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暇つぶし
恐怖
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さっきまで端末を見ていた男が、麗華の美しい肌を目にした途端、
なぜか口元をいやらしく吊り上げた。
「そうだ。よく聞けよ麗華……粘液が肌以外に、子宮からも回収できたぞ。
もちろん、“いつもの”も…だなぁあ。アハハハ。アレもだってよ」
麗華は、そんな小馬鹿にしたような態度をする彼を、
睨むこともなく、個室が丸見えになったあとにも肌を隠そうとせずに、
ただ大人しく聞いていく。
「そんなに睨むなよれいかちゃん。お前って色々と節操が無いんだな。
そんなに寂しいのか?それとも……もしかして、
何でも穴に入れたらいいとでも思っているんじゃないのか?ギャハハハ」
山本の言葉が耳に入った瞬間、麗華の背筋がぞくりと震えた。
――子宮に粘液が…! 私が押し付けたせい?…いや、やっぱりそうだ。
普通に考えれば、あのナメクジは子宮に卵を植え付けようとしていた。
もしそれが本当なら、自分から割れ目を押しつけなくても、
ナメクジが受精卵を、子宮に植え付けようとしてきたはず。
――ナメクジは、暗くジメジメした。温かい落ち葉の裏などに…卵を…
その結果を想像しただけで、全身に冷たい悪寒が走る。
「細かい検査はこれからだが、粘液は報告通りの効果らしい……
あと、研究者が“生体サンプル”と、うるさいんだが出来るか?」
「……生体サンプル?」
「無理なら――お前の子宮に卵を植え付けて貰ってこいってさ。
何でも穴にいれるのが大好きな麗華なら、
股を開いて気持ちよくされたらいい。ほら、簡単だろ? ギャハハ」
冗談とも本気ともつかぬ山本の声には、
確かな愉悦や挑発が滲み、その事で怒りが燃え上がる。
――殴りたい。黙らせたい。今スグに…こいつを、ここで…
けれど今、感情を爆発させても何の意味もない。
麗華は目を閉じ、深く息を吐き、
震える指を抑えて、心臓の鼓動を耳の奥で数える。
「さっきも男を、その穴でくわえ込んで楽しんでいたんだろ?
ほら、簡単だ。その相手が、多少大きな異形だってだけさ。アハハハ」
その後は、男の乾いた笑い声だけが部屋に反響して、
やがて「終了」という機械音声と共に扉が開き、
ユックリと麗華は小部から出ていく。
「でも、いつ見てもいい身体だなぁあ。知らない男なら飛びつくよ。
はぁ~、でも、この女が、誰のチンポでも喜んで咥えている。
変態淫乱痴女ってんだからさああぁ。
やっぱり、見た目じゃ何もわからんよな。アハハハ」
男の馬鹿にしたような態度に、麗華の拳が自然と握られ、
その衝動を押し殺すように、彼女は口角をわずかに上げていた。
「ありがとうございます……これから、この身体の確認をされますか?
全身の洗浄は済んでおりますので、ぜひ他に問題がないか、
山本様ご自身で、お確かめいただければと思います」
その笑みは、感謝や依頼のためではなく、
まるで捕食者が獲物に牙を向けるときのもの。
そんな麗華の態度に焦ったのか、山本は彼女の言葉を取り合わず、
事態そのものをなかったことにして続けた。
「まあ……それは、また今度だ。……で、何か他に要望は無いか?」
「うぅん……そうね。優しく……イッタ……」
(下手くそ…死ね…デブ短小。誰も相手をしていないのを知ってるぅう?)
