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学園編
薔薇の宮
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「さ、ここです」
「うわぁ……!」
私は着いた場所を見つめながら驚嘆の声を上げた。
だってここ、ゲームで見たあの「薔薇の宮」じゃーーん!!
ハイここで突然のゲーム知識コーナーに入ります。
薔薇の宮とは、王立学園において、生徒会に所属している人間だけが入れる特別な場所である。
ちなみに生徒会に属していない人でも入れる例はある。生徒会の仕事と深い関係性を持っていたり、特別に役員から招待を受けたりした時だ。
主に生徒会が食事やお茶会などをする際に訪れる所らしく、ゲーム内でもヴィクトールやユーリがアイラをここへ誘っていた。食堂から少し離れた場所にある、小さい塔のような建物だ。ガゼボとか、綺麗な装飾の東屋みたいな感じって言ったら分かりやすいかな。
中にはテーブルとソファーが置いてある。
それぞれ適当な席に座ると、ユーリが「はい、どうぞ」とメニュー表のようなものを渡してくれた。
「ここでは食事を注文すると、食堂の方が持ってきてくれるんですよ」
「え゛ッ、そ、それはすごいですね……」
「あはは。まぁ、生徒会に入っている者の特権といいますか」
からりとユーリが笑う。
確かに、生徒会に入るのは優秀な生徒、かつ公爵や王族の者が多いと聞く。それ故の特別待遇なのだろう。
「わ、私、そんなの……、本当にたまに、家族で外食する時くらいしか体験したことないです……!」
アイラちゃんが顔を青ざめさせながらぶるぶる震えている。そうだよね。前世庶民の感覚からしたらよーく分かるよその気持ち。
「本当に、いいんでしょうか……。私なんかがここへ来て」
不安そうな声で言われ、心が傷んだ。
推しが不安そうだと私も悲しくなる。その悲しみを拭ってあげたい。
アイラちゃん、と声をかけようとしたが、その前にユーリがこう言ってくれた。
「勿論です。あなたは入学時に素晴らしい成績を修め、見事生徒会の一員に迎えられた。それは誇るべきことです」
「ユーリ様……」
「全てはあなたの実力で勝ち取ったものなのですよ。だから、遠慮なんてせず、胸を張ってください」
ユーリが優しく、彼女に微笑みかけて。
アイラちゃんもそれを見て、「……はい!」と嬉しそうに返事をした。
(ええやん?! 素敵やんこの光景?!)
そうだそうだ!! アイラちゃんは勉強を頑張って、勇気を出してこの学園に入学したんだ!! それは素晴らしく、誇らしいことなんだぞ!!
二人の間にキラキラエフェクトが見える。あの少女漫画の『ドキン……!』みたいなトキメキシーンでよく見るやつ。ヤバイ二人の間に花まで咲いとる!!!! 薔薇の宮の名に相応しい、美しきローズフラワーが咲き乱れておりましてよ~~~~!!!!
最高。その一言に、尽きます。
(最高……最高すぎる。推しカプの素晴らしいシーンをこの至近距離で目撃できる喜び!! オタク冥利につきるわ!!)
興奮でハァハァと息が乱れそうになるが必死に堪えメニュー表を眺めるフリをする。必殺!! メニュー表でにやける口元を隠すの術!!
ありがとう。ありがとう本当に。この世界に感謝。
ゲームでは見られなかったスチルが見られるとか、ホントサイコ~~なのでは~~?!
「ウィラ、決まりました?」
「はいッ?!」
何がですか。攻略対象三人の内、結局どの人が一番アイラちゃんとの絡みで好きかですか。
それなら答えましょう。「決められてないです」。
「昼食は何にするかですよ」
「え? あ、あー……、そう、ですねー……」
何だそういうことか。
私がメニュー表をガン見してたから「コイツ食い意地張りすぎて何にするか未だに決めれてないんかい」って思ったんだろうな。ごめんよ。
「じゃあ、スープとサラダで……」
「おや、随分と少食なのですね。お腹でも痛いんですか?」
「いえそういうわけでは……」
「じゃあ僕はお肉を注文しますので、食べたくなったら言ってくださいね。いつでも分けてあげますから」
何でそうなるんだよ!! 要らんわい!!
