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道は再び坂へとなりだし、足を滑らせないように積もる雪を踏み台みたいにして力を入れながら飛び出すように歩いてゆく。旅人はそうした動きをするなか、魔物の方は足を滑るようにして進み、その様子を横から見つめるのであります。
「君は家族がいなくなってどう感じた?」
「うーん、なんとも言えない気持ちです——」
魔物は旅人の顔を見る。
「それはどうして?」
「わかりません」
「悲しくはないのかい?」
「確かに母が亡くなった時は悲しかったです。けど王様が死んだという知らせを聞いた時、何も感じませんでした——」
旅人は前を向く。
「それは愛する人を殺したからかい?」
「それもあります。でも何故かあの時は怒りとか悲しみというような感情が不思議にも出てきませんでした。——慣れた、というのもおかしいけど何も出てこなかったのです。——」
「そっか……」
旅人は帽子を整えるように深く被ってそのまま坂を上り続けた。吹雪が強くなったからかそれ以降、二人の会話は止まってしまったのである。それからしばらくすると強くなっていた吹雪が少しずつ弱くなりだしてゆき、前の視界が徐々に見えるようになり、そして吹雪が止むと同時に上り続けていた坂道が終わって前の視界がハッキリと見えだした。
そこはさっきと同じ白い空間ではあるのだが、真ん中に一つだけ縦に長く伸びた灰色の石塔が置かれていたのである。
するとついてきた魔物が旅人に言う。
「ここが峠の頂上です」
そう、旅人はついに峠を越えたのである。ポケットの中の懐中時計は午前二時三十分を表しており、峠の入口の坂を歩いてから約八時間もかけて到着したのであった。
旅人は辺りを左右に見ながら石塔の前まで歩いて確認すると確かにそれを表す文字が彫られており、「そっか——」と小さく吐くように独り言を放つ。
すると魔物は旅人の前へ来て言う。
「ここで私は死にました」
魔物の目に一粒の涙が落ちる。その涙は積もる雪の中へと吸い込まれてゆく。
「君は家族がいなくなってどう感じた?」
「うーん、なんとも言えない気持ちです——」
魔物は旅人の顔を見る。
「それはどうして?」
「わかりません」
「悲しくはないのかい?」
「確かに母が亡くなった時は悲しかったです。けど王様が死んだという知らせを聞いた時、何も感じませんでした——」
旅人は前を向く。
「それは愛する人を殺したからかい?」
「それもあります。でも何故かあの時は怒りとか悲しみというような感情が不思議にも出てきませんでした。——慣れた、というのもおかしいけど何も出てこなかったのです。——」
「そっか……」
旅人は帽子を整えるように深く被ってそのまま坂を上り続けた。吹雪が強くなったからかそれ以降、二人の会話は止まってしまったのである。それからしばらくすると強くなっていた吹雪が少しずつ弱くなりだしてゆき、前の視界が徐々に見えるようになり、そして吹雪が止むと同時に上り続けていた坂道が終わって前の視界がハッキリと見えだした。
そこはさっきと同じ白い空間ではあるのだが、真ん中に一つだけ縦に長く伸びた灰色の石塔が置かれていたのである。
するとついてきた魔物が旅人に言う。
「ここが峠の頂上です」
そう、旅人はついに峠を越えたのである。ポケットの中の懐中時計は午前二時三十分を表しており、峠の入口の坂を歩いてから約八時間もかけて到着したのであった。
旅人は辺りを左右に見ながら石塔の前まで歩いて確認すると確かにそれを表す文字が彫られており、「そっか——」と小さく吐くように独り言を放つ。
すると魔物は旅人の前へ来て言う。
「ここで私は死にました」
魔物の目に一粒の涙が落ちる。その涙は積もる雪の中へと吸い込まれてゆく。
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