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調子のいいお嬢様

119 ミーナの主義

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 百十九話  ミーナの主義



 「ー…ちょっとなんで私がまたミーナさんと!?」


 訳も分からず王様に抗議すると、王国兵長が素早く私のもとへ。私の耳に顔を近づけてくる。


 「あれだ、王はあのミーナがこれ以上問題を起こさないようー…君に圧勝してもらいたいんだ。」

 「え?」

 「ミーナが君に歯が立たなければもちろん果実贈呈の話は無し。ー…ということで邪神討伐は諦めてもらい家に戻ってもらうつもりなんだ。」


 私はミーナに視線を移す。
 ミーナの目には全く光が宿っていない。


 「王様ぁー。ミーナ、この人には勝てないよぉー。」


 ミーナは両手を上げて降参。大きなため息をつく。


 「おぉそうか! なら仕方ないな! ではもうこの話は無しだ、家に戻りなさい!」


 王様は結果自分の望み通りに進んだことが嬉しかったのか、わずかな笑みを浮かべた。


 「ー…うん、そーするよぉ。あの子に勝てないようじゃ、邪神にも敵うわけないもんねー。」


 ミーナは力なくフラフラとした足取りで私の横を通り過ぎ、王の広間から出ようとした。
 ーー…その時だった。


 「なーーーんてねっ!!!」


 「!!??」


 振り返るとミーナは出入り口付近にいた鑑定士に向けてハイキック。一撃で鑑定士は気を失う。


 「な…何をするか!!!」


 王国兵長が剣を抜きミーナに構えるもー…。


 「動いちゃだめ。この人の顔がどうなってもいいの?」


 ミーナはメイスを鑑定士の顔に。


 「ー…くっ、卑怯だぞ!!」


 「どーとでも言えばぁー? ー…それよりも。。」


 ミーナは余裕めいた笑みを浮かべながら視線を私へ。


 「メルヘンな格好の君さぁ、この人を救いたかったら負けを認めてよぉー。」


 「ー…え?」


 「だってそうじゃんー? そしたらミーナの勝利は確定。あの果実はミーナのものになるんだからさぁ。」


 ミーナの視線は王様の持つ果実へと映される。


 「それかぁー、王様? 戦わないでその果実、ミーナにくれてもいいんだよ?」


 「ぐぬぬ…卑怯な…!!」

 「失礼だー。これも戦術の一つなんだよぉー? さぁ、どうするの?」


 ミーナは鑑定士の顔の真横でメイスを床に打ちつける。
 あんなのが顔に当たったら大怪我なんてもんじゃないー…下手したら死んじゃうかも。


 「ー……。」


 私は静かに覇王ミルキーポップを構える。
 しかしー…。


 「動かないでねぇー! それ以上動いたらこの人の顔にどかーんだから!!」


 ミーナはメイスの先を鑑定士の頬に軽く押し付ける。


 ーー…これ、どうすればいいわけ?


 ミーナの表情はガチだ。下手に動けな本当に鑑定士の頭を砕きかねない。



 「そこまでにしておきなさいな。」



 「ーー…!!??」


 広間の外から声が聞こえる。
 この声はー…ウルゼッタ?


 出入り口を見るとウルゼッタが腕を組みながら呆れた様子でミーナを見つめていた。その横にはヒミコもいる。


 「うるさいなぁ!! 外野は黙っててほしいんですけどぉー!!」

 
 ミーナはウルゼッタを睨みつけながら激昂。


 「そんなに果実が大事なんですの?」

 「あったほうが楽できるじゃーん!! 貰えるものは貰うのがミーナの主義なのーー!!!」


 ミーナはウルゼッタに完全に敵意むき出しだ。


 ーー…!!


 ここで私とウルゼッタの目が合う。
 ウルゼッタはそのまま目線を私のお腹へ。


 ーー…そうか。


 私が小さく頷くとウルゼッタは再び視線をミーナの方へ。


 「貰えるものは貰う主義ー…、ならばこの胸パッド入りますか? 昨日の決闘の時にあなたのポケットに入ってたものですわ。」


 これまたミーナが苛立つであろう言葉を投げかける。


 「ちょっとそれミーナの予備ー…! 返してよぉーー!!!」


 ミーナだけでなく、王様も王国兵長もー…ここにいる人全てがミーナとウルゼッタに視線を集中させている。
 ーー…今だ。。


 私は静かに絆創膏をアソコに貼り付け【神の完全隠密】を発動。ミーナのもとへと近づいて覇王ミルキーポップで思い切りミーナの持っていたメイスにぶつけて弾いた。


 「え!! なにーーー!!??」


 メイスは勢いよく弧を描きながら壁に激突。そのまま壁にめり込み突き刺さる。


 「これでもう鑑定士さんをどうすることもできないよね!!!」


 私は鑑定士さんを思い切り後ろへと引っ張りミーナから距離を取らせた。


 「今ですわ!!」


 ウルゼッタの声に王国兵長が反応。
 部屋の外で控えていた兵士たちも束となってミーナを取り押さえた。



 「な…何がどうなってるのぉーー!!」



 ミーナは兵士たちに取り押さえられながら再び牢へと連行されていった。
 
 
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