相変わらずよく分からん優しさ発揮するなこの人。
という所でハッと気付いた。
「あ゛っ!! ていうか、ごめんねアイラちゃん!! メニュー表独り占めしちゃってた!!」
「えっ! ぜ、全然大丈夫ですよ?! 気にしないでください!」
「いやいやホントごめんね!! はいどーぞ!!」
こんなことをしているとお昼休みが早々に終わってしまうではないか! と慌ててアイラちゃんにメニュー表を渡す。
そして渡されたメニュー表に目を通し、「ひゃ~~……」と小さく驚きの声を上げる推し。
何だその声は。子猫か? 可愛すぎて選択肢が『→拾う』しか無いねこりゃ。
「豪華だね……」
「確かに、学校の食堂とは思えない豪華さだよね……」
ひそひそと話し合っていると、目の前に居たユーリがくすっと笑いを零した。
「仲良しですね、お二人とも」
その言葉が嬉しすぎて「ハイ!! そうです!!」と叫ばなかった私を誰か褒めてほしい。
*
「~~おいしい……っ!」
美味しそうにもぐもぐしている推しの可愛さって無限大だと思いませんか? そこのあなた。
いっぱい食べる君が好きってな……。
アイラちゃんが頼んだのはお洒落なハンバーグ定食みたいなやつだった。何気にアイラちゃん、よく食べるヒロインなんだよね。痩せの大食いみたいな。
そんな所も愛しています。
「すごいですね、学校の食堂でこんなに美味しいものが食べられるなんて……!」
「あはは。喜んでもらえて何よりです」
ユーリもその様を眺めながら微笑んでいる。
よしよし、いい感じに好感度上がってってるな。どこで判断してるの? とか思うんじゃない。上がってるんだよ(断定)
まぁ、アイラちゃんの言うことも分かる。学校の食堂とは思えないクオリティで、さすが貴族の子供を集めた学園だなと私も感心した。
ただのポタージュとサラダでも、決して陳腐な味付けではない。うまうまと食事を進める。
「ウィラはどうですか?」
「え? ああ、私もとっても美味しいと思いますよ」
「よかった。そう言ってもらえると、僕も誘った甲斐がありました。
ところでお肉食べませんか? 一切れあげますよ」
「いえ要らないです……」
フォークに刺さっているローストビーフを何故かずずい、と私の方に向けてくるユーリ。ちょっと! お行儀が悪くてよ!
そして私のお断りの言葉を聞いたユーリは、何故かしゅん、と子犬のような目をする。
「残念です……、ウィラは僕のことが嫌いですか?」
「嫌いではないですけど……」
「ヴィクトール義兄上からお聞きしました。あなたは彼に、所謂『あーん』をしていただいたことがあったと」
「はぁ??」
何それ、何の話。そしていつのことですか。
あの人しょっちゅうそれやってくるから適当に相手してたわ。
「婚約者である僕を差し置いて……」
「いや、そんなにその行為って重要ですか??」
「重要です」
「そうなんだぁ……」
そんなハッキリ言われても困る。
「お肉は今特に要らないので大丈夫です。
というか、そういうのは好きな子にだけやってください」
はぁー、とため息をつきながら言った。
ヴィクトールはまだ妹相手だから分かるけど、ユーリはそういうんじゃないし。やるならアイラちゃんにやってくれ。
その言葉に、心なしかユーリがちょっとむくれた表情をした……ように見える。
多分気のせいだけど。
「強敵ですね」
「何がですか。戦争じゃあるまいし……」
「戦争ですよこれは」
何のだよ。
「ごちそうさまです!」
元気よく挨拶が出来る推しは素晴らしい。
つられて私も「ごちそうさまです」と手を合わせる。
「いかがでしたか、アイラ嬢。ここの食事は」
「はい! 今まで食べたこともないくらい美味しくて……、こんなものを無料で毎日食べられるなんて、夢のようです!」
「それなら、これからはここで昼食をとりませんか?」
「えっ」
「この場所なら嫌な邪魔も入ってきませんでしょうし、気兼ねなく食堂を使用できますよ」
で、出た~~~~っ!! ユーリパイセンの口説きモードだぁ~~~~!!
(ガンガン行くねぇ君!! いいよいいよ!! その調子だよ!!)
これなら私がアイラちゃんについていくこともその内なくなりそうだな。うんうん、いい展開だ。
「それに、ウィラはどうやらあなたと離れて昼食をとるのは嫌らしいので……、ここなら僕も彼女と一緒にいれる時間が増えるかなと思って」
「あ、なるほど……」
「なんだか協力を頼んでいるようで申し訳ないのですが」
「いえいえっ、全然大丈夫ですよ私は」
なんかこそこそ喋ってる。なに、何の話してんの二人で?! そんなに距離縮めちゃってんもう!!
