ハラヘリヴィーナス

雅誅

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【39】2006年6月7日 16:07・廊下・晴れ。シカト(レン視点)。

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ホームルームが終わると私は一目散に教室から飛び出して生徒用玄関へと急いだ。

いつもはユアルとアイナに声をかけて3人で向かうのだが今日はそこまでする心の余裕がない。


「レン、置いていかないでくださいよッ」

「つーかユアル、レンから聞いたぞ。時と場合を考えろよ」

私が声をかけなくても2人とも同じ送迎車なのだから勝手についてくるのは分かっている。


「私は別にレンを苦しめるために言ったんじゃなくて朗報を少しでも早くお伝えしたい一心で」

「ウソつけよ・・・。どうせレンの反応見て楽しんでたんだろ??」

「あら、私そんな悪趣味なことはしないわよ?」


2人の会話に入らず、まっすぐに生徒用玄関へ向かっているため2人の表情は見えないがユアルがニヤついているのは声ですぐに分かった。


今はいちいちリアクションするのも癪なので無視して歩く速度を上げる。

「おい、レンのヤツメチャクチャキレてんじゃねーか」

「う~ん、困りましたねぇ」

「誰のせいだよ」


「レンももう今日で3回目ですし、そろそろ慣れてきたかと思ってたんですけど」

「だからウソつくなって」

ユアルは基本的にアイナ以外には敬語なので私に対して喋っているのかもしれないが私は構わず先を急ぐ。それにしても、かなり速度を上げて歩いているのに2人は難なくついてきているらしい。・・・まったくもって呆れる。


生徒用玄関に着き上履きから靴に履き替えるとすぐに校門階段に向かった。その途中私は携帯を取り出して送迎車の護衛用携帯に電話をかけた。


「もしもし?私です。あと数分で校門につきますので準備お願いします」

「レン、機嫌を直してくださいよ~~」


《まだ声が笑ってる。反応なんかしてやるもんか。今日は家までこのままでイイや》


イヤ、こんな反応してもユアルを喜ばすだけなのは分かっている。

ユアル云々(うんぬん)よりも私自身が限界なのでさっさと帰りたいというのが本心でもある。通学組の生徒の間を縫いながら長い校門階段を降りていく。

《急を要するときに、この階段はただただ邪魔すぎる。100段も必要な理由って何なんだろ》


他の通学組生徒もたくさんいるので、一番下まで降りるのに数分かかってしまった。校門を出ると護衛が私を見つけて近寄ってきた。

「お疲れ様です、レンお嬢様」


そう言うといつものように護衛が私のカバンを預かってくれた。

「いつもありがとう」

「これもーー」


アイナが私の後ろから護衛にカバンを投げるように渡した。本来ならココで注意をすべきだが、今日の私はそれどころではない。


私は護衛が開けてくれた扉にアイナよりも先に乗り込むとすぐに座席の肘かけをしまって仰向けで横になった。何度かユアルが話しかけてきたような気もしたが今にも暴発しそうで相手にしてられなかった。



梅雨だと言うのにこちらの神経を逆撫でするような夕日が車内を優しく照らしている。今度からアイマスクでも常備しておこうかと思わせるくらい眩しい。仕方ないので右腕をアイマスク代わりにした。


精神的に疲れてしまった私は座り心地抜群の名前も知らない恐らく高級メーカーであろう椅子にそのまま脱力するように身体ごと沈み込む。走行中の振動が優しく身体を刺激して心地良かったのか私はすぐに眠りに落ちてしまった。

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