「本当に、いい身体だよなぁ。この身体……」
「う~んと、じゃあぁあ。イった。溶けない服が欲しいわ~」
(また…痛いんだよ。ちょっとは上手くなれよ。ふにゃチンのキモでぶ)
「三桁以上は味わっているってな。麗華って、本当に不思議な女だよな…」
さすがに組織が入念に全身を洗浄したとしても、
山本には異形に犯されていた麗華を、今すぐに襲う勇気も、
もちろん相手を気遣うような、優しい甲斐性さえもない。
「身体が欲しいのなら、今からどうですか? 山本様」
それでも興奮を抑えきれなかったのか、麗華の身体に手を這わせながら、
その敏感な反応を見て鼻で笑い、喘ぐ声を聞いて馬鹿にしていた。
「いいねぇ……この美しい肌を見せて異形を興奮させて、
早く犯される為にも、全裸で戦えばいいんじゃないか?
アハハハ。そうだよ。れいかちゃん。その方がいいと思うぞ!」
その軽すぎる言葉に、麗華の拳が再び強張るが、
ぎりぎりで抑え込み、目を細めただけで返す。
「確かに、私の身体は完璧なので溶けませんけどね? アハハハ」
「ふん……回収した体液を本部で解析すれば、装備でも作られるかもな」
麗華の反応に飽きた彼が向ける言葉に滲むのは、
戦闘への関心ではなく、麗華へ向ける遊びとも違う別の欲望。
麗華はすぐに思い当たる。――粘液の副作用。脱毛、美肌。
化粧品にすれば、確実に莫大なお金になる。
「……じゃあ、ボーナスは?」
何処か俗物的な要望をした麗華に、山本は口元を歪めた。
「生体サンプル……後は、受胎だな。ボーナスは、それの結果次第だ」
一拍の沈黙の後に麗華は薄く笑い、形だけ頭を下げた。
「承知しました 山本……さん」
踵を返し、部屋から出ようとする麗華の背中を、
山本は舌なめずりするような視線で彼女を追う。
「おいおい、本気で怒って帰るなよ……れいちゃん。もう少し楽しもうぜ」
背後に残る醜い笑い声を無視し、麗華は店舗への扉を押し開けた。
山本がしてきた可愛らしい事は、全て何も気にしていない、
――しかし、彼が与えてきた屈辱も、決して消えはしない。
だが冷静さを失えば、ここで生き延びることさえ危うい。
麗華は心を締め直し、次の一歩を踏み出していた。
恐怖
なぜか口元をいやらしく吊り上げた。
「そうだ。よく聞けよ麗華……粘液が肌以外に、子宮からも回収できたぞ。
もちろん、“いつもの”も…だなぁあ。アハハハ。アレもだってよ」
麗華は、そんな小馬鹿にしたような態度をする彼を、
睨むこともなく、個室が丸見えになったあとにも肌を隠そうとせずに、
ただ大人しく聞いていく。
「そんなに睨むなよれいかちゃん。お前って色々と節操が無いんだな。
そんなに寂しいのか?それとも……もしかして、
何でも穴に入れたらいいとでも思っているんじゃないのか?ギャハハハ」
山本の言葉が耳に入った瞬間、麗華の背筋がぞくりと震えた。
――子宮に粘液が…! 私が押し付けたせい?…いや、やっぱりそうだ。
普通に考えれば、あのナメクジは子宮に卵を植え付けようとしていた。
もしそれが本当なら、自分から割れ目を押しつけなくても、
ナメクジが受精卵を、子宮に植え付けようとしてきたはず。
――ナメクジは、暗くジメジメした。温かい落ち葉の裏などに…卵を…
その結果を想像しただけで、全身に冷たい悪寒が走る。
「細かい検査はこれからだが、粘液は報告通りの効果らしい……
あと、研究者が“生体サンプル”と、うるさいんだが出来るか?」
「……生体サンプル?」
「無理なら――お前の子宮に卵を植え付けて貰ってこいってさ。
何でも穴にいれるのが大好きな麗華なら、
股を開いて気持ちよくされたらいい。ほら、簡単だろ? ギャハハ」
冗談とも本気ともつかぬ山本の声には、
確かな愉悦や挑発が滲み、その事で怒りが燃え上がる。
――殴りたい。黙らせたい。今スグに…こいつを、ここで…
けれど今、感情を爆発させても何の意味もない。
麗華は目を閉じ、深く息を吐き、
震える指を抑えて、心臓の鼓動を耳の奥で数える。
「さっきも男を、その穴でくわえ込んで楽しんでいたんだろ?