「……でも、その。私、ウィルヘルミナ様とお料理をして、その後裏庭のベンチに座って……、二人っきりで仲良くお喋りしながらご飯を食べる時間も、好きなんです」
「……そうなんですね。全く、入学して早々一人落としにかかるとは……」
「?」
「ああ、いえ、何でもないです。
確かにその時間もお二人には大事だと思います。週に何度か、くらいで全然構わないので」
「あ、ありがとうございます……! はい、でも出来るだけここを利用させてもらおうかなと思いますので、また今日みたいにお誘いに来てくだされば!」
おっ、ようやくちょっと聞こえてきたぞ。
なになに?! アイラちゃんが「また誘ってください」って言ってる?! やばい、目の前でラブが絶賛進行していっている!!
そろそろ後ろで応援のペンライト振りたい所なので誰かお貸しください。
「ふふ、分かりました。何なら行く曜日なども目安として決めておきます?」
「あ、それはいいですね。ウィルヘルミナ様、ここに来るとしたら、曜日はいつぐらいが良いですか?」
「へっ?」
…………えっ、何で私の意見聞く?
もしかして、アイラちゃん……、私がユーリの婚約者だからって気を遣ってたり……?!
「べ、別に私が居なくても、自由にここに来て大丈夫だと思うよ?」
「いえ、その……、私もやっぱり、ウィルヘルミナ様とご飯を食べるのが一番好きなので」
「え……」
「だから、ここへ来る時も、ウィルヘルミナ様も一緒がいいなって……」
(……天使……)
ひ、光が。彼女を取り巻く光が!! ウッ眩しっっ!!
そして早くも天使の羽が生えてるのが見える!! 多分幻覚じゃねえわこれ!!
「そ、そう? 私もアイラちゃんとご飯食べれるなら嬉しいから、それならいいんだけど……」
「えへへ、よかった」
ほんのり頬を赤くして微笑むアイラちゃん。
かわいいがさっきから渋滞してる……。
「……女性同士って、結構ズルいですよね」
そんな私達を見ていたユーリがぽつりと呟く。
おっ? 何だ何だ、百合に挟まる男になりたいのか?? いや私なんかがアイラちゃんと百合になるのは烏滸がまし過ぎるんだけど。
まぁ心配しないでほしい。
私は! 君とアイラちゃんの仲を! 大変に応援しておりますゆえ!!
「うわぁ……!」
私は着いた場所を見つめながら驚嘆の声を上げた。
だってここ、ゲームで見たあの「薔薇の宮」じゃーーん!!
ハイここで突然のゲーム知識コーナーに入ります。
薔薇の宮とは、王立学園において、生徒会に所属している人間だけが入れる特別な場所である。
ちなみに生徒会に属していない人でも入れる例はある。生徒会の仕事と深い関係性を持っていたり、特別に役員から招待を受けたりした時だ。
主に生徒会が食事やお茶会などをする際に訪れる所らしく、ゲーム内でもヴィクトールやユーリがアイラをここへ誘っていた。食堂から少し離れた場所にある、小さい塔のような建物だ。ガゼボとか、綺麗な装飾の東屋みたいな感じって言ったら分かりやすいかな。
中にはテーブルとソファーが置いてある。
それぞれ適当な席に座ると、ユーリが「はい、どうぞ」とメニュー表のようなものを渡してくれた。
「ここでは食事を注文すると、食堂の方が持ってきてくれるんですよ」
「え゛ッ、そ、それはすごいですね……」
「あはは。まぁ、生徒会に入っている者の特権といいますか」
からりとユーリが笑う。
確かに、生徒会に入るのは優秀な生徒、かつ公爵や王族の者が多いと聞く。それ故の特別待遇なのだろう。
「わ、私、そんなの……、本当にたまに、家族で外食する時くらいしか体験したことないです……!」
アイラちゃんが顔を青ざめさせながらぶるぶる震えている。そうだよね。前世庶民の感覚からしたらよーく分かるよその気持ち。
「本当に、いいんでしょうか……。私なんかがここへ来て」
不安そうな声で言われ、心が傷んだ。
推しが不安そうだと私も悲しくなる。その悲しみを拭ってあげたい。
アイラちゃん、と声をかけようとしたが、その前にユーリがこう言ってくれた。
「勿論です。あなたは入学時に素晴らしい成績を修め、見事生徒会の一員に迎えられた。それは誇るべきことです」
「ユーリ様……」
「全てはあなたの実力で勝ち取ったものなのですよ。だから、遠慮なんてせず、胸を張ってください」
ユーリが優しく、彼女に微笑みかけて。
アイラちゃんもそれを見て、「……はい!」と嬉しそうに返事をした。
(ええやん?! 素敵やんこの光景?!)
