9 / 29
9
しおりを挟む
「もしかして、俺を気遣って食べたのか?」
「まさか、それほどお人好しじゃないよ」
アイスを見ると、半分に減っていた。
じっと見ていると、
「まさか、あんなことをしてくる佐藤が悪い。少しはこっちの気持ちもわかってくれたか?」
と、首を傾げながら言う。
その、拍子に
少し長い髪がサラッと額にかかる。
俺は、興産とばかりに両手を上げて、「悪うございました」
と謝った後、二人で笑った。
その後、何を思ったのか、逆に青木がスプーンにひとすくいアイスをのせると、俺の口ものまで持ってきた。
始めたの俺。
断る理由もなく、遠慮なくそのままパクっと口に入れた。
熱のこもった、口内をアイスがひんやりと冷やしてくれた。
デザートも無事に食べ終わり、会計を済ます。
そして、外にでようと自動ドアをくぐろうとした時、雨音が聞こえてきた。
出口付近が濡れてぴしょぴしょになっているところから、かなりの雨の量が降っていることが推測された。
俺は青木の方を見ると、青木も気づいていたようで、俺を見返してきた。
「雨、降ってるんだ」
「ああ、そうみたいだな」
そんな会話をしながら外へと出るもう一枚の自動ドアが開くと同時に、風とともに大粒の雨が二人を襲った。
慌てて、俺たちは自動ドアから離れ、一旦、中へと戻った。
見下ろすとズボンの裾がすでに濡れていた。
自動ドアが開いただけで、これでは、外にでたら濡れネズミになってしまうことは容易に想像できた。
カウンターの近くにある待合の椅子に座ると、隣に立つ青木に聞いた。
「どうする?走って帰るか?」
「そうだな、明日休みだからそれでもいいよ。冬じゃないから風邪も引かないだろ」
「まあな、でも、佐藤って家に帰るのに電車使うんじゃないのか?」
「そうなんだよね。ここから地下に入るところがあったら濡れないんだろうけど、屋根があるところまで、結構、距離はあるな」
腕を組み、考えるようにいう青木。
「そうだな、地下街が近かったら、よかったな」
と、俺も同意する。
青木はここから家までまだ30分以上はかかるだろう。
俺はと言えば、この会社に入ってから、帰るのが遅く、実家から通うと1時間はかかる。
残業の後に、終電、ギリギリに駆け込んで帰るのが常だった。
それに、体が音を上げ始めたのが2年前。
「まさか、それほどお人好しじゃないよ」
アイスを見ると、半分に減っていた。
じっと見ていると、
「まさか、あんなことをしてくる佐藤が悪い。少しはこっちの気持ちもわかってくれたか?」
と、首を傾げながら言う。
その、拍子に
少し長い髪がサラッと額にかかる。
俺は、興産とばかりに両手を上げて、「悪うございました」
と謝った後、二人で笑った。
その後、何を思ったのか、逆に青木がスプーンにひとすくいアイスをのせると、俺の口ものまで持ってきた。
始めたの俺。
断る理由もなく、遠慮なくそのままパクっと口に入れた。
熱のこもった、口内をアイスがひんやりと冷やしてくれた。
デザートも無事に食べ終わり、会計を済ます。
そして、外にでようと自動ドアをくぐろうとした時、雨音が聞こえてきた。
出口付近が濡れてぴしょぴしょになっているところから、かなりの雨の量が降っていることが推測された。
俺は青木の方を見ると、青木も気づいていたようで、俺を見返してきた。
「雨、降ってるんだ」
「ああ、そうみたいだな」
そんな会話をしながら外へと出るもう一枚の自動ドアが開くと同時に、風とともに大粒の雨が二人を襲った。
慌てて、俺たちは自動ドアから離れ、一旦、中へと戻った。
見下ろすとズボンの裾がすでに濡れていた。
自動ドアが開いただけで、これでは、外にでたら濡れネズミになってしまうことは容易に想像できた。
カウンターの近くにある待合の椅子に座ると、隣に立つ青木に聞いた。
「どうする?走って帰るか?」
「そうだな、明日休みだからそれでもいいよ。冬じゃないから風邪も引かないだろ」
「まあな、でも、佐藤って家に帰るのに電車使うんじゃないのか?」
「そうなんだよね。ここから地下に入るところがあったら濡れないんだろうけど、屋根があるところまで、結構、距離はあるな」
腕を組み、考えるようにいう青木。
「そうだな、地下街が近かったら、よかったな」
と、俺も同意する。
青木はここから家までまだ30分以上はかかるだろう。
俺はと言えば、この会社に入ってから、帰るのが遅く、実家から通うと1時間はかかる。
残業の後に、終電、ギリギリに駆け込んで帰るのが常だった。
それに、体が音を上げ始めたのが2年前。
0
あなたにおすすめの小説
恵方巻を食べてオメガになるはずが、氷の騎士団長様に胃袋を掴まれ溺愛されています
水凪しおん
BL
「俺はベータだ。けれど、クラウス様の隣に立ちたい」
王城の厨房で働く地味な料理人ルエンは、近衛騎士団長のクラウスに叶わぬ恋をしていた。身分も属性も違う自分には、彼との未来などない。そう諦めかけていたある日、ルエンは「伝説の恵方巻を食べればオメガになれる」という噂を耳にする。
一縷の望みをかけ、ルエンは危険な食材探しの旅へ! しかし、なぜかその旅先にはいつもクラウスの姿があって……?
