苦笑い。
木造の家こそあるものの、まだお昼時ー…明るいというのに誰1人見当たらない。
「ーー…もしかしてもう誰も住んでいないところとか?」
「そんなわけありませんわ。あれを見てください。」
ウルゼッタが指差す先に視線を向けると、燃えかすのようなものが地面に落ちていた。
「人が生活している証拠ですわ。」
ウルゼッタは腕を組みながら何故ここがこんな状況なのかを考える。
「歓迎されてないからー…とか?」
「まぁそういう余所者嫌いなところは小さな集落ではよくあるらしいですがー…これは異様ですわ。」
「だよね、なんかちょっと静かすぎて不気味だし。ーー…ちょっと私そこらへん見てくるよ。」
私は人がいないか確認しに小走りで集落の奥へ。
するとそれは突然。私が横切った家の玄関の扉が勢いよく開かれ、中から武装した男が黄金に輝く槍をなんの躊躇いもなく突き出してきた。
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