そうだそうだ!! アイラちゃんは勉強を頑張って、勇気を出してこの学園に入学したんだ!! それは素晴らしく、誇らしいことなんだぞ!!
二人の間にキラキラエフェクトが見える。あの少女漫画の『ドキン……!』みたいなトキメキシーンでよく見るやつ。ヤバイ二人の間に花まで咲いとる!!!! 薔薇の宮の名に相応しい、美しきローズフラワーが咲き乱れておりましてよ~~~~!!!!
最高。その一言に、尽きます。
(最高……最高すぎる。推しカプの素晴らしいシーンをこの至近距離で目撃できる喜び!! オタク冥利につきるわ!!)
興奮でハァハァと息が乱れそうになるが必死に堪えメニュー表を眺めるフリをする。必殺!! メニュー表でにやける口元を隠すの術!!
ありがとう。ありがとう本当に。この世界に感謝。
ゲームでは見られなかったスチルが見られるとか、ホントサイコ~~なのでは~~?!
「ウィラ、決まりました?」
「はいッ?!」
何がですか。攻略対象三人の内、結局どの人が一番アイラちゃんとの絡みで好きかですか。
それなら答えましょう。「決められてないです」。
「昼食は何にするかですよ」
「え? あ、あー……、そう、ですねー……」
何だそういうことか。
私がメニュー表をガン見してたから「コイツ食い意地張りすぎて何にするか未だに決めれてないんかい」って思ったんだろうな。ごめんよ。
「じゃあ、スープとサラダで……」
「おや、随分と少食なのですね。お腹でも痛いんですか?」
「いえそういうわけでは……」
「じゃあ僕はお肉を注文しますので、食べたくなったら言ってくださいね。いつでも分けてあげますから」
何でそうなるんだよ!! 要らんわい!!
相変わらずよく分からん優しさ発揮するなこの人。
という所でハッと気付いた。
「あ゛っ!! ていうか、ごめんねアイラちゃん!! メニュー表独り占めしちゃってた!!」
「えっ! ぜ、全然大丈夫ですよ?! 気にしないでください!」
「いやいやホントごめんね!! はいどーぞ!!」
こんなことをしているとお昼休みが早々に終わってしまうではないか! と慌ててアイラちゃんにメニュー表を渡す。
そして渡されたメニュー表に目を通し、「ひゃ~~……」と小さく驚きの声を上げる推し。
何だその声は。子猫か? 可愛すぎて選択肢が『→拾う』しか無いねこりゃ。
「豪華だね……」
「確かに、学校の食堂とは思えない豪華さだよね……」
ひそひそと話し合っていると、目の前に居たユーリがくすっと笑いを零した。
「仲良しですね、お二人とも」
その言葉が嬉しすぎて「ハイ!! そうです!!」と叫ばなかった私を誰か褒めてほしい。
*
「~~おいしい……っ!」
美味しそうにもぐもぐしている推しの可愛さって無限大だと思いませんか? そこのあなた。
いっぱい食べる君が好きってな……。
アイラちゃんが頼んだのはお洒落なハンバーグ定食みたいなやつだった。何気にアイラちゃん、よく食べるヒロインなんだよね。痩せの大食いみたいな。
そんな所も愛しています。
「すごいですね、学校の食堂でこんなに美味しいものが食べられるなんて……!」
「あはは。喜んでもらえて何よりです」
ユーリもその様を眺めながら微笑んでいる。
よしよし、いい感じに好感度上がってってるな。どこで判断してるの? とか思うんじゃない。上がってるんだよ(断定)
まぁ、アイラちゃんの言うことも分かる。学校の食堂とは思えないクオリティで、さすが貴族の子供を集めた学園だなと私も感心した。
ただのポタージュとサラダでも、決して陳腐な味付けではない。うまうまと食事を進める。
「ウィラはどうですか?」
「え? ああ、私もとっても美味しいと思いますよ」
「よかった。そう言ってもらえると、僕も誘った甲斐がありました。
ところでお肉食べませんか? 一切れあげますよ」
「いえ要らないです……」
フォークに刺さっているローストビーフを何故かずずい、と私の方に向けてくるユーリ。ちょっと! お行儀が悪くてよ!