勘違いから始まる、ベータ料理人×氷の騎士団長の胃袋攻略ラブファンタジー!
捨てられた生贄オメガ、魔王城で極上の『巣作り』始めます!~不眠症の魔王様、私のクッションで爆睡して溺愛モードに突入~
水凪しおん
BL
「役立たずのオメガ」として冷遇され、血も涙もない魔王への生贄として捨てられたリノ。
死を覚悟して連れてこられた魔王城は、寒くて硬くて、居住性最悪のブラック環境だった!?
「こんなところで寝られるか!」
極限状態で発動したオメガ特有の『巣作り本能』と、神業レベルの裁縫スキルが火を噴く!
ゴミ同然の布切れをフカフカのクッションに、冷たい石床を極上のラグマットにリフォーム。
すると、不眠症で常にイライラしていた魔王ザルドリスが、リノの作った「巣」のあまりの快適さに陥落してしまい……?
「……貴様、私を堕落させる気か」
(※いいえ、ただ快適に寝たいだけです)
殺されるどころか、魔王様に気に入られ、気付けば城中がリノの虜に。
捨てられた生贄オメガが、裁縫一つで魔王城を「世界一のマイホーム」に変える、ほのぼの逆転溺愛ファンタジー!
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
借金のカタで二十歳上の実業家に嫁いだΩ。鳥かごで一年過ごすだけの契約だったのに、氷の帝王と呼ばれた彼に激しく愛され、唯一無二の番になる
水凪しおん
BL
名家の次男として生まれたΩ(オメガ)の青年、藍沢伊織。彼はある日突然、家の負債の肩代わりとして、二十歳も年上のα(アルファ)である実業家、久遠征四郎の屋敷へと送られる。事実上の政略結婚。しかし伊織を待ち受けていたのは、愛のない契約だった。
「一年間、俺の『鳥』としてこの屋敷で静かに暮らせ。そうすれば君の家族は救おう」
過去に愛する番を亡くし心を凍てつかせた「氷の帝王」こと征四郎。伊織はただ美しい置物として鳥かごの中で生きることを強いられる。しかしその瞳の奥に宿る深い孤独に触れるうち、伊織の心には反発とは違う感情が芽生え始める。
ひたむきな優しさは、氷の心を溶かす陽だまりとなるか。
孤独なαと健気なΩが、偽りの契約から真実の愛を見出すまでの、切なくも美しいシンデレラストーリー。
【完結・BL】胃袋と掴まれただけでなく、心も身体も掴まれそうなんだが!?【弁当屋×サラリーマン】
彩華
BL
俺の名前は水野圭。年は25。
自慢じゃないが、年齢=彼女いない歴。まだ魔法使いになるまでには、余裕がある年。人並の人生を歩んでいるが、これといった楽しみが無い。ただ食べることは好きなので、せめて夕食くらいは……と美味しい弁当を買ったりしているつもりだが!(結局弁当なのかというのは、お愛嬌ということで)
だがそんなある日。いつものスーパーで弁当を買えなかった俺はワンチャンいつもと違う店に寄ってみたが……────。
凄い! 美味そうな弁当が並んでいる!
凄い! 店員もイケメン!
と、実は穴場? な店を見つけたわけで。
(今度からこの店で弁当を買おう)
浮かれていた俺は、夕飯は美味い弁当を食べれてハッピ~! な日々。店員さんにも顔を覚えられ、名前を聞かれ……?
「胃袋掴みたいなぁ」
その一言が、どんな意味があったなんて、俺は知る由もなかった。
******
そんな感じの健全なBLを緩く、短く出来ればいいなと思っています
お気軽にコメント頂けると嬉しいです
■表紙お借りしました
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる