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暇つぶし
組織①
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店の奥へ向かうと、麗華は人の良さそうな男の声で挨拶をされる。
「れいちゃん。お帰り」
しかし、周りに見えるのは明らかにSFと言ってしまいそうな場所で、
麗華では、彼等が何をしているかわからないし、
どこを見ていいのかもわからない。
そんな場所で話しかけてきたのは、
明らかに太り過ぎで、脂ぎった顔が気持ち悪い独得な臭いをさせた男。
「こんにちは。山本さん」
「いつも表情が硬いな~…れいちゃんが相手なら、
りゅうくんでも。りゅうじ。やまちゃんでも、いいってぇえ」
「今回は、山本さんに、お手数をおかけして、大変申し訳、御座いません」
子供用の浴衣を着た背の高く妖艶な女が、丁寧に頭を下げていく。
(サイアク…まさか、山本を、あえて寄越すなんて…はぁ~、いやっ!)
麗華が山本に嫌悪感を抱いているのを知っていて、
クロが選んでいると気付いているが、それでも組織上では上司なので、
彼女では何も言えない。
夜光機構の中でも、一番関わりたくない男――
太りすぎた体に気持ち悪い汗を流し、いつものように薄ら笑いを浮かべ、
上司の権力を笠に着る卑しいクズデブの変態中年。
その目は舐めるように、麗華の身体を下から上へと往復する。
いつもなら、すぐに検査だと言って服や下着を脱がせ、
山本が嬉しそうに自分の身体を味わっているのだが、
今回は“異形の粘液に犯された”と知っているのか、手を出してこない。
(本当にクズよね。別にコイツに触られたって、何も感じないけどさ…)
「大丈夫だよ…れいちゃんがいるなら、僕は、何処にだっていくよ」
「すみません。山本さん。ありがとうございます。」
「全て聞いているよぉお。ちょっと、異形に犯されたんだっけぇえ?」
「いや…」
(大声で叫ぶ必要ってある? 周りに聞かせる理由って何よ!)
麗華でもさすがに怒鳴るのを抑えたが、表情に出てしまったらしく、
「ああ、悪かったな。舐め回されたんだっけな…サアァ、さっさと脱げ!」
山本のいい上司という仮面を取り去るほどには、
麗華の態度は、彼を不快にさせたらしい。
(そうでしょうよ…あんたは、そういうヤツだもんね~)
山本は、さっきまでの労うような態度に気持ち悪い笑みまでもが消え、
何処か汚れた物を見るような、軽蔑するような態度で麗華を見てくる。
麗華は彼の本性を見た気がして、一段と嫌悪感が全身を駆け巡る。
もちろん、上司の命令なので断る事は出来ないし、
この全てを見て、クロが嬉しそうに笑っている気さえした。
仕方なく、いや堂々と、帯を解き、浴衣を肩から滑らせて落とす。
「んっ………そこだ! さっさとはいれ」「ハイ!」
(本当にお子様よね~。そんなに焦った顔をして、ほんっとおに面白いわ)
山本は、麗華の裸など見慣れているし、上司として身体の関係さえある。
もちろん部下の彼女は、彼が求めれば断る事など出来ない。
それなのに山本は、彼女の全裸を見た途端に目を見開いていた。
麗華の身体に産毛などないし、シミやくすみさえも消えて、
180cmの女という圧倒的な身体が周りを威圧し、
巨大で美しい瓜核型の乳房が、持ち上がって主張している。
上向いたお尻は胸から見れば小さく感じるが、
有名なスポーツ選手と言われても納得してしまう程に引き締まり、
くびれたウエストがセットになって美しく麗華を着飾っていた。
しかも麗華は高身長なのもあって、長い脚が女豹のような魅力を高め、
彼女の冷たく見える目も、相手を食い殺すような女には似合っていた。
(そんなに抱きたいの? あはは、そう? あの粗チンでさ…)
そんな彼の姿を見て多少気が晴れた麗華は、
全面ガラス張りの狭く立って入る日焼けマシーンのような、
小さな個室に向かっていく。
その部屋の扉を開けて中に入った途端、
麗華の身体は、サウナのような熱気と白々しい照明に包まれた。
最初からわかっていたが、スモークやカーテンなども無く、
どこからでも覗ける作りが、意図的な羞恥心と興奮を演出してくる。
(はいはい…汚いですから…そうですよね…洗浄でしょ!)
何度も入ったことのある麗華の身体は気付いていたが、
入った瞬間に、息も止まりそうに冷たいシャワーが頭上から降り注いだ。
シャワーの水流が頭から肌を打ち、背筋が震える。
さらに壁や足元から伸びたノズルが生き物のように動き、
隠れた場所まで潜り込んで、容赦なく洗おうとしてくる。
「脚だ!ちゃんと広げろ!何か、奥に残っていたら、どうするんだ!」
「ちゃんと洗ったわよ!そんなに心配?ちっさいくせに!」
苛立ちを込めた声も、男には鼻で笑われるだけだった。
「ユルイ女がよく言う言葉だな。さっさと自分でも広げろ!終わらんぞ!」
さっき脱いだ子供用の浴衣は、密閉容器にいれられ、
白衣の助手が無言でそれを回収し、部屋の奥へと消えていった。
「浴衣は旅館の備品よ。ちょっと返して!」
「異形の何かに、汚染されたかわからないからな。全て処置しておく」
「はぁ~……汚染、ね…そう…汚染って…」
組織①
「れいちゃん。お帰り」
しかし、周りに見えるのは明らかにSFと言ってしまいそうな場所で、
麗華では、彼等が何をしているかわからないし、
どこを見ていいのかもわからない。
そんな場所で話しかけてきたのは、
明らかに太り過ぎで、脂ぎった顔が気持ち悪い独得な臭いをさせた男。
「こんにちは。山本さん」
「いつも表情が硬いな~…れいちゃんが相手なら、
りゅうくんでも。りゅうじ。やまちゃんでも、いいってぇえ」
「今回は、山本さんに、お手数をおかけして、大変申し訳、御座いません」
子供用の浴衣を着た背の高く妖艶な女が、丁寧に頭を下げていく。
(サイアク…まさか、山本を、あえて寄越すなんて…はぁ~、いやっ!)
