12 / 15
12
しおりを挟む
「なるほど——」
旅人は前を見て歩きながら魔物の話を聞いていた。話している魔物は昔の思い出をとても懐かしく感じ、何か楽しそうに語っているのである。
「要するに恋という訳だ」
「ええ、それが私にとって初めての恋でした」
魔物は旅人に顔を向けてニッコリと笑う。
「あの人は元々城下に住む庶民でありましたが王国の軍隊に入り、それから功績を挙げてナイトの称号を受けたそうです」
「ナイト……、騎士の者か——」
「はい」
「ナイトと姫、まさにロマンチックな話だな」
「あの時を思うと今でも胸がドキドキします。それぐらいとても楽しかった。あの方がお城から戦地に行くまでの三日間はまさに幸せな時間だったの——」
それから姫は出逢った騎士の男のことが気になり出し、城内で会う度に様々な話を交わっていました。男の住む町の話、姫の城内での話、お互いが自分の事を話していくうちに徐々に二人は惹かれ合うのである。
そして三日後の夜の事、二人は外に出て城内の広場に行きました。雪は止んでいたものの広場の地面は積もった雪によって一面が紙のように白くなっていましたが、二人は何も気にせずゆっくりと歩いて周る。すると騎士の男が突然止まりだして横にいる姫に言う。
「踊りませんか?」
その言葉に姫は戸惑いもなくすぐに「はい」と答え、騎士の男の手を握りワルツを踊る。始めはお互いが手を取り合いながらゆっくりと回っていたが、次第に慣れていくうちに騎士の男の片手が姫の脇腹に手を添えて、姫はそれに合わせるように自分の片手を騎士の男の肩に置き、二人の体は段々と近づいていた。外の寒さも鉄の鎧部分が擦る男も忘れ、一面に積もる雪の広場に足跡をつけながらしばらく大きく回って踊り続けるのであった。
やがて踊りが終わると騎士の男は姫の目を見つめがら話した。
「姫様、私は明日の朝に戦地へ旅立ちます」
姫はそれを聞いて悲しそうに騎士の男の目を見る。
「やはり行ってしまうのですね……」
「はい」
「私とても悲しいですわ。だってあなたとこうして一緒に居たいですもの、離れたくない——」
「私もです、姫様」
「行かないでほしい、でないととても辛い——」
姫の目に涙が流れる。踊りを終えても二人は手を離さず、お互いの距離はもうほぼ無いほど体同士が磁石のようにくっついていた。
「本当は姫様とこうして一緒に居たい、ですが私はナイトの身です。この王国と故郷、そして姫様をお守りする為に戦いに行かなくてはなりません」
騎士の男は優しい声で姫に伝えた。
「そうですよね……」
姫の目は騎士の男の顔から目線を下げて俯く。すると騎士の男が「姫様」と呼びかけ、姫の顔が上がるとこう言った。
「もしこの戦争が終わり、生きて帰ってこれたら私と一緒になってくれませんか。私は姫様、いえあなたを愛しています。例え身分が違くても、王様の逆鱗に触れようとしても、あなたのそばにずっと永遠にいたい——」
騎士の男は姫に求婚と愛を告白したのである。彼の言葉にはこの先の戦と命をも覚悟を決めて永遠の愛と幸福を誓う強い気持ちの言葉でありました。それを聞いた姫は騎士の男の顔をもう一度見ると、それは騎士道の精神を貫き、容姿を整え冷静な美しい王子様のような姿に見えていたのです。
姫はまた涙を流し、顔を赤くして笑みを浮かべると「はい」、と喜んだ。同時に騎士の男も笑顔になると二人は抱き合い、口づけを交わした。その後に姫は小さく騎士の男に囁く。
「あなたの名前、教えて」
騎士の男は答えた。
「オリン」
「素敵な名ね」
そして二人は長い接吻をした。——
旅人は前を見て歩きながら魔物の話を聞いていた。話している魔物は昔の思い出をとても懐かしく感じ、何か楽しそうに語っているのである。
「要するに恋という訳だ」
「ええ、それが私にとって初めての恋でした」
魔物は旅人に顔を向けてニッコリと笑う。
「あの人は元々城下に住む庶民でありましたが王国の軍隊に入り、それから功績を挙げてナイトの称号を受けたそうです」
「ナイト……、騎士の者か——」
「はい」