ほら、簡単だ。その相手が、多少大きな異形だってだけさ。アハハハ」
その後は、男の乾いた笑い声だけが部屋に反響して、
やがて「終了」という機械音声と共に扉が開き、
ユックリと麗華は小部から出ていく。
「でも、いつ見てもいい身体だなぁあ。知らない男なら飛びつくよ。
はぁ~、でも、この女が、誰のチンポでも喜んで咥えている。
変態淫乱痴女ってんだからさああぁ。
やっぱり、見た目じゃ何もわからんよな。アハハハ」
男の馬鹿にしたような態度に、麗華の拳が自然と握られ、
その衝動を押し殺すように、彼女は口角をわずかに上げていた。
「ありがとうございます……これから、この身体の確認をされますか?
全身の洗浄は済んでおりますので、ぜひ他に問題がないか、
山本様ご自身で、お確かめいただければと思います」
その笑みは、感謝や依頼のためではなく、
まるで捕食者が獲物に牙を向けるときのもの。
そんな麗華の態度に焦ったのか、山本は彼女の言葉を取り合わず、
事態そのものをなかったことにして続けた。
「まあ……それは、また今度だ。……で、何か他に要望は無いか?」
「うぅん……そうね。優しく……イッタ……」
(下手くそ…死ね…デブ短小。誰も相手をしていないのを知ってるぅう?)
「本当に、いい身体だよなぁ。この身体……」
「う~んと、じゃあぁあ。イった。溶けない服が欲しいわ~」
(また…痛いんだよ。ちょっとは上手くなれよ。ふにゃチンのキモでぶ)
「三桁以上は味わっているってな。麗華って、本当に不思議な女だよな…」
さすがに組織が入念に全身を洗浄したとしても、
山本には異形に犯されていた麗華を、今すぐに襲う勇気も、
もちろん相手を気遣うような、優しい甲斐性さえもない。
「身体が欲しいのなら、今からどうですか? 山本様」
それでも興奮を抑えきれなかったのか、麗華の身体に手を這わせながら、
その敏感な反応を見て鼻で笑い、喘ぐ声を聞いて馬鹿にしていた。
「いいねぇ……この美しい肌を見せて異形を興奮させて、
早く犯される為にも、全裸で戦えばいいんじゃないか?
アハハハ。そうだよ。れいかちゃん。その方がいいと思うぞ!」
その軽すぎる言葉に、麗華の拳が再び強張るが、
ぎりぎりで抑え込み、目を細めただけで返す。
「確かに、私の身体は完璧なので溶けませんけどね? アハハハ」
「ふん……回収した体液を本部で解析すれば、装備でも作られるかもな」
麗華の反応に飽きた彼が向ける言葉に滲むのは、
戦闘への関心ではなく、麗華へ向ける遊びとも違う別の欲望。
麗華はすぐに思い当たる。――粘液の副作用。脱毛、美肌。
化粧品にすれば、確実に莫大なお金になる。
「……じゃあ、ボーナスは?」
何処か俗物的な要望をした麗華に、山本は口元を歪めた。
「生体サンプル……後は、受胎だな。ボーナスは、それの結果次第だ」
一拍の沈黙の後に麗華は薄く笑い、形だけ頭を下げた。
「承知しました 山本……さん」
踵を返し、部屋から出ようとする麗華の背中を、
山本は舌なめずりするような視線で彼女を追う。
「おいおい、本気で怒って帰るなよ……れいちゃん。もう少し楽しもうぜ」
背後に残る醜い笑い声を無視し、麗華は店舗への扉を押し開けた。
山本がしてきた可愛らしい事は、全て何も気にしていない、
――しかし、彼が与えてきた屈辱も、決して消えはしない。
だが冷静さを失えば、ここで生き延びることさえ危うい。
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