【完結】愛するものがすべて。 愛しい姫君のために大納言さまに我が身を差し出す献女の正体は?

あっ ふーこ賦夘

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第4話 晴天の霹靂。おだやかではいられない。

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 大納言護国もりくにさまはなかなかよいお人柄で。
 大納言家はとても居心地のよい所だった。

 元々、牡丹ぼたんさまの美貌に惚れ込み、

「是非、わが妻に!」

といわれただけあって、それはそれは牡丹さまを大事にされてる護国さま。

 朝廷の出世頭といわれておるが、屋敷ウチではのんびりと間の抜けた護国さまと、天然でズレてる牡丹さまは似合いといえば似合いのお二人。

 ほんにのどかな日が続いていって、わらわと一緒に輿入こしいれされた牡丹さまは右大臣家にいた頃と少しも変わらず、護国さまに愛され幸せそうであった。

 もちろん大納言さまのもとにいかれてからも二人の姫君をお産みになってからも、わらわと牡丹さまの仲はかわらず…。大納言さまも微笑ましく思っていらっしゃっるようで、

「牡丹と椿は姉妹のようじゃなあ。」

 と、わらわのことも格別に扱ってくださっておった。
 まあ、妖狐の中でもとりわけ強い妖力を秘めておるわらわ。
 わらわがおる限り、ますます大納言家は繁栄し朝廷における栄達えいたつも間違いなし。
わらわを大事にしておれば良い事づくめじゃ。

 だが、ひとつ問題があった。

 それは、牡丹さまになかなか男子がお生まれにならないこと。

 当然護国もりくにさまに側室を、とゆう話になってきたのじゃが、護国さまとのこまやかな愛情を育ててきた牡丹さまは、

「どこの誰だかわからぬ者が護国さまに沿うて子をなすなど…。」

 しくしくと顔をしめらせる牡丹さま。
 ここぞ、とばかり肩を抱き優しくいたわるが、この手のことは実はよくわからなかったり。

「牡丹さま。おいたわしいですわ…。」

 そんなわらわの手をとって力強くひきよせる、と、

「そなたなら…どうか、そなたが殿の子を産んでおくれ…」

「ええーえええー!!」

 ちょっとまて、なんでそうなるのじゃ???

「椿と私は一心同体。
椿になら殿をまかせても、いえ、椿が男子を産んでくれたらこんなに嬉しいことないわっ!
椿の子供なら、わたくしの子供も同然!!」

  うぬぬ・・・。
 正気か??

 いや、牡丹さまはそうゆう女子よの・・・。
 純粋で一途で。
 好きなものしか目に入らない。

 とってもイヤだけど、牡丹さまがそうゆうのなら、仕方ない。

「牡丹さま…」

   ぴえん。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 わらわは妖狐族の中でも一、二を争う大妖怪。
 ひとたび、わらわが号令すれば今や、何百、何千の狐達がこぞってわらわに従うであろう。

 じゃが、牡丹さまは・・・。
 なんの力も発揮しない、タダの椿とゆう小狐を・・・。
 ずっとわらわを恋しがりタダのわらわを求めて泣いておられた。

 牡丹さまの願いを叶えてあげずにはいられない。
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