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第3話 椿のお宿。
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いてもたっても居られなんだ。
仲間の狐達のことも、大妖怪になり日本国に根付くことも、なにもかも考えられなくなった。
牡丹に忘れられる。
そればかりが頭から離れず・・・。
そのこと以外、どうでもよいことのように思えた。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
「この度姫様付きの女官となりました椿でございます。」
どきどき。
大妖狐となったわらわが人の姿に身をやつすなど造作もない。
新参者の女官に化けたわらわは、あの時の無礼な女に紹介されて久方ぶりに牡丹さまにおあいした。
牡丹さまは、わらわが知っておる牡丹さまからお変わりになられておりませぬよね?
怖々、顔をあげる、と。
「・・・まあ!」
とびきりの笑顔をむけて、そしてまた俯く牡丹さま。
椿の名を耳にして、小狐、椿が!と、あるはずもない期待をしてしまうほど、今も椿が恋しく思われてならない牡丹。
小狐が女官になるなんてあるわけないわよね。
「?あの・・・牡丹さま?・・・椿でございます。」
「えっ?」
再び顔をあげて、手をとる、と。
「椿!」
小狐が女官になって会いに来てきてくれる訳はないんだけど、
お嫁に行きたくない気持ちがそう思わせてしまうのかもしれないのだけど、
椿が会いに来てくれたと思いたい!
「?」
なにをやっておるのじゃ??
相変わらずよくわけのわからぬ女子じゃのう??
真ん丸な目をパチパチさせて不思議そうに牡丹を眺める椿。
「あの・・・。もしや・・・。ありがとうっていってるの?」
不安そうにわらわをみつめる牡丹さまに。
「・・・そう。ありがとうでよろしいですよ。牡丹さま。」
はにかみながらそうゆうと。
ぶわっ。
牡丹は、もう涙と感情があふれだして、止まらなくなる。
「・・・椿!ああ、神様が、嫁ぐことに決まったわたくしに、椿を返してくださったのですね。」
・・・・・・・・・。
がくっ。
ちょっと違うけど、まあ、なんでもよいわ。
牡丹は・・・。
牡丹さまは、お変わりなく牡丹さまであったようで・・・。
安堵の気持ちが満ち満ちてやっと我にかえれるようじゃ。
どうにも純粋とゆうか、ちょっと普通の人にはついていかれない感覚の持ち主ではあるが・・・。
わらわはとっても嬉しいぞよ。
願わくばこのまま・・・。このままの牡丹さまでいてくりゃれ。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
嫁入り前の一年間、牡丹さまと椿はそれはそれは姉妹のように仲良く過ごした。
互いの心に欠けていたものが満たされるように。
時には牡丹が姉のように、時には牡丹が甘えるように。
時には椿が姉のように、時には椿が諭すように。
コンコン椿。
椿のお宿はどこにある。
コンコンここじゃ。
椿のお宿はここにある。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
そして、大納言護国さまに嫁がれる牡丹さまについて、わらわも大納言家に行ったわけじゃが。
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