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今から二百年か三百年も前の昔、雪の国は今も同じように毎日毎日寒い雪が空から降る頃、一人の王様がこの雪の国を統治することになった。
王様は今ある小さい町とは反対に峠を北へ越えた先に西洋風の大きな城を建てて住み、周囲に民家やお店が集まって一つの新しい町が出来たのです。その後、王様と妃との間に女の子の赤ん坊が生まれて王国とお城では幸せな暮らしをしていました。特に姫である王様の娘は成長するごとに美しくなり、白い肌は雪のように綺麗に輝いていた上、とても明るく笑う性格をした素敵な女の子でありました。
ところが姫が十六歳へとなった時、平穏で幸せな暮らしに雲行きが見えるようになるのであった。それは雪の国を支配する王様が隣の国と戦争することになり、お城には毎日鉄の甲冑を着た兵士が大勢集まっては戦地へ向かっていく光景が続いた。
そんなある日、姫は退屈そうに場内を歩いていると窓を眺める一人の男がいた。男は全身に鉄の甲冑を身につけていたが、顔は若く十八歳ぐらいの白い肌であった。そんな姿を見た姫は気になりだし、男の方へ歩くのでした。
姫は男の前まで来たが男はそれに気づいておらず、ずっと窓を見つめている。
「あのー……」
そう声を出すと男は窓からこちらの方を見て姫がいることに気づき、慌てるように急いで背筋を立てるのである。
「こ、これは姫様! 失礼な姿を見せ申し訳ありません!」
カチャカチャと鉄の鎧部分がぶつかるように鳴りながら慌て出す男の行動に姫はおかしく見えて笑い出す。
「フフフフフ——、あなたってとても面白い方ですわ」
姫の笑う姿に男は何も分からず背を伸ばしたままキョトンとしていた。
「はあ……」
姫は少し笑いながらさっきの男の行動について聞き出し始めた。
「今、何をなされたのですか?」
「あ、はい、窓の外を眺めていたのです」
「窓?」
「ええ、ここからだと町が全部見えるのです」
男は身に付けた鉄の手甲から窓へ指を指し、姫はそれに合わせて窓を見ると外は小さくなった民家や店が密集し、建物の中で照らす灯りは旅人の言う無数の星のようであり、周りの山々などは色一つもない白さへ覆われている雪景色がはっきりと写されていた。
「この景色を……ですか?」
「はい」
「何かあるのですか?」
「特にそういう訳でもありません」
「ではどうして……?」
「美しいと思ったからです」
「美しい? 私にとってはいつも見える城下の光景ですが……」
姫がそう言うと男は少し小さく笑った。
「確かに姫様にとってはよく見る普通の光景ですね。ですが私にとってはこの城から見る光景が初めてでもありますし、自分の故郷がこんなにも綺麗に写っていたことが何か神秘的にそう感じたのです——」
そう言い男は再び窓の外を眺めた。その姿が姫にとって心の綺麗な青年にに見え、退屈だった日常が急に開けて楽しく感じ、姫の心の中は新しい新鮮な気持ちになっていたのでありました。——
王様は今ある小さい町とは反対に峠を北へ越えた先に西洋風の大きな城を建てて住み、周囲に民家やお店が集まって一つの新しい町が出来たのです。その後、王様と妃との間に女の子の赤ん坊が生まれて王国とお城では幸せな暮らしをしていました。特に姫である王様の娘は成長するごとに美しくなり、白い肌は雪のように綺麗に輝いていた上、とても明るく笑う性格をした素敵な女の子でありました。
ところが姫が十六歳へとなった時、平穏で幸せな暮らしに雲行きが見えるようになるのであった。それは雪の国を支配する王様が隣の国と戦争することになり、お城には毎日鉄の甲冑を着た兵士が大勢集まっては戦地へ向かっていく光景が続いた。
そんなある日、姫は退屈そうに場内を歩いていると窓を眺める一人の男がいた。男は全身に鉄の甲冑を身につけていたが、顔は若く十八歳ぐらいの白い肌であった。そんな姿を見た姫は気になりだし、男の方へ歩くのでした。
姫は男の前まで来たが男はそれに気づいておらず、ずっと窓を見つめている。
「あのー……」
そう声を出すと男は窓からこちらの方を見て姫がいることに気づき、慌てるように急いで背筋を立てるのである。
「こ、これは姫様! 失礼な姿を見せ申し訳ありません!」
カチャカチャと鉄の鎧部分がぶつかるように鳴りながら慌て出す男の行動に姫はおかしく見えて笑い出す。
「フフフフフ——、あなたってとても面白い方ですわ」
姫の笑う姿に男は何も分からず背を伸ばしたままキョトンとしていた。
「はあ……」
姫は少し笑いながらさっきの男の行動について聞き出し始めた。
「今、何をなされたのですか?」
「あ、はい、窓の外を眺めていたのです」
「窓?」
「ええ、ここからだと町が全部見えるのです」
男は身に付けた鉄の手甲から窓へ指を指し、姫はそれに合わせて窓を見ると外は小さくなった民家や店が密集し、建物の中で照らす灯りは旅人の言う無数の星のようであり、周りの山々などは色一つもない白さへ覆われている雪景色がはっきりと写されていた。
「この景色を……ですか?」
「はい」
「何かあるのですか?」
「特にそういう訳でもありません」
「ではどうして……?」
「美しいと思ったからです」
「美しい? 私にとってはいつも見える城下の光景ですが……」
姫がそう言うと男は少し小さく笑った。
「確かに姫様にとってはよく見る普通の光景ですね。ですが私にとってはこの城から見る光景が初めてでもありますし、自分の故郷がこんなにも綺麗に写っていたことが何か神秘的にそう感じたのです——」
そう言い男は再び窓の外を眺めた。その姿が姫にとって心の綺麗な青年にに見え、退屈だった日常が急に開けて楽しく感じ、姫の心の中は新しい新鮮な気持ちになっていたのでありました。——
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