そして私のお断りの言葉を聞いたユーリは、何故かしゅん、と子犬のような目をする。
「残念です……、ウィラは僕のことが嫌いですか?」
「嫌いではないですけど……」
「ヴィクトール義兄上からお聞きしました。あなたは彼に、所謂『あーん』をしていただいたことがあったと」
「はぁ??」
何それ、何の話。そしていつのことですか。
あの人しょっちゅうそれやってくるから適当に相手してたわ。
「婚約者である僕を差し置いて……」
「いや、そんなにその行為って重要ですか??」
「重要です」
「そうなんだぁ……」
そんなハッキリ言われても困る。
「お肉は今特に要らないので大丈夫です。
というか、そういうのは好きな子にだけやってください」
はぁー、とため息をつきながら言った。
ヴィクトールはまだ妹相手だから分かるけど、ユーリはそういうんじゃないし。やるならアイラちゃんにやってくれ。
その言葉に、心なしかユーリがちょっとむくれた表情をした……ように見える。
多分気のせいだけど。
「強敵ですね」
「何がですか。戦争じゃあるまいし……」
「戦争ですよこれは」
何のだよ。
「ごちそうさまです!」
元気よく挨拶が出来る推しは素晴らしい。
つられて私も「ごちそうさまです」と手を合わせる。
「いかがでしたか、アイラ嬢。ここの食事は」
「はい! 今まで食べたこともないくらい美味しくて……、こんなものを無料で毎日食べられるなんて、夢のようです!」
「それなら、これからはここで昼食をとりませんか?」
「えっ」
「この場所なら嫌な邪魔も入ってきませんでしょうし、気兼ねなく食堂を使用できますよ」
で、出た~~~~っ!! ユーリパイセンの口説きモードだぁ~~~~!!
(ガンガン行くねぇ君!! いいよいいよ!! その調子だよ!!)
これなら私がアイラちゃんについていくこともその内なくなりそうだな。うんうん、いい展開だ。
「それに、ウィラはどうやらあなたと離れて昼食をとるのは嫌らしいので……、ここなら僕も彼女と一緒にいれる時間が増えるかなと思って」
「あ、なるほど……」
「なんだか協力を頼んでいるようで申し訳ないのですが」
「いえいえっ、全然大丈夫ですよ私は」
なんかこそこそ喋ってる。なに、何の話してんの二人で?! そんなに距離縮めちゃってんもう!!
「……でも、その。私、ウィルヘルミナ様とお料理をして、その後裏庭のベンチに座って……、二人っきりで仲良くお喋りしながらご飯を食べる時間も、好きなんです」
「……そうなんですね。全く、入学して早々一人落としにかかるとは……」
「?」
「ああ、いえ、何でもないです。
確かにその時間もお二人には大事だと思います。週に何度か、くらいで全然構わないので」
「あ、ありがとうございます……! はい、でも出来るだけここを利用させてもらおうかなと思いますので、また今日みたいにお誘いに来てくだされば!」
おっ、ようやくちょっと聞こえてきたぞ。
なになに?! アイラちゃんが「また誘ってください」って言ってる?! やばい、目の前でラブが絶賛進行していっている!!
そろそろ後ろで応援のペンライト振りたい所なので誰かお貸しください。
「ふふ、分かりました。何なら行く曜日なども目安として決めておきます?」
「あ、それはいいですね。ウィルヘルミナ様、ここに来るとしたら、曜日はいつぐらいが良いですか?」
「へっ?」
…………えっ、何で私の意見聞く?
もしかして、アイラちゃん……、私がユーリの婚約者だからって気を遣ってたり……?!
「べ、別に私が居なくても、自由にここに来て大丈夫だと思うよ?」
「いえ、その……、私もやっぱり、ウィルヘルミナ様とご飯を食べるのが一番好きなので」
「え……」
「だから、ここへ来る時も、ウィルヘルミナ様も一緒がいいなって……」
(……天使……)
ひ、光が。彼女を取り巻く光が!! ウッ眩しっっ!!
そして早くも天使の羽が生えてるのが見える!! 多分幻覚じゃねえわこれ!!
「そ、そう? 私もアイラちゃんとご飯食べれるなら嬉しいから、それならいいんだけど……」
「えへへ、よかった」
ほんのり頬を赤くして微笑むアイラちゃん。
かわいいがさっきから渋滞してる……。
「……女性同士って、結構ズルいですよね」
そんな私達を見ていたユーリがぽつりと呟く。
おっ? 何だ何だ、百合に挟まる男になりたいのか?? いや私なんかがアイラちゃんと百合になるのは烏滸がまし過ぎるんだけど。
まぁ心配しないでほしい。
私は! 君とアイラちゃんの仲を! 大変に応援しておりますゆえ!!
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