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軽く食事を終えて旅人はポケットからタバコを一本取り出すと、口に咥えながらまたポケットに手を入れてマッチ箱を取り出し、一本のマッチをマッチ箱の茶色い側薬に擦らせ、それをタバコの先端に火をつけて吸い出した。煙は旅人の周りをさまようが、やがて上へと飛びながらワルツのように舞い散ってゆく。
魔物は退屈そうに喫煙する旅人の姿を見つめ、自分の髪を何度もさすっていた。
やがてタバコの葉が少なくなり、灰皿の口に吸い殻を入れて閉じ、そして数十秒間沈黙をすると急に体を反転させて退屈そうな魔物の前まで歩くと一言声をかける。
「遅くなりました。もう大丈夫です」
「あら、もう終わり?」
「ええ、充分に休めることができました」
「随分と早いわね」
「そうですか?」
「だって、休み始めてから三十分も経っていないもの……」
「それが、何か?」
「あなたね、あの雪山の中を何時間も歩いていたのですよ、普通の人間ならヘトヘトになってしばらくは休むはずだわ—」
「ああ……、普通ならそうだと思いますが、私は特に問題はありませんよ」
そう言う旅人は確かに特に何も変わった様子も無く、いつも通りの平然とした姿であった。
「そうですか……、ならいいですわ」
魔物はそれ以上言うこともなく旅人を見た。
「あの先には何かあるか?」
旅人は右手の人差し指を奥の白い空間に向けて差しながら魔物に話す。
「さあね、教えるつもりはありませんわ」
「そっか。まぁいいや、行こう」
差した指を戻し、右手をコートのポケットに入れてそのまま進行方向へ歩き始めた。
魔物もそれに続くように歩き、二人は白い空間の中へと進んだ。旅人の懐中時計は午後の十一時を表している。
魔物は退屈そうに喫煙する旅人の姿を見つめ、自分の髪を何度もさすっていた。
やがてタバコの葉が少なくなり、灰皿の口に吸い殻を入れて閉じ、そして数十秒間沈黙をすると急に体を反転させて退屈そうな魔物の前まで歩くと一言声をかける。
「遅くなりました。もう大丈夫です」
「あら、もう終わり?」
「ええ、充分に休めることができました」
「随分と早いわね」
「そうですか?」
「だって、休み始めてから三十分も経っていないもの……」
「それが、何か?」
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「ああ……、普通ならそうだと思いますが、私は特に問題はありませんよ」
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「そうですか……、ならいいですわ」
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「さあね、教えるつもりはありませんわ」
「そっか。まぁいいや、行こう」
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