「ナイトと姫、まさにロマンチックな話だな」
「あの時を思うと今でも胸がドキドキします。それぐらいとても楽しかった。あの方がお城から戦地に行くまでの三日間はまさに幸せな時間だったの——」
それから姫は出逢った騎士の男のことが気になり出し、城内で会う度に様々な話を交わっていました。男の住む町の話、姫の城内での話、お互いが自分の事を話していくうちに徐々に二人は惹かれ合うのである。
そして三日後の夜の事、二人は外に出て城内の広場に行きました。雪は止んでいたものの広場の地面は積もった雪によって一面が紙のように白くなっていましたが、二人は何も気にせずゆっくりと歩いて周る。すると騎士の男が突然止まりだして横にいる姫に言う。
「踊りませんか?」
その言葉に姫は戸惑いもなくすぐに「はい」と答え、騎士の男の手を握りワルツを踊る。始めはお互いが手を取り合いながらゆっくりと回っていたが、次第に慣れていくうちに騎士の男の片手が姫の脇腹に手を添えて、姫はそれに合わせるように自分の片手を騎士の男の肩に置き、二人の体は段々と近づいていた。外の寒さも鉄の鎧部分が擦る男も忘れ、一面に積もる雪の広場に足跡をつけながらしばらく大きく回って踊り続けるのであった。
やがて踊りが終わると騎士の男は姫の目を見つめがら話した。
「姫様、私は明日の朝に戦地へ旅立ちます」
姫はそれを聞いて悲しそうに騎士の男の目を見る。
「やはり行ってしまうのですね……」
「はい」
「私とても悲しいですわ。だってあなたとこうして一緒に居たいですもの、離れたくない——」
「私もです、姫様」
「行かないでほしい、でないととても辛い——」
姫の目に涙が流れる。踊りを終えても二人は手を離さず、お互いの距離はもうほぼ無いほど体同士が磁石のようにくっついていた。
「本当は姫様とこうして一緒に居たい、ですが私はナイトの身です。この王国と故郷、そして姫様をお守りする為に戦いに行かなくてはなりません」
騎士の男は優しい声で姫に伝えた。
「そうですよね……」
姫の目は騎士の男の顔から目線を下げて俯く。すると騎士の男が「姫様」と呼びかけ、姫の顔が上がるとこう言った。
「もしこの戦争が終わり、生きて帰ってこれたら私と一緒になってくれませんか。私は姫様、いえあなたを愛しています。例え身分が違くても、王様の逆鱗に触れようとしても、あなたのそばにずっと永遠にいたい——」
騎士の男は姫に求婚と愛を告白したのである。彼の言葉にはこの先の戦と命をも覚悟を決めて永遠の愛と幸福を誓う強い気持ちの言葉でありました。それを聞いた姫は騎士の男の顔をもう一度見ると、それは騎士道の精神を貫き、容姿を整え冷静な美しい王子様のような姿に見えていたのです。
姫はまた涙を流し、顔を赤くして笑みを浮かべると「はい」、と喜んだ。同時に騎士の男も笑顔になると二人は抱き合い、口づけを交わした。その後に姫は小さく騎士の男に囁く。
「あなたの名前、教えて」
騎士の男は答えた。
「オリン」
「素敵な名ね」
そして二人は長い接吻をした。——
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
甲斐ノ副将、八幡原ニテ散……ラズ
朽縄咲良
歴史・時代
【第8回歴史時代小説大賞奨励賞受賞作品】
戦国の雄武田信玄の次弟にして、“稀代の副将”として、同時代の戦国武将たちはもちろん、後代の歴史家の間でも評価の高い武将、武田典厩信繁。
永禄四年、武田信玄と強敵上杉輝虎とが雌雄を決する“第四次川中島合戦”に於いて討ち死にするはずだった彼は、家臣の必死の奮闘により、その命を拾う。
信繁の生存によって、甲斐武田家と日本が辿るべき歴史の流れは徐々にずれてゆく――。
この作品は、武田信繁というひとりの武将の生存によって、史実とは異なっていく戦国時代を書いた、大河if戦記である。
*ノベルアッププラス・小説家になろうにも、同内容の作品を掲載しております(一部差異あり)。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる