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暇つぶし
日差し②
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生温かい粘液を纏った無数の小型ナメクジが押し寄せ、
その上から巨大な重みまでもが、麗華を大地に押し付けていく。
その感触は、冷静さを奪うほどにじわじわと理性を侵食し、
全裸で両脚を大きく広げたままという、屈辱すら霞ませていった。
――いや……だめ……恥ずかしい…はず…なのに……。
麗華の身体は地面に直接ではなく、お湯が入った水風船の上にいて、
それがローションを纏って、必死に生きようとして震えている。
その全身に駆け巡る振動の中で、麗華の羞恥と恐怖は溶け合い、
ただ甘やかな快楽の色に、心を染め上げられていった。
「やっ…もうヤメて…お願い…ごめん……あっ…そこ…入っちゃ……」
かすれる心の声とともに、視界は狭まり、心が快楽に流されて、
押し寄せる波に全てが呑まれる寸前。
――もう、だめ…でも…もっと……でも、もうすこし…。お願い…強く。
境内を黄金色に染め上げる光が差し込み、
その朝日は、夜の支配を終わらせる残酷な光の波。
(どうして……あと少し……もうちょっと、ちょっと待って……!)
麗華を押さえつけている巨大ナメクジが重さをなくし、
そして無数の小さなナメクジも、ユックリと消えていく。
もちろん陽光が境内を満たすにつれて、
その柔らかく心地いい温もりが溶けて、それが霧のように消えていく。
「ちょっと…待って……お願いだから…あと少しだけでいいのにぃい!」
必死に掴んでも、その手の中から零れ落ち、
夢のように儚く崩れ、けれど確かに存在した痕跡だけを残し…
取り残された麗華は、虚ろな顔のまま、
どこか残念そうに、壊れた笑みを浮かべていた。
(はぁ……リベンジ失敗。しかも寸止め……。私、何を考えていたの?)
しかし、全身にまとわりつく粘液は消えない。
夢ではなく、現実だった証をいやでも突きつけてくる。
――あぁもう、また洗ったばかりなのに……。
――ほんっと、エロナメクジ! 毎回毎回、寸止めって!
さっきまで命を脅かされていたはずなのに、
気づけば自分の裸を見下ろしてしまい、別の不安に唇を噛んでいた。
背中を押さえつけられた重みと、肌を這う感触。
そして――抗うことなく、あきらめて流されかけた自分の気持ち。
(私……あの時、欲しいって……思っていた……? このまま…)
胸の奥から滲むのは、苛立ちと焦燥感…そして、もう一度という…
「このままじゃダメ」とわかっているのに、
身体の奥に残る火照りと現実が、それを打ち消していく。
「あ~あ、終わっちゃった……」
乾き始めた粘液が膜のように張り付いているが、
粘った違和感も、まだ全身に沢山残っていた。
そんな姿の麗華が周囲を見渡しても、そこにいるのは誰もいない境内で、
朝日にさらされている粘液まみれの痴女が一人だけ。
(……ここなら隠れて…自分で…いや、だめ。明るいし……誰か来たら…)
散歩の老人、地元の若者。境内で遊ぶ子供。
そんな人は居ないが、この姿のまま慰めている姿を見られてしまえば、
色々と人として終わってしまうと我慢していた。
(全裸で何かの粘液まみれ……神社に一人でオナっている姿なんて……)
「はぁ……でも、鍵……荷物……どこだっけ?」
誰にも見つからないで、急いで旅館に戻らなければならない。
「ないなぁ……やっぱり全部、溶けちゃった……?」
既に日が昇りきった境内で、麗華は一人で荷物を探し回る。
――その光景でさえ見られたら、説明できるわけがない。
「巨大ナメクジに襲われて全裸なんです」なんて言えるはずもない。
誰かに拾われて、後で「これ、神社に落ちていましたよ」と渡されても、
ここにいた理由など説明できない。
(何をしに? 巨大生物? なぜ落としたの? ……無理よそんなの)
衝撃の連続で記憶は曖昧だが、
最初に持っていた荷物のことを、いまでも思い出せない。
麗華は乾き始めて気持ち悪い粘液を纏ったまま、今も荷物を探し続けた。
日差し②
その上から巨大な重みまでもが、麗華を大地に押し付けていく。
その感触は、冷静さを奪うほどにじわじわと理性を侵食し、
全裸で両脚を大きく広げたままという、屈辱すら霞ませていった。
――いや……だめ……恥ずかしい…はず…なのに……。
麗華の身体は地面に直接ではなく、お湯が入った水風船の上にいて、
それがローションを纏って、必死に生きようとして震えている。
その全身に駆け巡る振動の中で、麗華の羞恥と恐怖は溶け合い、
ただ甘やかな快楽の色に、心を染め上げられていった。
「やっ…もうヤメて…お願い…ごめん……あっ…そこ…入っちゃ……」
かすれる心の声とともに、視界は狭まり、心が快楽に流されて、
押し寄せる波に全てが呑まれる寸前。
――もう、だめ…でも…もっと……でも、もうすこし…。お願い…強く。
境内を黄金色に染め上げる光が差し込み、
その朝日は、夜の支配を終わらせる残酷な光の波。
(どうして……あと少し……もうちょっと、ちょっと待って……!)
