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「川浪さん、なんだか顔色悪くないですか?」
綺麗に弧を描いた目が、隼大を覗き込みながら言う。ますます近くなる顔に後ずさった。
それに気づいた杉山が、ハッと、身を起こした。
「すみません、不躾でした」
杉山は軽く頭を下げたあと、申しわけ無さそうな顔をした。
「いや、気にしないでくれ」
と言いつつ、杉山のような完璧な容姿を前にすると、疲れた顔を見られたくなくて、腕で隠した。
万ねん寝不足だ。きっと、酷い顔をしている。
「気にしますよ」
「え」
きっぱりと意思をもつ声に、腕から彼をのぞき見た。
――なんで、気にするんだ。
顔を隠していた腕を下すと、こちらを見ていた杉山の視線が真っすぐに突き刺さる。その真剣さにごくりと唾を飲んだ。
「ずっと、気になってました」
小学生の頃、運動会で宣誓をした時のような、大きな声にビクリとする。
「な、何をだい?」
「だって、カッコイイじゃないですか」
杉山は、真剣な顔を崩して笑った。
隼大は、恥ずかしげもなく言う杉山の言葉に面喰いもしたけれど、爽やかな人を惹きつける笑みに、しばらく目が離せずにいた。
「君の方が、その言葉は似合うだろ? 俺は、冴えないおじさんさ」
「おじさんって、川浪さんって、まだ20代じゃなかったですか?」
手を口に持ってきて親指で唇を撫でた。その仕草でさえ、目を追ってしまっていることに気づき、何気なさを装い、星空を見上げた。
「来月30だよ。杉山からしたらおじさんだろ?」
「俺の歳を知ってますか?」
「24歳だろ?」
暗がりの中に浮かぶ、幾多もの宝石。煌めく自分をいつ失くしてしまったのか。隣にいる煌めく星のような杉山が眩しい。
歳だけが、人の見た目を決めるわけではいとは分かってはいても、自分よりも若く、容姿端麗な杉山を見ると、つい自分と比べてしまう。
「違いますよ」
「違うのか?」
いや、確かに24歳なはずだ。2年前に入社してきたのだから。
「25歳です」
そう言う杉山をよく見ると、不貞腐れた顔をしている。
「一緒だろ、24も25も」
「25も29も30も一緒です」
「そっか。そうだな」
ふっと笑いが漏れた。
「ですよ」
思わず、頭をくしゃくしゃと掻き回したくなるほどに、無邪気に笑う杉山は、モテ男というより男子高生のようだ。
「川浪さんって、もっとしゃべらない人かと思ってましたけど、たくさん喋ってくれて嬉しいです」
「そんな風に言ってくれて嬉しいよ」
「いや、そんなではないです。ただの……」
そこまで言って口ごもった杉山に、首を傾げた。
「ただの、何だよ?」
「何でもないです。もう、遅いですし、行きましょう、川浪さん」
杉山は歩みを止めていた足を動かし、人通りのない歩道を歩いていく。
その後ろを見つつ、隼大は言いかけていた続きがなんだったのか気になり、ぼんやりと考えていた。
すると、くるっとこちらを振り向きざま、
「もう、行きますよ」
と、催促され
「ああ」
と相槌をうち、小走りで彼の横に並んだ。
綺麗に弧を描いた目が、隼大を覗き込みながら言う。ますます近くなる顔に後ずさった。
それに気づいた杉山が、ハッと、身を起こした。
「すみません、不躾でした」
杉山は軽く頭を下げたあと、申しわけ無さそうな顔をした。
「いや、気にしないでくれ」
と言いつつ、杉山のような完璧な容姿を前にすると、疲れた顔を見られたくなくて、腕で隠した。
万ねん寝不足だ。きっと、酷い顔をしている。
「気にしますよ」
「え」
きっぱりと意思をもつ声に、腕から彼をのぞき見た。
――なんで、気にするんだ。
顔を隠していた腕を下すと、こちらを見ていた杉山の視線が真っすぐに突き刺さる。その真剣さにごくりと唾を飲んだ。
「ずっと、気になってました」
小学生の頃、運動会で宣誓をした時のような、大きな声にビクリとする。
「な、何をだい?」
「だって、カッコイイじゃないですか」
杉山は、真剣な顔を崩して笑った。
隼大は、恥ずかしげもなく言う杉山の言葉に面喰いもしたけれど、爽やかな人を惹きつける笑みに、しばらく目が離せずにいた。
「君の方が、その言葉は似合うだろ? 俺は、冴えないおじさんさ」
「おじさんって、川浪さんって、まだ20代じゃなかったですか?」
手を口に持ってきて親指で唇を撫でた。その仕草でさえ、目を追ってしまっていることに気づき、何気なさを装い、星空を見上げた。
「来月30だよ。杉山からしたらおじさんだろ?」
「俺の歳を知ってますか?」
「24歳だろ?」
暗がりの中に浮かぶ、幾多もの宝石。煌めく自分をいつ失くしてしまったのか。隣にいる煌めく星のような杉山が眩しい。
歳だけが、人の見た目を決めるわけではいとは分かってはいても、自分よりも若く、容姿端麗な杉山を見ると、つい自分と比べてしまう。
「違いますよ」
「違うのか?」
いや、確かに24歳なはずだ。2年前に入社してきたのだから。
「25歳です」
そう言う杉山をよく見ると、不貞腐れた顔をしている。
「一緒だろ、24も25も」
「25も29も30も一緒です」
「そっか。そうだな」
ふっと笑いが漏れた。
「ですよ」
思わず、頭をくしゃくしゃと掻き回したくなるほどに、無邪気に笑う杉山は、モテ男というより男子高生のようだ。
「川浪さんって、もっとしゃべらない人かと思ってましたけど、たくさん喋ってくれて嬉しいです」
「そんな風に言ってくれて嬉しいよ」
「いや、そんなではないです。ただの……」
そこまで言って口ごもった杉山に、首を傾げた。
「ただの、何だよ?」
「何でもないです。もう、遅いですし、行きましょう、川浪さん」
杉山は歩みを止めていた足を動かし、人通りのない歩道を歩いていく。
その後ろを見つつ、隼大は言いかけていた続きがなんだったのか気になり、ぼんやりと考えていた。
すると、くるっとこちらを振り向きざま、
「もう、行きますよ」
と、催促され
「ああ」
と相槌をうち、小走りで彼の横に並んだ。
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