麗華が山本に嫌悪感を抱いているのを知っていて、
クロが選んでいると気付いているが、それでも組織上では上司なので、
彼女では何も言えない。
夜光機構の中でも、一番関わりたくない男――
太りすぎた体に気持ち悪い汗を流し、いつものように薄ら笑いを浮かべ、
上司の権力を笠に着る卑しいクズデブの変態中年。
その目は舐めるように、麗華の身体を下から上へと往復する。
いつもなら、すぐに検査だと言って服や下着を脱がせ、
山本が嬉しそうに自分の身体を味わっているのだが、
今回は“異形の粘液に犯された”と知っているのか、手を出してこない。
(本当にクズよね。別にコイツに触られたって、何も感じないけどさ…)
「大丈夫だよ…れいちゃんがいるなら、僕は、何処にだっていくよ」
「すみません。山本さん。ありがとうございます。」
「全て聞いているよぉお。ちょっと、異形に犯されたんだっけぇえ?」
「いや…」
(大声で叫ぶ必要ってある? 周りに聞かせる理由って何よ!)
麗華でもさすがに怒鳴るのを抑えたが、表情に出てしまったらしく、
「ああ、悪かったな。舐め回されたんだっけな…サアァ、さっさと脱げ!」
山本のいい上司という仮面を取り去るほどには、
麗華の態度は、彼を不快にさせたらしい。
(そうでしょうよ…あんたは、そういうヤツだもんね~)
山本は、さっきまでの労うような態度に気持ち悪い笑みまでもが消え、
何処か汚れた物を見るような、軽蔑するような態度で麗華を見てくる。
麗華は彼の本性を見た気がして、一段と嫌悪感が全身を駆け巡る。
もちろん、上司の命令なので断る事は出来ないし、
この全てを見て、クロが嬉しそうに笑っている気さえした。
仕方なく、いや堂々と、帯を解き、浴衣を肩から滑らせて落とす。
「んっ………そこだ! さっさとはいれ」「ハイ!」
(本当にお子様よね~。そんなに焦った顔をして、ほんっとおに面白いわ)
山本は、麗華の裸など見慣れているし、上司として身体の関係さえある。
もちろん部下の彼女は、彼が求めれば断る事など出来ない。
それなのに山本は、彼女の全裸を見た途端に目を見開いていた。
麗華の身体に産毛などないし、シミやくすみさえも消えて、
180cmの女という圧倒的な身体が周りを威圧し、
巨大で美しい瓜核型の乳房が、持ち上がって主張している。
上向いたお尻は胸から見れば小さく感じるが、
有名なスポーツ選手と言われても納得してしまう程に引き締まり、
くびれたウエストがセットになって美しく麗華を着飾っていた。
しかも麗華は高身長なのもあって、長い脚が女豹のような魅力を高め、
彼女の冷たく見える目も、相手を食い殺すような女には似合っていた。
(そんなに抱きたいの? あはは、そう? あの粗チンでさ…)
そんな彼の姿を見て多少気が晴れた麗華は、
全面ガラス張りの狭く立って入る日焼けマシーンのような、
小さな個室に向かっていく。
その部屋の扉を開けて中に入った途端、
麗華の身体は、サウナのような熱気と白々しい照明に包まれた。
最初からわかっていたが、スモークやカーテンなども無く、
どこからでも覗ける作りが、意図的な羞恥心と興奮を演出してくる。
(はいはい…汚いですから…そうですよね…洗浄でしょ!)
何度も入ったことのある麗華の身体は気付いていたが、
入った瞬間に、息も止まりそうに冷たいシャワーが頭上から降り注いだ。
シャワーの水流が頭から肌を打ち、背筋が震える。
さらに壁や足元から伸びたノズルが生き物のように動き、
隠れた場所まで潜り込んで、容赦なく洗おうとしてくる。
「脚だ!ちゃんと広げろ!何か、奥に残っていたら、どうするんだ!」
「ちゃんと洗ったわよ!そんなに心配?ちっさいくせに!」
苛立ちを込めた声も、男には鼻で笑われるだけだった。
「ユルイ女がよく言う言葉だな。さっさと自分でも広げろ!終わらんぞ!」
さっき脱いだ子供用の浴衣は、密閉容器にいれられ、
白衣の助手が無言でそれを回収し、部屋の奥へと消えていった。
「浴衣は旅館の備品よ。ちょっと返して!」
「異形の何かに、汚染されたかわからないからな。全て処置しておく」
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