麗華を押さえつけている巨大ナメクジが重さをなくし、
そして無数の小さなナメクジも、ユックリと消えていく。
もちろん陽光が境内を満たすにつれて、
その柔らかく心地いい温もりが溶けて、それが霧のように消えていく。
「ちょっと…待って……お願いだから…あと少しだけでいいのにぃい!」
必死に掴んでも、その手の中から零れ落ち、
夢のように儚く崩れ、けれど確かに存在した痕跡だけを残し…
取り残された麗華は、虚ろな顔のまま、
どこか残念そうに、壊れた笑みを浮かべていた。
(はぁ……リベンジ失敗。しかも寸止め……。私、何を考えていたの?)
しかし、全身にまとわりつく粘液は消えない。
夢ではなく、現実だった証をいやでも突きつけてくる。
――あぁもう、また洗ったばかりなのに……。
――ほんっと、エロナメクジ! 毎回毎回、寸止めって!
さっきまで命を脅かされていたはずなのに、
気づけば自分の裸を見下ろしてしまい、別の不安に唇を噛んでいた。
背中を押さえつけられた重みと、肌を這う感触。
そして――抗うことなく、あきらめて流されかけた自分の気持ち。
(私……あの時、欲しいって……思っていた……? このまま…)
胸の奥から滲むのは、苛立ちと焦燥感…そして、もう一度という…
「このままじゃダメ」とわかっているのに、
身体の奥に残る火照りと現実が、それを打ち消していく。
「あ~あ、終わっちゃった……」
乾き始めた粘液が膜のように張り付いているが、
粘った違和感も、まだ全身に沢山残っていた。
そんな姿の麗華が周囲を見渡しても、そこにいるのは誰もいない境内で、
朝日にさらされている粘液まみれの痴女が一人だけ。
(……ここなら隠れて…自分で…いや、だめ。明るいし……誰か来たら…)
散歩の老人、地元の若者。境内で遊ぶ子供。
そんな人は居ないが、この姿のまま慰めている姿を見られてしまえば、
色々と人として終わってしまうと我慢していた。
(全裸で何かの粘液まみれ……神社に一人でオナっている姿なんて……)
「はぁ……でも、鍵……荷物……どこだっけ?」
誰にも見つからないで、急いで旅館に戻らなければならない。
「ないなぁ……やっぱり全部、溶けちゃった……?」
既に日が昇りきった境内で、麗華は一人で荷物を探し回る。
――その光景でさえ見られたら、説明できるわけがない。
「巨大ナメクジに襲われて全裸なんです」なんて言えるはずもない。
誰かに拾われて、後で「これ、神社に落ちていましたよ」と渡されても、
ここにいた理由など説明できない。
(何をしに? 巨大生物? なぜ落としたの? ……無理よそんなの)
衝撃の連続で記憶は曖昧だが、
最初に持っていた荷物のことを、いまでも思い出せない。
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