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そこはなんとも不気味であった。あれほど荒れていた吹雪は消え、平原に積もる雪は不思議なことに高さが均一され、まるで人工的に作られたかのように少しのズレもなく雪の地平線が横一文字に伸びている。
平然としていた旅人もこれには多少の身の毛がよだった。
だがすぐに冷静さを取り戻し、またあの無表情な顔に戻ってしまった。すると旅人の横に何かが雪に埋もれており、手で雪を払うとそれは峠道を表す木の看板であった。どうやら道を外れて遭難していなかったことがわかったのか旅人はひとまず安心し、均一に積もる雪の上を踏むようにして歩くのであった。
旅人が見つけた木の看板から約数百メートルぐらい進むと白い空間に少し変化が起きた。それは一部分だけ町の景色が白い空間の中から見えるのであります。
一本の通り道とその右側に宿や店などが短く並び、その後ろに民家が星のようにあちらこちらと現れているが灯りはほとんど消えている。
一方左側はレンガ状の小さな駅舎があってその奥に長いプラットホームと人よりも高い信号機、寂しそうな車両基地とその手前に不気味な給水塔と給炭台が置かれ、茶色い線路が駅を貫くように真っ直ぐ伸びている。線路は駅を出ると所々カーブが多く不安定な曲がりをして山のトンネルへ入り消えていくのだった。
宿の婦人が言っていたように吹雪が強い影響かプラットホームには列車が止まっていた。緑色の客車と黒色の蒸気機関車は寒そうに待機している。もう車体はほぼ白色に染められていた。
そんな小さな町の白い景色に旅人は美しく見え、しばらく歩いていたのか少し疲れたのでコートのポケットからタバコを取り出し、マッチで火を付けて吸い、休息しながら白い景色をゆっくりと眺めていたのでした。
タバコの火は辺りの白い雪とは反対に目立って赤く燃えているが、口から吐く煙は灰色からすぐに白色へと化けてしまう。その光景を帽子越しから見た旅人はなんだか虚無な感覚にとらわれそうであった。白い空間は今も静かなままに……。
旅人はタバコを一本吸い終えて小さな缶の灰皿に入れ、もうしばらく町の景色を眺める。
するとまた静寂な白い空間に変化が起きた。町のプラットホームに止まる黒い蒸気機関車が突然煙突から煙を吐き、大きな汽笛を鳴らす。
「ブォーーー!」
それは沈黙を破るように刺す音であった。汽笛は白い大地を波の如く広がり、旅人のいる峠の平原まだ聞こえた。
これを合図に旅人はそろそろ進もうかと考え、タバコと缶の灰皿をポケットにしまい、帽子を深く被り後ろを振り向くと、目の前の白い空間に女が立っていた。
平然としていた旅人もこれには多少の身の毛がよだった。
だがすぐに冷静さを取り戻し、またあの無表情な顔に戻ってしまった。すると旅人の横に何かが雪に埋もれており、手で雪を払うとそれは峠道を表す木の看板であった。どうやら道を外れて遭難していなかったことがわかったのか旅人はひとまず安心し、均一に積もる雪の上を踏むようにして歩くのであった。
旅人が見つけた木の看板から約数百メートルぐらい進むと白い空間に少し変化が起きた。それは一部分だけ町の景色が白い空間の中から見えるのであります。
一本の通り道とその右側に宿や店などが短く並び、その後ろに民家が星のようにあちらこちらと現れているが灯りはほとんど消えている。
一方左側はレンガ状の小さな駅舎があってその奥に長いプラットホームと人よりも高い信号機、寂しそうな車両基地とその手前に不気味な給水塔と給炭台が置かれ、茶色い線路が駅を貫くように真っ直ぐ伸びている。線路は駅を出ると所々カーブが多く不安定な曲がりをして山のトンネルへ入り消えていくのだった。
宿の婦人が言っていたように吹雪が強い影響かプラットホームには列車が止まっていた。緑色の客車と黒色の蒸気機関車は寒そうに待機している。もう車体はほぼ白色に染められていた。
そんな小さな町の白い景色に旅人は美しく見え、しばらく歩いていたのか少し疲れたのでコートのポケットからタバコを取り出し、マッチで火を付けて吸い、休息しながら白い景色をゆっくりと眺めていたのでした。
タバコの火は辺りの白い雪とは反対に目立って赤く燃えているが、口から吐く煙は灰色からすぐに白色へと化けてしまう。その光景を帽子越しから見た旅人はなんだか虚無な感覚にとらわれそうであった。白い空間は今も静かなままに……。
旅人はタバコを一本吸い終えて小さな缶の灰皿に入れ、もうしばらく町の景色を眺める。
するとまた静寂な白い空間に変化が起きた。町のプラットホームに止まる黒い蒸気機関車が突然煙突から煙を吐き、大きな汽笛を鳴らす。
「ブォーーー!」
それは沈黙を破るように刺す音であった。汽笛は白い大地を波の如く広がり、旅人のいる峠の平原まだ聞こえた。
これを合図に旅人はそろそろ進もうかと考え、タバコと缶の灰皿をポケットにしまい、帽子を深く被り後ろを振り向くと、目の前の白い空間に女が立っていた。
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