《R18》 想い出だったはずなのに 【完結】

神野ひなた

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社会人になってから。

会社でのつきあい

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あきおさんとあんなふうに終わってしまって自棄になってしまった私は
塚田君と食事にいってとりあえずつきあってみようかと思った。
その返事をしたところ、なぜか次の日には部内に知れ渡っていた。
成美ちゃんから会社の内線がかかってきてわかったのだけれど、彼が自分であちこちに言いまわっていたようだ。

ありえなーいと思ってすぐに後悔した。

とりあえずつきあってはみたものの、かなり自分勝手な人だったこともあり、4か月ほどで別れた。

部内だけでなく、同期にも知れ渡ってしまっていたので、成美ちゃんにお願いして別れたことを部内&関西の母店内にウワサとして流してもらった。

塚田くんと別れたからといってあきおさんの元に戻るなんてできない。
お店にもいかなくなり、私は会社帰りにスポーツクラブに通うようになっていろんな意味で忙しい毎日を過ごして少しずつあきおさんのことを考えることはなくなっていった。

時々母店に研修で行くと、お昼の休み時間や終業時刻になると営業部の人たちによく声をかけられるようになった。
もともと私の父親の勤める銀行とこの会社の取引が父親と営業部の人とがつながったことがきっかけで始まったらしく、営業部では私の父のことを知らない人はいないくらいで、その絡みで私もこの会社にはいることになったのだ。
だから私のことは営業部の人たちは知っていて、たぶん塚田くんとのうわさのこともあったからか男の先輩からやたらと声をかけられるようになっていた。

いつも同期の成美ちゃんと一緒にいたので誘われるとほかの同期も誘って飲み会や食事会に行くくらいで、何人かに個人的にデートに誘われることもあったが、その気になれず断り続けていた。

6月の中旬。研修が終わってその日はまっすぐ帰ろうとビルに入り口で同期の子とおしゃべりしているところに父親の知り合いの営業部の谷口さんが外回りから帰ってきた。

「お疲れさまです、岡野さん、お久しぶりです!」

この人はやたらと声が大きい。
ニコニコと笑っているのだけれど、営業スマイルで目が笑っていなくて私はあまり好きではなかったのだけど、関西圏ではナンバー1の成績の超エリートなのだ。

「谷口さん、お久しぶりです。」
粗相のないように返事をすると今日じゃなくていいからこんど食事でもしないかと誘われた。

「父は一緒ではないんですよね?」

「いやだなぁ、会社の同僚としてさ、ボクの部下も誘うから一緒にどう?」

「はい、わかりました。では、谷口さんのご都合のいい日を連絡いただけますか?」

「よし!じゃあ今から課に戻ってスケジュールみるから明日朝電話するよ!」

「ありがとうございます。」

断れるわけがないので日程を決めてもらったらセンターのほうに電話してもらうようにお願いをした。

「ねぇねぇ、りおってあの谷口さんと知り合いなんだね。」

「うん。」

「すごいやり手らしいね。」

仕事はもちろん、社内での人と人をつなげるのが得意らしいと成美ちゃんが言っていた。

まぁ、私もそれでつなげられることになるのだけれど・・・



次の日、宣言どおりに朝イチで連絡があり、週末に食事会がセッティングされた。

お店の場所がよくわからなかったので、母店の前で待ち合わせをして連れて行ってもらった。
谷口さんの課の人が二人、営業まわりが終わってからになるからちょっとだけ遅れてくるというので谷口さんと二人でお店に向かった。
おしゃれなフランス郷土料理のお店でかしこまっているわけでもなく、とってもいい雰囲気のお店だった。

はかったかのように10分ほど遅れてきた谷口さんの部下は二人ともイケメンで私はビックリ(笑)

一人は新井徹さん。一課のエースらしく、さわやかスポーツマン系で私の1期上入社。
もう一人は知的な感じの矢野宏之さん。4つ年上で2期上の落ち着いていて大人な雰囲気だった。

「岡野部長の娘さんですよね、ときどきお見掛けしていて声かけてみようかと思いながらいつも誰かとおしゃべりしていたのでなかなかできなくて。なので今日はめっちゃうれしいんですよー」

新井さんはきさくに話をしてくれた。
矢野さんもおしゃべりというほどではないけれど、やさしい感じで話しやすかった。

食事はとてもおいしく、さすが営業マン3人ということもあり、話題も尽きず、気が付いたらそのお店で2時間くらい食べて飲んでいた。
お店を出たところで、谷口さんは自分がいるとあまり話せないだろうからと三人で次のお店に行くように言って私たち3人をおいて行ってしまった。

新井さんは谷口さんが見えなくなるとそれまでとは違った少し砕けた調子で言った。
「あーあ。谷口さん調子いいこと言っていっちゃった。ごめんね、岡野さん。あの人いつもあんな感じなんだよー。」

「いえ、大丈夫です。」

「おい、新井、どうする?せっかくだし、もう1軒行くか?」

「はい、矢野先輩、行っとかないと絶対休み明けに聞かれますよ。どうしましょう?」

「岡野さん、飲むのと歌うのとどっちがいい?」

矢野さんがさっきまでとずいぶん違うさわやかスマイルで聞いてきた。
イケメンのさわやかスマイルはなかなか破壊力があってくぎ付けになってしまった。

「えっ・・・・えっと。。。どっちでも好きですけど。」

「谷口さんに聞かれて言いやすいのは飲み会かな・・・・矢野先輩は谷口さんの前では絶対に歌わないからカラオケもいいけど、今日は軽く飲みにしとかない?またゆっくり一緒に飲みにいこうよ。谷口さん抜きで。」

「おい、新井、余計なこと言うなよー」

「矢野さんはどうして谷口さんの前では歌わないんですか?」
ふたりのやりとりがおもしろくて聞いてみたくなった。

「じゃー、飲みながら話そう。行くよ!」

新井さんと矢野さんにはさまれて夜の街を少し歩いてこじゃれたBARにはいった。

「いらっしゃい、新井くん、今日はかわいい娘連れなんですね。」

マスターが私をチラリとみて言った。





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